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紙で配布する給与明細と、webで管理可能な給与明細は、どのような点が違うのでしょうか。
給与明細の管理方法の違いによって起こるメリットとデメリットを、ご紹介したいと思います。
1.Web給与明細システムとは?
Web給与明細システムとは、給与明細をWeb上で発行・配布し、PCやスマートフォンで閲覧できるようにするシステムです。発行される帳票は毎月の給与明細の他、賞与明細や源泉徴収票も含まれます。
人事担当者が給与計算ソフトからCSV等の形式で給与データをダウンロードし、Web給与明細システムへアップロードし、各従業員へ配信する、といったことが一般的な利用方法ですが、サービスによっては給与システムからAPI連携で取り込むことも可能です。従業員はPC、スマホで、サービスによってはガラケーやタブレットでも内容を確認し、過去の分も見ることができます。
今までのように紙に印刷して配る必要がなく、またクラウドサービスで提供されているため、サーバーのコストや管理の負担もないため、テレワークやペーパーレスを後押しする、今注目のサービスです。
2.いまだからこそのWeb給与明細システムの導入メリット
Web給与明細システムを導入することで、いちいち配布して回る手間がなくなり、自動で配信されるため、大幅な業務効率化が見込まれる、という点は想像がつきやすく、一番のメリットとも言えます。
加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大により、テレワークによる在宅勤務が幅広い業界で採用されている今だからこそ、さらに導入のメリットが拡大しているとも言えます。Web給与明細システム導入の、“効率化”以外の具体的なメリットを4点ご紹介します。
〇テレワーク化への対応
まずは、急速に広がったテレワークを背景とした利便性が挙げられます。在宅勤務が増えたことにより、給与明細を会社で渡すことができなくなりました。また、次の出社のタイミングで渡す、となるとそのタイミングを見計らって渡す手間が増え、では郵送でとなると余計に手間がかかってしまいます。
Web給与明細システムを導入することで、手渡しや郵送をする必要がなく、Web上で受け渡しが完結します。従業員がWebにログインし、どこからでも、PCのみならずスマートフォン等からも給与明細を閲覧できるようになります。
〇Webでの手続き拡大によるさらなる業務効率化
入社、退社、年末調整、各種届出など、以前は紙で渡すのが当然だった書類を、Web上でやりとりすることが増えました。したがって、従業員も様々な手続きをWebで行うことに慣れてきています。紙とWebを使い分けるより、できるだけ全てをWeb化してしまった方が業務効率化が進み、従業員にとっても、メリットは大きいと言えます。
〇ペーパーレス化
管理や検索が楽、置き場所を減らす、といった観点での各企業のペーパーレス化推進の動きは以前からありますが、コロナ禍をきっかけに、感染拡大防止を目的とし、衛生面の観点を加えてのペーパーレス化も加速しています。オンラインストレージの普及から分かる通り、紙ファイルの共有に伴う社員同士の接触を減らすと同時に、対面での紙の受け渡しも減らしていく、といった選択をする企業が増えています。その点、Web給与明細システムを導入することで、人事担当者と各従業員の接触を減らすことができます。
また、ある程度の規模以上の企業では紙と印刷にかかるコスト面でもメリットがあります。なお、純粋に、印刷代(給与明細用紙代、封筒代、インク代)のみと比較すると、有料のWeb給与明細システムではコスト優位性はあまりないかもしれません。ただし、用紙の発注・管理、印刷作業、紙を折る作業、封入作業、そして配布作業、といった負担と比べると、Web給与明細システム導入によるペーパーレス化には大きなメリットを感じることができるでしょう。
〇IT導入補助金の対象
中小企業を対象としたIT導入補助金の対象となるサービスもあります。バックオフィス業務の生産性向上や業務効率化の一貫として、補助金を活用してWeb給与明細システムを導入できることも魅力の一つです。
3.Web給与明細システムのタイプ
Web給与明細システムを導入することで、ただ楽になるだけでなく、様々な点で効率化でき、多くのメリットがあることが分かりましたが、実際に導入を検討するにあたり、Web給与明細システムのタイプを知っておく必要があります。
大きく分けて、給与計算ソフトの情報をCSVで取り込んで発行するWeb給与明細の発行・配信に特化した専用タイプと、入退社手続きなどを効率化する労務管理システムの中の1機能として利用できるタイプ、そして給与を計算する給与計算ソフトの1機能として利用できるタイプの3タイプあります。
〇【専用型】
給与ソフトの情報をCSVで取り込んで発行するWeb給与明細の発行・配信に特化した専用タイプ
〇【給与計算ソフトとの一体型】
給与計算を計算する給与ソフトの1機能として利用できるタイプ
〇【労務管理システムとの一体型】
入退社手続きなどの労務管理システムの1機能として利用できるタイプ
4.給与明細をwebで配布するメリット
導入時や運用面でのデメリットに触れて来ましたが、メリットも考えていきましょう。会社や従業員にとって導入するメリットはどこにあるのでしょうか。
4-1.会社側のメリット
〇ペーパーレス化
大きなメリットの1つは、給与明細のペーパーレス化です。社員が100名いたら、毎月100枚の給与明細を発行しなければいけません。システムを導入することでペーパーレス化となり経費を削減できます。
〇管理の簡易化
システムで管理をすると税率が変動した場合も自動で対応が可能になります。そのため、エクセルなどを使って手動で計算をした場合の打ち間違いや数式のミスなどが減り、数字を打ち込むだけで給与計算が簡単に終わります。
〇対応の簡易化
発行した給与明細を紛失した場合や、過去分の発行をするときに、データで管理をしていれば対応が簡単で社員からの要望にすぐ応えることができます。
4-2受け取り側のメリット
〇いつでも明細を確認できる
紙での管理ではなくwebで管理をした場合は、スマートフォンなどでいつでも確認が出来ます。
〇管理が楽になる
Web化している場合は、いつでも必要なときに確認が出来て、最低でも2年間は保管をするので確定申告の場合も役立ちます。
〇リスクの軽減
紙の給与明細を自分で管理する場合は紛失してしまうことがあります。記載の内容が個人情報になるので紛失すると悪用される恐れがありますが、データで管理をしていれば紛失することがないので安心です。
5.給与明細をwebで配布する場合のデメリット
webで給与明細を発行するシステムの導入を考えた場合、今までと比較して運用のデメリットが気になると思います。扱うのは社員の個人情報なので、個人情報保護の視点からも慎重になるのは当然です。給与明細を発行する会社側と、受け取る社員の立場でそれぞれ考えてみましょう。
5-1.会社側のデメリット
給与明細をシステムで運営・管理する場合は、問題なく運用が稼働するまでを考える必要があります。
〇社員への対応依頼
web上のメール、もしくはクラウドで管理するときに、どのようなソフト・サービスを選択するのかで運用方法が変わります。使い方や管理方法が複雑になったり、毎月パスワードの変更が必要な場合もあります。
またPC操作が苦手な社員に対しても確実に利用可能な状態にする必要があります。
〇発行した書面も用意できる状態でなければいけない
書面管理からデータ管理へ移行する場合には社員の許可が必要になります。こうした場合には許可を得られなかったり、今までと同様に書面でも欲しいと言われる場合には、印刷した給与明細を用意しなければいけません。そのためwebでの確認と書面での確認の両方を満たす必要があります。
〇情報漏洩の危険
webで給与明細を管理するということは、第三者に漏洩してしまう危険性も考えられます。そのために定期的なパスワードの変更や対応ソフトの導入など、最新の対策を常に考える必要があります。
5-2.給与明細を受け取る側のデメリット
〇申請を行わないと印刷された給与明細が手に入らない
給与明細は紙で管理したいという人は必ずいます。今まで申請しなくても紙で受け取っていたのに、毎回申請する必要が出てくると面倒に感じてしまうためです。会社も紙の明細が必要な人を把握して管理することは非常に大変です。
〇デバイス(端末機器)がないと確認できない
若い世代は、スマートフォンやPCが自宅にあり、好きなときに給与明細を確認することが出来ます。しかし、上の世代になると確認できるスマートフォンやPCを持っていない人もいます。こうした人達は必要なときに確認ができない可能性があります。
〇自分の都合で破棄できない
紙の給与明細の場合、個人の意思で破棄することができました。webで管理するということは、自分の意図でデータの破棄ができません。個人情報の管理が全て会社任せになってしまいます。
6.まとめ
給与明細は発行されたものを手渡した場合も、web上で管理した場合も、メリットとデメリットは必ず存在します。管理する側と、受け取る側の両方を考えて、どのようなシステム導入が良いのかを考えましょう。
大事なのは社員の大事な情報をどのように扱うかということです。多くの社員にとって便利であり、安心して任せられるような管理体制が会社には求められます。
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