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2026年7月2日、X(旧Twitter)はクリエイタースタジオ内に新しいライブ配信管理ツール「Live Studio(ライブスタジオ)」を追加したと発表した[1]。X プロダクト責任者のニキータ・ビア(Nikita Bier)氏が自身のXアカウントで「Today we’re announcing Live Studio, a brand new livestreaming command center on X」と投稿し、公式アカウント「X Creators」も同日に告知を行っている[2]。旧来の「Media Studio Producer」に代わる配信管理画面として位置づけられており、RTMP対応による外部配信ソフトとの連携、配信予約、視聴者・チャット管理、リアルタイム分析など、これまで外部ツールと組み合わせて運用する必要があった機能をX単体で完結できるようになった点が特徴だ。あわせて、ライブ配信を行うクリエイターへの報酬として総額100万ドルを配分する計画も明らかにされている。本記事ではX公式ヘルプページ「Live Studio」[3]の記載内容を軸に、機能・使い方・利用条件を整理したうえで、企業のX運用担当者がこの新機能をマーケティング施策にどう組み込めるかを解説する。
X「Live Studio」とは?発表の概要
Live Studioは、Xのクリエイター向け管理画面「Creator Studio」に統合された、ライブ配信専用のコマンドセンターである。X公式ヘルプページでは「X’s professional livestreaming platform, built directly into Creator Studio」と説明されており、配信の作成・管理・分析を1つの画面で完結させることを目的としたツールと位置づけられている[3]。
これまでXでプロ品質のライブ配信を行うには、Media Studio ProducerというツールでRTMPのURLとストリームキーを取得し、OBSなどの外部配信ソフトと接続する必要があった。Live Studioはこの機能を引き継ぎつつ、配信の予約・非公開テスト配信・視聴者属性の分析までを1つのダッシュボードに統合した点が最大の違いである。
発表時点でLive Studioはベータ版として、米国(バージニア州・オレゴン州・カリフォルニア州)に加え、東京・ソウル・ムンバイ・シンガポール・パリ・サンパウロ・フランクフルト・ダブリン・シドニーなど、世界の主要都市を含む限定地域から段階的に展開されている[4][5]。日本(東京)はこの先行展開対象に含まれている。
Live Studioの主な機能
X公式ヘルプページに基づく主な機能は以下のとおりである[3]。
- RTMP対応の外部配信:OBSなどのエンコーダーやカメラ、業務用の配信機材をRTMP(RTMPSにも対応)で接続できる。ソース(接続先)は1アカウントにつき最大100個まで作成可能。
- 即時配信・予約配信:その場でライブ配信を開始するほか、最大1年先まで日時を指定して予約できる。
- 非公開テスト配信:本番公開の前に、Live Studio内だけで視聴できる非公開配信で機材・画質のテストが行える。
- サムネイル・タイトル設定:配信ごとにサムネイル画像(推奨16:9、1280×720または1920×1080)とタイトルを設定できる。
- 視聴者・チャット管理:公開範囲を「全員」「非公開(Live Studio内のみ)」から選べるほか、チャットの参加者を「全員」「認証済みアカウント」「フォロー中のアカウント」「サブスクライバー」「オフ」から制御できる。
- ジオ制限:特定の国・地域のみ視聴可能にする、または特定地域からの視聴をブロックする設定ができる。配信開始前のみ変更可能。
- リアルタイム分析:同時視聴者数、視聴者の行動・視聴時間、チャット数、視聴者の多い国、デバイス内訳などを配信中・配信後に確認できる。
- 配信後のダウンロード・埋め込み:終了した配信はリプレイをダウンロードできるほか、外部サイトへの埋め込み用コードを発行できる。
推奨エンコーダー設定として、映像コーデックはH.264、映像ビットレートは推奨12Mbps(最大40Mbps)、解像度・フレームレートは推奨1920×1080/60fps(最大3840×2160/60fps)、音声コーデックはAAC・128kbpsが案内されている[3]。配信の最大継続時間は24時間である。

利用条件・対象アカウント
Live Studioの利用には、X Premium(月額3ドル〜、日本では月額918円のプレミアムプラン)への加入、または認証済みアカウントであることが条件となる[4][6]。これはLive StudioがMedia Studio Producerの後継として位置づけられており、従来からMedia Studioへのアクセス権が付与されていたプラン区分をそのまま引き継いでいるためである。無料アカウントでは、発表時点でLive Studioを利用することはできない。
アクセス方法は、x.com/i/live-studio に直接アクセスするか、Creator Studioの「Tools」メニューから「Live Studio」を選択する[3]。
Live Studioでライブ配信を作成する手順
X公式ヘルプページに沿った基本的な配信作成の流れは以下のとおりである[3]。
- Live Studioで「New Livestream」をクリックする。
- 配信タイトルを入力する(公開配信の場合、このタイトルはX上に表示される)。
- 「Source」を選択、または新規作成する。ソース作成時は、エンコーダーに最も近いリージョン(東京・ソウル・シンガポールなど12拠点から選択可)を指定すると遅延を抑えられる。
- 発行されたRTMP URLとストリームキーを、OBSなど手元のエンコーダーに設定する。
- サムネイル画像をアップロードする。
- 公開範囲・チャット制御・ジオ制限などの視聴者設定を行う。
- 「Go Live」で即時配信を開始するか、「Later」で日時を指定して予約する。
なお、配信を作成しただけではX上に投稿は自動生成されない。視聴者に配信を知らせるには、配信詳細ページから「Post livestream on X」を選択し、告知ポストを作成する必要がある[3]。予約配信であれば、この告知ポストにはカウントダウン付きのカードが表示され、視聴者はリマインダーを設定できる。
100万ドルのクリエイター報酬プログラムについて
Nikita Bier氏は同じ発表の中で、「rewarding creators who livestream by allocating $1 million」として、今後のサイクルに向けてライブ配信を行うクリエイターへの報酬に総額100万ドルを充てる方針を明らかにした[1][7]。ただし、配分の対象条件・算定方法・地域といった具体的な制度設計は発表時点では公開されておらず、「詳細は追って発表する」とされている[7]。
この100万ドルという金額について、日本語で報じた複数のメディアは「約2億円」[8][9]または「約1億6,000万円」[10]と、参照する為替レートによって異なる円換算を用いている。本記事執筆時点でXおよびX Creatorsの公式発表で確認できる一次情報は「100万ドル」という金額のみであり、円換算額や配分の詳細ルールについては公式な裏付けが取れていない。制度の具体像は、今後X側から追加情報が出た段階で改めて確認する必要がある。
【企業アカウント運用者向け】Live Studioをマーケティング施策にどう組み込むか
Live Studioは個人配信者向けの機能に見えるが、企業のX運用担当者にとっても具体的な活用余地がある機能がいくつか含まれている。
- 新商品発表・イベント配信のプロ品質化:RTMP対応により、スマホの簡易配信ではなく、社内スタジオや会場の業務用カメラ・スイッチャーを使った配信をXで直接行えるようになった。従来はYouTube LiveやZoomで配信してXにはリンクを貼るだけ、という運用が多かった企業アカウントも、Xのタイムライン上で完結する配信に切り替えることで、フォロワーの視聴・拡散までの導線を短縮できる。
- 非公開テスト配信によるリハーサル:本番前に非公開配信で機材トラブルや音声レベルを確認できるため、広報担当者が単独でも配信品質をチェックしたうえで本番に臨める。特に外部制作会社を挟まずに内製化したい企業アカウントにとっては、リスク低減の効果が大きい。
- チャット制御によるブランドセーフティ:チャットを「フォロワー限定」や「認証済みアカウントのみ」に制限できるため、炎上・荒らしコメントのリスクを抑えながら双方向のライブQ&Aやカスタマーサポート配信を行える。全員参加のオープンチャットにする従来型の配信よりも、企業の運用ハードルは下がる。
- ジオ制限を使った地域限定施策:特定国・地域のみに配信を絞れる機能は、地域限定キャンペーンや現地イベントの中継、特定市場向けの先行公開といった施策と相性がよい。グローバル展開する企業アカウントが、市場ごとにメッセージを出し分ける際の選択肢が増える。
- 分析データをROI測定に活用する:同時視聴者数・視聴時間・国別内訳・デバイス内訳といった指標がLive Studio上で確認できるため、配信施策の効果測定を配信ごとに行える。ヘルプページでは、ポストの再生回数カウンターがログアウトユーザーや外部埋め込みも含む一方、Live Studioの分析はログイン済みユーザーに限定して算出される点が明記されており[3]、社内レポーティングではどちらの数値を採用するかを事前に決めておく必要がある。
- X Premium加入が前提条件になる点への対応:企業アカウント自体がX Premiumまたは認証済みアカウントでなければLive Studioは利用できない。すでにXの認証バッジを運用している企業は追加コストなく着手できるが、そうでない場合は月額コストを含めた投資判断が先に必要になる。
これらを踏まえると、Live Studioは「配信のハードルを下げるツール」であると同時に、企業アカウントにとっては「Xのタイムライン上で完結する双方向コミュニケーション」を設計し直す機会でもある。すでにYouTube LiveやInstagramライブを併用している企業ほど、どの配信をXに一本化するか、あるいはRTMPのマルチストリーミングサービスを介して同時配信するかを検討する価値がある。
利用時の注意点
公式ヘルプページのFAQから、運用担当者が事前に把握しておくべき制約を挙げる[3]。
- RTMP接続に認証機能は用意されておらず、ストリームキーの管理は利用者側の責任で行う必要がある。
- ソースのリージョンは作成後に変更できない。異なるリージョンを使いたい場合は新規ソースを作成し、旧ソースを削除する。
- 1つのソースで同時に配信できるライブは1本のみ。複数拠点から同時配信する場合は、拠点ごとに別のソースとエンコーダーが必要になる。
- 配信が終了予定時刻を迎えずにエンコーダー側の信号が途切れると「TIMED OUT」状態になり、その配信は再開できず新規作成が必要になる。
- 配信を削除するとリプレイと分析データも同時に失われ、その配信を含むポストは再生できなくなる。アーカイブとして残したい配信は、削除前にダウンロードしておく必要がある。
まとめ
Live Studioは、Xが2026年7月2日に発表した、Creator Studio統合型のライブ配信管理ツールである。RTMP対応、配信予約、非公開テスト配信、チャット・視聴者制御、リアルタイム分析まで一通りの機能を1つの画面に集約しており、これまで外部ツールを併用していた配信オペレーションをXの中で完結できるようになった。あわせて発表された100万ドルのクリエイター報酬プログラムは、配分ルールなど詳細が未公開の段階であり、今後の追加発表を注視する必要がある。企業アカウントにとっては、単なる配信ツールの刷新にとどまらず、チャット制御やジオ制限、分析データを組み合わせて、ライブ配信をマーケティング施策の一つとして設計し直すきっかけになりうる機能だといえる。
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出典
- Nikita Bier氏の投稿(X, 2026年7月1日):https://x.com/nikitabier/status/2072434657120129490
- X Creators公式アカウントの投稿(X, 2026年7月2日):https://x.com/XCreators/status/2072814635963560000
- X公式ヘルプページ「Live Studio」:https://help.x.com/en/using-x/live-studio
- Dataconomy「X Launches Live Studio With New Creator Payouts」(2026年7月2日):https://dataconomy.com/2026/07/02/x-launches-live-studio-with-new-creator-payouts/
- Engadget「X is making a fresh push for live video with new creator payouts」:https://www.engadget.com/2206527/x-push-for-live-video-creator-payouts/
- Impress Watch「X、ライブ配信管理ツール「Live Studio」」:https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/2121813.html
- American Bazaar「X launches Live Studio, announces $1 million creator payout program」:https://americanbazaaronline.com/2026/07/02/x-launches-live-studio-announces-1m-creator-payout-program-483955/
- GIGAZINE「X(旧Twitter)がライブ配信機能「ライブスタジオ」をクリエイタースタジオに新規追加」:https://gigazine.net/news/20260703-x-live-studio/
- BigGoファイナンス「Xが配信者向け統合ツール「Live Studio」発表、クリエイター支援に約2億円の報酬枠も」:https://finance.biggo.jp/news/303e7b6a-c902-441d-8a8c-b818b71af112
- AI teller「【2026】X「ライブスタジオ」をクリエイタースタジオに追加」:https://aiteller.jp/blog/news-x-live-studio