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「検索順位は落ちていないのに、検索からのアクセスだけが減っている」。Googleの「AIによる概要(AI Overviews)」が表示されるようになってから、こうした声が増えています。SEO担当者だけでなく、コーポレートサイトやオウンドメディアの集客をSNS発信と検索流入の両輪で支えている企業アカウント運用者にとっても、見過ごせない変化です。
本記事では、SEO分析大手Ahrefsが2026年7月に公表した最新調査を軸に、AI OverviewsがCTR(クリック率)にどれだけ影響しているかを、日本・米国の実測データで整理します。あわせてSeer Interactive、Pew Researchという海外の独立調査も突き合わせ、単一の調査に依存しない形でファクトを確認します。最後に、企業のSNSアカウント運用者が今の段階で見直しておきたい視点も解説します。
AI Overviews(AIによる概要)とは
AI Overviewsは、Googleが検索結果の最上部にAI生成の要約回答を表示する機能です。2024年5月の「Google I/O」で米国向けに正式発表され、同年8月16日に日本を含む複数国へ展開されました。ユーザーが「〇〇とは」「〇〇の方法」といった情報収集型のキーワードで検索すると、複数のWebページを要約した回答が検索結果の一番上に表示され、その下に従来のオーガニック検索結果(青いリンク)が続く構成になっています。
この「検索結果ページ内で回答が完結してしまう」という体験の変化が、CTR低下の主因として指摘されています。
【2026年6月最新】Ahrefs調査:検索1位でもCTRは-62.7%
Ahrefsは2026年7月21日、日本語版の公式ブログで最新の調査結果を公開しました。情報収集型キーワードにおいて、AI Overviewsが表示された場合の検索1位ページのCTR低下率を継続計測したもので、2025年12月と2026年6月の数値を比較しています。
| 地域 | 2025年12月 | 2026年6月 | 6ヶ月の悪化幅 |
|---|---|---|---|
| 日本 | -38.0% | -62.7% | -24.7ポイント |
| 米国 | -58.0% | -68.8% | -10.8ポイント |
この低下率は、実測CTRを単純比較したものではありません。Ahrefsは「AI Overviewsが表示されない検索1位ページのCTRが過去2年でどう推移したか」から従来トレンドを算出し、それをAI Overviews表示時の過去CTRに当てはめて「AI Overviewsがなければ得られたはずの予測CTR」を算出。実測値との差分を低下率としています。
| 項目(検索1位・情報収集型KW) | 日本 | 米国 |
|---|---|---|
| AI概要なしCTR(2024年6月) | 31.1% | 28.6% |
| AI概要なしCTR(2026年6月) | 31.7% | 28.5% |
| 予測CTR(2026年6月) | 24.1% | 14.4% |
| 実測CTR(2026年6月) | 9.0% | 4.5% |
注目すべきは、AI Overviewsが表示されないキーワードでの検索1位CTRは、日本・米国とも2024年6月から2026年6月までほぼ横ばいという点です。つまり「検索ユーザー全体のクリック行動」が変化したのではなく、AI Overviewsが表示されるキーワードに限って、ピンポイントでクリックが失われていることになります。検索1位を維持していても、予測されたクリックの6割以上(日本)〜7割弱(米国)が実際には発生していない計算です。

半年で悪化が加速した背景
Ahrefsの調査では、2025年12月時点の日本の低下率は-38.0%でした。それがわずか半年で-62.7%まで拡大しています。米国はすでにAI Overviewsの浸透が先行しており、同期間で-58.0%から-68.8%へ進行しました。前回調査(2025年12月)の時点でAhrefsは「日本もいずれ米国と同水準まで悪化する」と予測していましたが、今回のデータはその予測どおりの方向に進んでいることを示しています。
背景にあるのは、AI Overviewsの表示範囲の拡大です。国内メディアの報道でも、AI Overviewsの表示率が拡大し表示エリアそのものも広がっている傾向が指摘されています。表示されるキーワードの母数が増えれば、CTRが低下するキーワードの絶対数も増えることになります。
海外の独立調査でも同じ傾向:Seer Interactive・Pew Researchのデータ
Ahrefs以外の独立した調査機関のデータも確認します。単一の調査会社のデータだけに依存すると測定手法のバイアスを見落とすリスクがあるため、異なる調査主体・調査手法のデータを突き合わせることが重要です。
Seer Interactive:CTRは底打ちして回復も、非表示時との差は残る
米SEOエージェンシーのSeer Interactiveは、53ブランド・約547万件の検索クエリ・オーガニック表示回数24.3億回という大規模データセットで、2025年1月〜2026年2月のCTR推移を追跡しています。AI Overviews表示時のオーガニックCTRは、2025年9月には0.61%まで落ち込みました(表示なし時は1.62%)。その後2025年12月には1.3%まで底打ちし、2026年2月には2.4%まで回復しています(約2ヶ月で85%の回復)。ただし同時期のAI Overviews非表示時のCTRは3.8%前後で推移しており、AI Overviews表示時とのギャップは依然として大きい状態が続いています。また、AI Overviews内で引用されたページは、引用されなかったページに比べてクリック(インプレッションあたり)が120%多いという結果も出ています。
Pew Research:AI要約が出るとクリック率はほぼ半減
Pew Research Centerは2025年7月、米国の成人約900人の実際のブラウジング行動を追跡した調査結果を公表しました。2025年3月の1ヶ月間に発生した検索68,879件のうち、AI要約が表示されたのは12,593件。AI要約が表示された検索でユーザーが従来型の検索結果リンクをクリックした割合は8%で、AI要約が表示されない検索の15%と比べてほぼ半減していました。さらに、AI要約内の引用リンクをクリックした割合はわずか1%にとどまっています。AI要約が表示されたページを見た後にそのままブラウジングをやめた(別の検索や別サイトへ移動しなかった)ユーザーの割合も26%と、AI要約が表示されない場合の16%を上回りました。
| 調査 | 対象・規模 | 時期 | 要点 |
|---|---|---|---|
| Ahrefs | 検索1位ページのCTR(日本・米国) | 2025年12月/2026年6月 | 日本-62.7%、米国-68.8%まで低下率が拡大 |
| Seer Interactive | 53ブランド・約547万クエリ | 2025年1月〜2026年2月 | CTRは底打ち後に回復も非表示時とのギャップは継続 |
| Pew Research | 米国成人約900人の実ブラウジング行動 | 2025年3月 | クリック率8%(非表示時15%)、引用リンクは1%のみ |
3つの調査は手法も対象国も異なりますが、「AI Overviewsが表示されると検索1位でもクリックされにくくなる」という結論は一致しています。一方でSeer Interactiveのデータが示すように、2026年に入ってCTRが底打ちし回復に転じている点も見逃せません。これは「AI Overviewsが出れば必ずクリックがゼロに近づく」という単純な話ではなく、ユーザー側がAI Overviewsとの付き合い方に慣れ始めている可能性を示唆しています。
なぜAI OverviewsはCTRを押し下げるのか
各調査で共通して指摘されている理由は、大きく2つです。
- 回答が検索結果内で完結する:「〇〇とは」「〇〇の使い方」のような、簡潔な答えで用が足りるキーワードほど、AI Overviewsの要約を読んだだけでユーザーが満足し、リンクをクリックしなくなります。
- オーガニック結果が画面下部に押し下げられる:AI Overviewsが検索結果の最上部を大きく占有するため、従来の1位・2位のリンクがファーストビューから外れます。順位自体は変わらなくても、実際に「見える位置」は下がっています。
この2つの要因は、検索順位を上げる従来型のSEO施策だけでは解決できません。順位レポート上は問題がなくても、アクセス解析上は流入が減っていく、というギャップが生まれる理由はここにあります。
【独自視点】企業SNSアカウント運用者が今すぐ見直すべき3つのこと
ここまでのデータはSEO担当者向けの文脈で語られがちですが、Instagram・X・TikTok・YouTube・LINEなど企業アカウントの運用を担う立場から見ても、無視できない示唆があります。
- 検索流入への依存度を下げ、SNS発の直接流入を増やす
Ahrefsのデータでは、ブランド名を含む指名検索はAI Overviewsの影響をほぼ受けないと報告されています。SNSでの継続的な発信は、検索エンジンを経由しない直接流入(フォロワーからの遷移)と、指名検索そのものを増やす両方に効きます。検索流入の目減りを前提に、SNSを「補助チャネル」ではなく「主要チャネルの一つ」として予算配分を見直す段階に来ています。 - ブログ記事とSNS投稿を「引用されやすい形」にそろえる
AI Overviewsは複数の情報源を要約して回答を生成する仕組み上、結論が明確で根拠が示された文章ほど引用されやすい傾向があります。SNSでの告知文やスレッド投稿も、オウンドメディアの記事と同じように「結論→根拠→詳細」の順で書く習慣をつけておくと、記事本体がAI Overviewsに引用された際の一貫性が保てます。 - Search ConsoleとSNSの分析ツールを突き合わせて監視する
Google Search Consoleには、AI Overviews専用のレポート機能はまだありません(2026年8月時点)。ただし「表示回数(インプレッション)は変わらないのにクリック数だけが減っている」キーワードを定点観測すれば、AI Overviewsの影響を受けているページの見当がつきます。該当ページが特定できたら、そのテーマについてSNS側でも発信を強化し、検索経由が減った分をSNS経由の流入・エンゲージメントで補う設計にしておくと、チャネル全体としての影響を緩和できます。
AI Overviewsに「引用される側」に回るための基本
クリックされにくくなっている一方で、AI Overviewsは必ずどこかのページを根拠として引用しています。Seer Interactiveのデータでも、引用されたページは引用されなかったページよりインプレッションあたりのクリックが多いという結果が出ており、「クリックされないなら、引用される側に回る」という発想の転換が必要です。
具体的には、結論を冒頭で明確に示す構成、独自データや一次情報の掲載、著者・運営者情報の明示といった基本的なSEO・E-E-A-T対策が土台になります。この領域の実践的なチェックリストは、LLMOやAIOに対応するSEOチェックリストの解説記事で詳しく整理しています。LLMOという考え方そのものの基礎については、LLMOとは何かを解説した記事もあわせてご覧ください。
まとめ
Ahrefsの2026年6月データでは、日本の検索1位CTRの低下率は半年で-38.0%から-62.7%まで拡大しました。米国はさらに進んで-68.8%です。Seer InteractiveのデータではCTRが底打ちして回復基調にあることも分かっていますが、AI Overviewsが表示されないキーワードとの差は依然として大きく、Pew Researchの調査でも「AI要約が出るとクリックはほぼ半減する」という結果が出ています。
検索順位を守るだけでは、この変化に対応しきれません。SNSアカウントを含めた複数チャネルでの直接流入・指名検索の獲得と、AI Overviewsに「引用される」ためのコンテンツ設計。この両輪を今のうちに整えておくことが、2026年後半以降の集客戦略の分かれ目になります。
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出典
- Ahrefs「AI概要で検索1位のCTRが半年で-62.7%に激減」(2026年7月21日)
https://ahrefs.com/ja/blog/ai-overviews-reduce-clicks-june-2026/ - Seer Interactive「AIO Impact on Google CTR: 2026 Update」
https://www.seerinteractive.com/insights/aio-impact-on-google-ctr-2026-update - Pew Research Center「Do people click on links in Google AI summaries?」(2025年7月22日)
https://www.pewresearch.org/short-reads/2025/07/22/google-users-are-less-likely-to-click-on-links-when-an-ai-summary-appears-in-the-results/ - 窓の杜「Google検索の『AI Overviews』が日本でも提供開始」(2024年8月)
https://forest.watch.impress.co.jp/docs/news/1616316.html