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近年、コロナ禍の影響で厳しい状況を強いられていた飲食店。
そんな中でも売上・集客アップのために様々な工夫を凝らしているお店が数多くあります。
最近では、チラシやテレビCMなどの他、私たちの生活に欠かせない存在となったSNSを利用したマーケティング施策が主流となりつつあります。
今回は、そのSNSの中でもユーザーとの親密なコミュニケーションを最も得意とする「LINE公式アカウント」を活用した飲食店の実例と参考にしたいポイントについて解説していきます。
LINE公式アカウントを活用したマーケティング施策をお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
1.飲食店集客にLINE公式アカウントをすすめる5つの理由
TwitterやInstagramなどのSNSもあるなか、LINE公式アカウントをおすすめするのは「読まれやすさ」と「リピーター獲得のしやすさ」といった特徴が関係しています。
1-1.アクティブユーザーが多い
LINE株式会社によると、2020年9月時点での国内のLINE月間利用者数は8600万人と発表されています。約半数以上の日本人が利用しているのがわかりますね。アクティブユーザーが多いということは、それだけ大勢にお店の情報をアピールできるということ。大きなLINE公式アカウントでの発信は店舗にとってもメリットとなるでしょう。
1-2.無料で導入できる
LINE公式アカウントは無料で始められる点も魅力です。一部有料の機能もありますが、月1000通までのメッセージは無料でユーザーに届けられます。
たとえば、登録者が100人なら月に10回までメッセージを送れる計算。したがって登録者が少ない間は無料プランを使用し、反応を見つつ徐々に上のプランへと移行していく方法も可能です。
1-3.メッセージの開封率が高い
LINE公式アカウントは、メッセージの開封率が高いのも特徴。「開封率が高い=読まれやすい」と言い換えられるでしょう。開封率の高さの秘密は次の通りです。
- 情報発信後に、登録者にプッシュ通知でお知らせが届く
- 開かなければ内容がわからない仕組み
- 迷惑メールに振りわけられる心配がない
しっかり読まれる仕組みができているため、飲食店にとって抜群のアピールの場になるでしょう。
1-4.友だち登録が簡単にできる
手軽にお友だち追加ができる点もおすすめの理由のひとつです。新しいツールやアプリに登録する際、個人情報の入力を求められる場合も多くありますよね。「えぇ~面倒くさいな」と感じる人も多いのではないでしょうか。
しかしLINE公式アカウントは「追加」をタップするだけで友だち登録完了。手軽に登録ができるので新規顧客にも勧めやすいです。
1-5.リピーター獲得に適している
LINE公式アカウントは他のSNSとは違い、リピーター獲得につながりやすいツールです。たとえば、TwitterやFacebookは拡散力やライブ配信を使っての発信を得意としているため、新規顧客の集客に向いています。
対してLINE公式アカウントは「友だち追加」したユーザーに対して情報を発信するツールです。つまり顧客の多くは「新規」ではなく「以前に利用したことがある・来店したことがある人」が対象になります。
そのため、チャット機能を活用し、顧客と1対1のコミュニケーションを計ることで再来店へと促すことが可能。リピーター獲得が欠かせない飲食店にとって、適したツールといえるでしょう。
2.参考にしたい!飲食店のLINE公式アカウント事例5選
それではさっそく、参考にしたい飲食店のLINE公式アカウントを5つご紹介していきます。
2-1.SUZU CAFE(カフェ)
SUZU CAFEは立地や入居するテナントに合わせてコンセプトを変え、店ごとに異なる内装やメニューを展開することで幅広い年代の女性客に支持されています。
SUZU CAFEは各店舗がそれぞれ異なるコンセプトで運営しているため、これまで他のSNSで発信する情報やトンマナも店舗が主体で決定してきました。一方、LINE公式アカウントではエリアごとのブランドアカウントを開設して店舗共通の情報を発信し、ユーザーとの関係性の構築を図っています。
LINE公式アカウントの開設後、SUZU CAFEは運用パートナーである代理店とともにKPIを友だち数1万人に設定し、主に店舗での声がけや客席に設置したPOPでユーザーに友だち追加を促しています。SUZU CAFEのアカウントを友だち追加したユーザーには、その日から使える「チーズケーキ」無料クーポンを贈呈。
LINE公式アカウントを活用してさまざまな集客や販促に関する取り組みを行う中で、加藤さんがもっとも手応えを感じているのがショップカードです。ショップカードとは、従来、店舗が紙などで発行していたポイントカードなどをLINE上で管理でき、ポイントに応じてさまざまなインセンティブを付与することができる機能です。
同カフェのショップカードは、ゴールまでのポイントを最大20ptに設定し、5ptごとにインセンティブを用意しています。中には「グループ全員にランチデザートをサービス」など複数人数で利用できるインセンティブもあるほか、来店数が落ち込みすい雨の日には2ptを付与するなどして、リピーター育成と同時に来店客数の平準化を促進。結果、友だち追加した全ユーザーの約半数がショップカードを利用しています。
2-2.ぼてぢゅう(お好み焼き)
モダン焼発祥の店として、国内外合わせて約100店舗を展開するお好み焼店「ぼてぢゅう」は、効率的なユーザーコミュニケーションを目的に2017年10月にLINE公式アカウントを開設しました。以降、来店者数の拡大を目指して主にクーポンを活用した新規集客に力を入れています。
ぼてぢゅうは1946(昭和21)年に大阪府で創業して以来成長を続け、現在、国内で63店舗(フードコートを含む)、海外で35店舗を展開しています。主力メニューであるモダン焼のほかにも、現地の食材を使用したご当地メニューを用意するなどして、地域や年代を問わず多くのユーザーから支持を集めています。また、創業から75年以上経つと、ご愛顧くださるお客さまも高齢化してきます。既存のお客さまを大切にしながら、若年層のファン獲得を目指すにあたり、人々の日常に浸透したLINEであれば効率的な情報発信が実現できると考えました。
2017年10月にぼてぢゅうブランドをはじめとした48店舗でLINE公式アカウントを一斉に開設し、メールマガジンよりも気軽に開封してもらえるLINEの強みを活かしてメッセージ配信を中心に各種情報をユーザーに届けています。
LINE公式アカウントから届く情報はユーザーのスマホにプッシュ通知が可能なため、高い開封率が期待できます。その特徴を生かして、お得なキャンペーンやデザートプレゼントなどユーザーメリットのある情報のほか、定期的に各種クーポンを配信してユーザーの来店を促しています。
友だち追加したユーザーが利用可能な友だち登録クーポンについては、開封率が高い店舗では90%を超えたケースもあるといいます(同社調べ)。メッセージ配信のほかにも、店舗によってはテーブルの上に設置したPOPやスタッフからの声がけでもクーポン利用を促しています。実際に2020年10月10日に配信した「豚玉500円クーポン」の利用件数を調べたところ、配信直後の利用が最も多く、その後は約1カ月にわたって週末の利用数が増えたことがわかりました。
2-3.黒亭(ラーメン)
らーめん屋「黒亭」は、店舗とECショップ、それぞれのLINE公式アカウントを開設、運用しています。キャンペーン情報やクーポンなどユーザーに直接メリットがあるメッセージに加えて、ブランドイメージを効果的に伝えるコンテンツを配信しています。また友だち追加広告を活用して効率的な友だち獲得に努めています。
2019年11月から出稿を開始し、月2-3万円の出稿を続けた結果、LINE公式アカウントの友だち数は500名から3,700名となり、700%以上増加しました。また、友だち追加特典として商品をお得に購入できるように価格を設定、現在のCPF(友だち一人あたりの獲得コスト)は60円と想定より低い数値を実現しています。
また、店舗とECのLINE公式アカウントそれぞれで顧客の生活サイクルに合わせたメッセージ配信を行っています。例えば店舗のアカウントでは週末の来店を促進するために毎週金曜日にメッセージを配信、ECのアカウントでは休日の購買を促進するために毎週土曜日にメッセージ配信を行っています。
その他にも、ユーザーの誕生日月に合わせたメッセージ配信なども行っています。誕生月にあわせて「餃子クーポン」を配信したところ、1500個もの注文が入ったそうです。また、自社ブランドの公式オンラインショップ、採用ページなどリッチメニューを活用したコンテンツ配信にも力を入れています。季節などにあわせて、その時々に打ち出したいクリエイティブに差し替えながら運用しているそうです。
2-4.シンラガーデン(焼き肉)
シンラガーデン本店 店長の西川さんはLINE公式アカウントの友だちを増やすにあたり、以前、自身がかつて家電量販店で携帯電話の販促Webページを制作していた時の経験を生かして、いかにお得な情報訴求ができるかを重視しています。
具体的には、ユーザーにおしぼりを渡す際などに、上記のようなシンプルなA4サイズのポップを使ってLINE公式アカウントの友だち追加を促すよう店舗オペレーションに組み込みました。「今すぐ使えるクーポンがもらえるという『即効性』は飲食業と相性が良い」と西川さんは語ります。
地道な案内を重ねた結果、約9,700人の友だちを獲得(2020年8月末時点)。同アカウントの友だちは、シンラガーデンを利用するファミリー層の中でも、特にお得な情報に敏感な30代〜40代の主婦が多いということです。
新型コロナウイルスの影響を受け、店舗の営業自粛を決断したのは2020年4月のこと。以降、5月末までの約2カ月間、シンラガーデンはテイクアウト・デリバリーサービスのみに切り替えて営業を行いました。
LINE公式アカウントのメッセージ配信ではなるべく情報量を削り、詳細はLPで確認してもらうようにしました。
また、メッセージと一緒に先着200名に「自家製カクテキをプレゼント」といったクーポンもつけ、お得な情報に敏感な主婦層のアクションを喚起。注文は電話で受けるようにしたそうですが、「メッセージ配信後は、注文の電話の受けている最中にキャッチが鳴り止まないほど」と西川さんは語ります。
アカウントの開設以降、地道に増やしてきた友だちを基盤にした情報発信が功を奏し、2020年5月のテイクアウト・デリバリーサービスの売り上げは前年同月比の店舗売上と比較して121%を記録。1カ月で約5,000個の焼肉弁当を販売し、店舗休業による売上ダウンをカバーすることができました。
2-5.いけのめだか(居酒屋)
2020年4月17日、緊急事態宣言の発令を契機に、いけのめだか西原店ではLINE公式アカウントを開設しました。プッシュ通知によって閲覧率が高いLINEのメッセージ配信を活用してデリバリーサービスを訴求すれば、売り上げを補填すると同時にユーザーの自宅に温かい食事を届けることができると考えたためです。
準備は急ピッチで進められ、店舗の半径2km圏内でLINE公式アカウントを活用したデリバリーサービスを訴求するポスティングを開始しました。
2020年4月末までに合計600枚のチラシを配布し、そこから約70名超の友だちを獲得。「多くの方が友だち追加してくれたことに驚いた。また、注文をLINEに一本化すればお客さまとのやりとりをテキストで残せるため、ミスなく対応できると思った」と益成さんは語ります。
いけのめだか西原店のデリバリーサービスは、基本的に「LINEチャット」を活用します。初回の注文時にはテンプレートに沿って氏名・住所・電話番号・希望するメニューと配達時間を記入してもらい(※)、受注ミスの発生を防ぎます。また、ユーザーに送信してもらう「位置情報」が配達時に大変役立っているそうです。
急ピッチで準備を進めたデリバリーサービスですが、受注時や配達時における人的ミスをなくす取り組みを行った結果、現在までにトラブルは発生していないといいます。中には、リピート注文のユーザーがいるほど好評で、2020年5月は平均して1日8件の注文がありました。
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