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X(旧Twitter)やInstagramに画像を投稿するとき、「ALT」というボタンを見たことがある方は多いはずです。しかし、実際に毎回入力している企業アカウントはまだ少数派です。
ALTテキストは、視覚に障害のあるユーザーがスクリーンリーダー(画面読み上げソフト)で投稿内容を理解するための唯一の手がかりになります。設定していない投稿は、その人たちにとって「画像が存在しないのと同じ」状態です。
この記事では、ALTテキストの基本的な意味から、X・Instagramでの具体的な設定手順、企業アカウントが今取り組むべき理由までを一次情報にもとづいて整理します。
ALTテキスト(代替テキスト)とは何か
ALTテキストとは、画像の内容を説明する短い文章のことです。「alternative text(代替テキスト)」の略で、X(Twitter)やInstagram、Facebookなど主要SNSに共通する機能として提供されています。
画像を「言葉」で伝える仕組み
X公式ヘルプでは、ALTテキストについて「視覚に障害がある人、弱視の人、支援技術を使う人、低速回線の地域に住む人、より多くの文脈を求める人をサポートするもの」と説明しています(X Help「How to add image descriptions」)。
スクリーンリーダーは画像そのものを認識できません。画像にALTテキストが設定されていれば、その文章を音声で読み上げて内容を伝えられますが、未設定の場合は「画像」とだけ読み上げられるか、何も読み上げられずに終わります。X向けにALTテキストを1,000文字まで入力できる点も、X公式ヘルプで明記されています。
SEOの「alt属性」とSNSの「ALTテキスト」の違い
「altタグ」「alt属性」という言葉を、Webサイト運用の文脈で聞いたことがある方もいるでしょう。こちらはHTMLのimgタグに設定する属性で、検索エンジンのクローラーに画像内容を伝えるSEO施策として使われます。設定方法や活用のコツは、当ブログの「【超入門】SEOに効果的な画像の使い方とaltタグをわかりやすく解説!」で詳しく解説しています。
一方、本記事で扱うSNSのALTテキストは、X・Instagramなど各プラットフォームがアプリ内に用意した入力欄に文章を入れるものです。裏側の実装は非公開ですが、「画像を見られない人に内容を伝える」という目的はWebサイトのalt属性と共通しています。SEO目的の画像最適化と、SNS投稿のアクセシビリティ対応は、似て非なる別の作業として管理するのがおすすめです。

企業アカウントがALTテキストに取り組むべき理由
「時間がかかるから」「誰もクレームを言ってこないから」という理由でALTテキストを後回しにしている運用担当者もいるかもしれません。しかし、企業アカウントには個人アカウント以上に対応を急ぐべき事情があります。
2024年4月、事業者の「合理的配慮」提供が義務化
内閣府は、改正障害者差別解消法の施行により、2024年4月1日から事業者による「合理的配慮の提供」が努力義務から法的義務に変わったと発表しています(内閣府「令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されました」)。合理的配慮とは、障害のある人から社会的なバリアを取り除くための対応を求められたとき、事業者が過重な負担にならない範囲で必要な対応を行うことです。SNSの投稿画像にALTテキストがなく内容を理解できない、という申し出があった場合、企業側の対応が求められる場面が今後増えていくと考えられます。
WCAGが定める国際基準
Webアクセシビリティの国際基準であるWCAG(Web Content Accessibility Guidelines)は、達成基準1.1.1「非テキストコンテンツ」において、ユーザーに提示される非テキストコンテンツには同等の目的を果たすテキストによる代替を用意すべきだと定めています(W3C WAI「Understanding Success Criterion 1.1.1: Non-text Content」)。この基準はWebサイトを主な対象としていますが、画像を扱うすべての情報発信に通じる考え方として、SNS運用の現場でも参照されています。
設定しないことで生じる機会損失
ALTテキスト単体の話ではありませんが、当ブログでは「SNSのアクセシビリティ対応!誰もが情報にアクセスできる発信のために企業がすべきこととは」で、配慮に欠けた投稿がユーザー離脱や信頼低下につながるリスクを解説しています。ALTテキストが未設定の投稿を繰り返すアカウントは、「この企業は自分たちのことを想定していない」という印象を一部のユーザーに与えかねません。逆に、地道な対応を続けることは、ブランドへの信頼につながる小さな積み重ねになります。
X(Twitter)でのALTテキストの付け方
ここからは、X公式ヘルプの内容にもとづいて、実際の設定手順を確認します(参照日: 2026年8月24日)。
スマホ・PCでの設定手順
- 画像を投稿に追加した後、画像上に表示される「+ALT」ボタンを選択する
- 表示されたテキストボックスに画像の説明を入力する
- 「完了」(PCでは「保存」)を選択すると、画像の隅に「ALT」バッジが表示される
- そのままポストすると、投稿された画像にもALTバッジが残り、閲覧者がタップ・クリックすると説明文が表示される
この手順はX公式ヘルプ「How to add image descriptions」に基づいています。アプリのバージョンによってボタンの位置や表記が変わる場合があるため、実際の画面と異なる場合は最新のヘルプページを確認してください。
文字数上限と複数枚投稿時の注意点
X公式ヘルプによると、ALTテキストは1枚の画像につき最大1,000文字まで入力できます。複数枚の画像を投稿した場合は、1枚ずつ個別に「+ALT」ボタンを選んで設定する必要があり、一括入力はできません。投稿前に画像ごとの説明を用意しておくと、投稿作業がスムーズになります。
X公式が推奨する「良い書き方」
X公式ヘルプ「How to write great image descriptions」では、良いALTテキストを書くための推奨事項が示されています。主なポイントを要約すると以下のとおりです。
- 人物・行動・関係性など、画像内で重要な情報を優先して書く
- 簡潔かつ具体的に、通常の文章の形式で書く(単語の羅列にしない)
- 「〜だと思う」「〜のようだ」といった主観的な解釈ではなく、客観的に見えているものを書く
- 画像内に文字がある場合は、その文字を書き起こす、または要約する
- 「画像」「写真」といった冒頭表現は不要(スクリーンリーダーが画像であることを自動的に伝えるため)
投稿本文にすでに書いてある情報(人物名や商品名など)をALTテキストで繰り返す必要はない、という点も明記されています。本文とALTテキストで役割を分担する意識を持つと、読み上げ時の冗長さを避けられます。
「隠しテキスト」としての誤用に要注意
SNS運用支援を手がけるコムニコは、自社メディアの記事で、ALTテキストを「画像にない情報を隠す場所」として使う投稿が増えており、批判を集めるケースがあると指摘しています(コムニコ「We Love Social」2026年7月22日公開記事)。具体的には、レシピの詳細や裏話をALTに書き込む、無関係なハッシュタグを羅列する、クイズの答えを隠すといった使い方が挙げられており、これらは画像の内容を知りたい視覚障害のあるユーザーに無関係な長文を読み上げさせてしまう、本来の目的から外れた使い方だと説明されています。企業公式アカウントとしては、ALTテキストはあくまで「画像の内容を伝える」用途に限定し、伝えたい追加情報は本文やリプライに書くのが適切です。
Instagramでの代替テキストの付け方
Instagramでは「代替テキスト」という名称で同様の機能が提供されています。Meta公式ヘルプセンター「How do I edit the alternative text for a photo on Instagram?」にもとづいて手順を確認します。
投稿前に設定する手順
- 写真を選択し、フィルターや編集を終えたら「次へ」をタップする
- 投稿の詳細設定画面で「詳細設定」を開く
- 「代替テキストを書く」をタップし、説明文を入力する
- 入力後、iOSは「完了」、Androidは対応するボタンで確定する
投稿後に編集する手順
投稿済みの写真でも、後から代替テキストを編集できます。対象の投稿を開いてメニュー(三点リーダー)を選択し、「代替テキストを編集」をタップして書き直し、保存すれば反映されます。投稿時に設定を忘れた場合も、気づいた時点で追加できる仕組みです。
自動代替テキスト(AI)の仕組みと限界
Meta公式ヘルプは、ユーザーが代替テキストを入力しなかった場合、物体認識技術によって自動生成された説明(自動代替テキスト)が使われると説明しています。この自動生成は便利な一方で、「白い皿の上の食べ物」のような大まかな説明にとどまりやすく、商品名やキャンペーンの文脈までは伝えられません。企業アカウントでは、自動生成に任せきりにせず、投稿のたびに手動で代替テキストを設定することが推奨されます。
X・Instagram・その他プラットフォームのALTテキスト仕様比較
本記事で確認できた公式情報の範囲で、主要SNSのALTテキスト仕様を整理しました。TikTok・Facebookは執筆時点で確認できた機能の概要のみを簡潔に記載しています。
| プラットフォーム | 呼び方 | 文字数上限 | 設定タイミング | 自動生成 |
|---|---|---|---|---|
| X(Twitter) | ALTテキスト(代替テキスト) | 1,000文字 | 投稿時のみ(画像ごと) | なし(公式ヘルプに記載なし) |
| 代替テキスト | 公式ヘルプに明記なし | 投稿前・投稿後どちらも可 | あり(物体認識による自動代替テキスト) | |
| 代替テキスト | 公式ヘルプに明記なし | 投稿前・投稿後どちらも可 | あり(自動生成の説明が付与される場合あり) | |
| TikTok | ALTテキスト | 公式発表に文字数上限の明記なし | 投稿時・投稿後どちらも可 | AI生成機能をテスト中(2025年5月時点の公式発表) |
Facebookの代替テキスト編集手順はMeta公式ヘルプ「Edit the alternative text for a photo on Facebook」で、TikTokの写真投稿向けALTテキストはTikTok Newsroom「Celebrating Global Accessibility Awareness」(2025年5月14日公開)で、それぞれ確認できます。TikTokはAI生成のALTテキストを2025年5月時点でテスト中と発表されていますが、日本での提供状況や本実装の時期は本記事執筆時点(2026年8月24日)で公式な続報を確認できていません。
【企業アカウント運用者向け】ALTテキストを運用フローに組み込む方法
ここまでの内容は「1投稿あたりの付け方」でしたが、複数人で複数アカウントを運用する企業では、個人の心がけだけに頼ると設定漏れが必ず発生します。ここでは、運用フローに組み込むための実践的な工夫を紹介します。
投稿テンプレートに「ALT欄」を追加する
投稿案を作成するスプレッドシートやカレンダーツールに、本文・画像とあわせて「ALTテキスト」欄をあらかじめ用意しておきます。投稿の承認フローに「ALT欄が空欄でないか」を確認する項目を加えるだけで、設定漏れは大きく減らせます。撮影・デザイン担当が画像を用意する段階で、簡単な説明メモを残しておいてもらう運用も有効です。
AI下書き+人間チェックの二段構え
コムニコの記事でも紹介されているとおり、生成AIに画像を読み込ませてALTテキストのたたき台を作らせる方法は、作業時間の短縮に役立ちます。ただし、AIは画像に写っていないものを補って説明してしまう(ハルシネーション)ことがあるため、AIが出した文章をそのまま使わず、必ず担当者が画像と照らし合わせて確認・修正してから設定する運用にしましょう。特に固有名詞(商品名・ブランド名・キャンペーン名)はAIが誤認識しやすいため、重点的にチェックする対象です。
NGパターンを明文化してチーム内で共有する
「ALTに裏話やレシピを書かない」「無関係なハッシュタグを入れない」「ネタバレやクイズの答えを隠す用途で使わない」といったNGパターンは、担当者の感覚に任せず、SNS運用マニュアルに明文化しておくことをおすすめします。担当者が変わっても一貫した対応を保てるうえ、良かれと思って書いた長文ALTがかえって炎上リスクになる事態を防げます。合わせて、月に一度など定期的に自社アカウントの投稿を音声読み上げ機能で確認し、実際にどう聞こえるかをチームで体感しておくと、マニュアルの実効性が高まります。
まとめ
ALTテキストは、画像を見られないユーザーに内容を伝えるための短い説明文です。X・Instagramともに公式ヘルプで設定手順が案内されており、操作自体は数十秒で終わります。一方で、2024年4月の法改正やWCAGの国際基準を踏まえると、企業アカウントにとっては「余裕があればやる」項目から「運用フローに組み込むべき」項目に位置づけが変わりつつあります。まずは投稿テンプレートにALT欄を追加するところから、無理のない範囲で始めてみてください。
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出典
- X Help Center「How to add image descriptions」https://help.x.com/en/using-x/add-image-descriptions(参照日: 2026年8月24日)
- X Help Center「How to write great image descriptions」https://help.x.com/en/using-x/write-image-descriptions(参照日: 2026年8月24日)
- Instagram(Meta)ヘルプセンター「How do I edit the alternative text for a photo on Instagram?」https://help.instagram.com/503708446705527(参照日: 2026年8月24日)
- Facebook(Meta)ヘルプセンター「Edit the alternative text for a photo on Facebook」https://www.facebook.com/help/214124458607871(参照日: 2026年8月24日)
- TikTok Newsroom「Celebrating Global Accessibility Awareness: Building an Accessible and Inclusive TikTok」2025年5月14日 https://newsroom.tiktok.com/en-us/celebrating-global-accessibility-awareness
- 内閣府「令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されました」https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai_leaflet-r05.html(参照日: 2026年8月24日)
- W3C WAI「Understanding Success Criterion 1.1.1: Non-text Content」https://www.w3.org/WAI/WCAG21/Understanding/non-text-content.html(参照日: 2026年8月24日)
- コムニコ「We Love Social」【2026年最新版】X(Twitter)「ALT・代替テキスト」の正しい使い方 2026年7月22日公開 https://www.comnico.jp/we-love-social/x-alt