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「マーケティングとセールスとの違いとは」。このような解説を目にしたことはありませんか? しかし、本当にマーケティングとセールスは「違う」ものなのでしょうか。本記事ではこのふたつの役割をもう一度捉えなおし、マーケティングができることについて解説していきます。

セールスとマーケティングの関係って?

「セールスは現場で、マーケは企画」そんなイメージを持っている人も少なからずいるかもしれませんが、そもそもそういった捉え方は適切なのでしょうか。マーケティングとセールスについて、それぞれもう一度考え直してみましょう。

優れたマーケティングはセールスを不要にする?

「優れたマーケティングはセールスを不要にする」。一言一句同じでなくとも、このような言説を目にしたり、聞いたりしたことはないでしょうか。これはマーケティング研究の重鎮であるフィリップ・コトラーの言葉です。

マーケティングとは、一言で言うと市場を創造すること。マーケティングにより消費者の需要がしっかり掘り起こされていれば、現場でのセールスに力を入れていなくとも商品が売れるはずだ、という文脈でこの言葉が使われることが多いようです。

参考:マーケティングの理想は販売を不要にすることである | 実践するドラッカー【事業編】 | ダイヤモンド・オンライン

セールスは広義でのマーケティングの一環

さて、それでは、セールスとは本当にマーケティングにとって「不要なもの」であり、切って捨てるべき対象なのでしょうか? マーケティングとセールスは対立する立場なのでしょうか?

マーケティングの基本的なフレームワークに「マーケティング・ミックス」というものがあります。これは「Product(製品)」「Price(価格)」「Promotion(販促・プロモーション)」「Place(場所)」の「4P」を戦略的に決定していくための考え方の枠組みです。

この中にプロモーションがあるのに注目してみましょう。セールスの現場では、販売促進活動全体を総称して「セールスプロモーション」という用語が使われます。つまり、セールスは決してマーケティングと対立する立場なのではなく、広義でのマーケティング活動に含まれるものなのです。

マーケティングは広告担当、ではない

「マーケティングとセールスはどう違うのか」と考えてしまうことの背景には、マーケティングを広報・広告担当と同義に捉えてしまっているということがあるかもしれません。もちろん広報や広告はマーケティングにとって重要な要素ではありますが、それだけをやっていれば良いというものではないわけです。

それでは、セールスにおけるマーケティングの役割とは一体どのようなものなのでしょうか。

マーケティング担当者としてセールスについて考えておくべきこと

マーケティングとしてセールスに取り組むとしたら、どのようなことについて考えておく必要があるでしょうか。意外と見落としがちなポイントをさらってみましょう。

非計画的な購買は意外と多い

マーケティングにまつわる調査研究によると、一般消費者がスーパーなどで消耗品や食料品を買う場合、買うものが事前に決まっていない「非計画購買」の割合は非常に高いと言われています。仕事帰りにスーパーに寄り、とりあえず店頭に並んでいるものを買って何とか夕飯を作る、という経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。

つまり、多くの消費者は商品に対する知識や印象に加え、その日の体調、価格、天気など様々な要素を総合的に判断して買い物をしています。「トイレットペーパーを買いたかったけれど、雨だからやめておこう」ということも十分ありうるわけです。

参考:

マーケティング・コミュニケーション管理の戦略的枠組の提案 : 店頭マーケティング・コミュニケーションの位置づけ | 多摩大学学術情報リポジトリTama蔵

プッシュ戦略・プル戦略をバランス良く

そのような点から、セールスの現場でのプロモーション活動は意外と重要です。たとえば、消費者には売り場を見たときに「楽しい」「きれい」といった快楽的価値を与えたり、容量アップ・値引きキャンペーンなど分かりやすく功利的なな価値があったりする商品を選ぶことも分かっています。

これらはいわゆるプッシュ戦略・プル戦略に含まれるものです。プッシュはメーカーから小売側にリソースを押し出していくこと(販売人員の派遣・リベート実施など)で、プル戦略は消費者の購買意欲を喚起すること(値引き・店頭での広告実施)です。

プッシュ戦略・プル戦略は、戦略と呼ぶには非常にざっくりとしているように感じられるかもしれません。しかし「何となく」来店している消費者にとっては十分に購買の決め手になりうるものなのです。

参考:

インセンティブに対する感情要因の研究 | 大阪市立大学 学術機関リポジトリ詳細画面

マーケティングは買い物前も考える

最後に、もう一度マーケティングの役割について考えて起きましょう。マーケティングは市場を創造する仕事です。マーケティング的に優れた商品は、顧客の需要を何らかの形で喚起し、問題を解決する力を持っています。たとえば一度に使う量が少なくて済むので仕事帰りにも買いやすい洗剤、個包装になっていて保存しやすいマスク、詰め替えが他社製品に比べて各段に楽なシャンプーなどです。

これらの情報は、実際の購入段階よりも以前に消費者に手渡すことができるものです。「こういう便利な製品があるらしい」という前知識があれば、店頭で快楽的・功利的な価値を発見したときにより購入される確率が高まります。

プッシュ戦略・プル戦略も重要ですが、どのような商品を作り、どんな層に訴求したいのかは、マーケティングが何よりも先にコンセプトを固めておくべきポイントです。

まとめ

対立する立場として捉えられがちなマーケティングとセールスの関係について解説しました。マーケティング的発想を上手にセールスの現場に落とし込んでいくと、買い物前からリピーター獲得まで幅広い範囲で見込み客を獲得することができます。実際に自社のケースで考えてみてください。

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