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ここ数年、サブスクリプション型のサービスが次々と登場したことを皮切りに、日本でもカスタマーサクセスという言葉が浸透してきました。

転職市場においても求人数自体が数年前と比較して圧倒的に増えていますし、ビジネスパーソンであれば言葉自体はきっと一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

しかし、実際のところカスタマーサクセスを正確に理解している人は少ないかもしれませんね。

「カスタマーサポートと同じではないの?何が違うの?」と思われる方も多いかもしれません。

本記事ではそんな、「聞いたことはあるけど、実際何をやるのかわかりづらい」カスタマーサクセスをできる限り詳細に解説します。

1.カスタマーサクセスとは

はじめに、「カスタマーサクセス」の言葉の意味から確認していきましょう。

カスタマーサクセス(Customer Success)とは、直訳すれば「顧客の成功」という意味です。

やることは名前の通りで、サービス・商品を既に購入している顧客に対し能動的に関わっていくことで、「顧客のサクセス(成功体験)の実現」を支援します。

ここで重要なのは、「能動的」であるという点です。

能動的にカスタマーサクセスを支援していくことが大きな特徴となります。

これまでにもサービス・商品を購入した顧客へのカスタマーサポート、アフターフォローは多くの会社が行っていました。

例えば、製品やサービスを購入すると、必ずといっていいほどカスタマーサポートセンターへの連絡先・電話番号がどこかに掲載されていましたよね。

しかし、あくまでもそれは顧客側で不明点や不具合が出た場合のみ。

顧客から問い合わせがあった際に対応を行う、という「受動的」な接し方でしかありませんでした。

しかし、カスタマーサクセスは違います。

カスタマーサクセスが動くのは顧客から求められたときだけではありません。

普段から顧客に能動的にかかわり、ビジネスがどこへ向かっているのか、そのゴールを把握したうえで、提供しているサービスの効果を発揮させる使い方をガイドします。

さらに、時にはもっと深く、いわばコンサルタントのように顧客の課題解決に関わっていく場合もあるのです。

顧客のビジネスの成功に向けて共に並走する心強い存在、それがカスタマーサクセスと言えるでしょう。

2.カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い

カスタマーサクセスとカスタマーサポート。両者とも名前が似ていますし、混同されがちですよね。

ここでは、カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いについて確認しておきましょう。

カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、「取り組む姿勢の違い」「KPIの違い」「必要とする商材・会社の違い」の3点から違いを説明することができます。

2-1.取り組む姿勢の違い

「カスタマーサクセスは能動的に顧客に関わる」という説明は、先ほどもしましたね。

一方カスタマーサポートは、カスタマーサクセスとは真逆で受動的に顧客に関わる場合が多いです。

具体的にやることとしては、電話やチャットを用いた問い合わせ(クレーム)対応、FAQの作成などが挙げられます。

この違いの背景としては、両者の目的の相違があるといえるでしょう。

カスタマーサポートの目的は、主に「顧客の不満や不便の解消によって、顧客満足度を上げること(下げないこと)」です。

ですので、必要以上に顧客に関わる必要はありません。

一方、カスタマーサクセスの目的はあくまで「顧客のサクセス(成功)の実現」をすることです。

ですので必然的に、待ちの姿勢ではなく能動的に様々な支援を行っていく必要があります。

2-2.KPIの違い

違いの2つ目としてはKPIの違いが挙げられます。

カスタマーサクセスは後述する「解約率」「アップセル率・クロスセル率」「顧客満足度・NPS®」などがKPIになるのに対し、カスタマーサポートでは顧客への対応回数や返信時間の短さがKPIになります。

KPIについても、違いの理由は目的の相違によるものだといえます。

カスタマーサポートの場合は、目的が「顧客の不満や不便の解消によって、顧客満足度を上げること(下げないこと)」ですので、どれだけストレスなく、つまり迅速に顧客対応ができるかがカギになります。

また、不満を抱える人の数を減らすことができれば顧客満足度は上がりますので、対応できる人数も多いほうがいいですよね。

一方、カスタマーサクセスの目的は「顧客のサクセス(成功)の実現」ですので、顧客の不満を迅速に解決するだけでは十分とは言えません。

ですから、KPIもカスタマーサポートとは違った目線のものになるのです。

2-3.必要とする商材・企業の違い

カスタマーサクセスとカスタマーサポートの3つ目の違いは、必要とする商材・企業の違いです。

カスタマーサポートは基本的にどの企業にも必要な存在といえますが、カスタマーサクセスはどの企業にも必要な存在ではありません。

基本的には、BtoB企業や後述するSaaS(サース:software as a service)企業にのみ所属する役割です。

この理由については、後述の「カスタマーサクセスがSaaSに必要な理由」にてご紹介していますので、後ほど確認していきましょう。

3.カスタマーサクセスが求められる背景

近年、急速に認知拡大を進めているカスタマーサクセスですが、そもそもなぜカスタマーサクセスはこれほどまでに世の中から求められているのでしょうか。

その答えは、「サブスクリプションモデルのビジネスの急激な増加」という点から説明することができます。

ここ数年でサブスクリプション型のビジネスは大きく勢力を伸ばしてきました。

それは、NetflixやAmazon PrimeといったBtoCのサービスにとどまらず、BtoBのサービスにまで拡大してきています。

特にBtoBのサービスが広まった背景としてはクラウドが普及したことが挙げられるでしょう。

SaaS(サース:software as a service)と呼ばれることもありますが、近年こうしたクラウド型のプロダクトがBtoBのツールとしては主流となっており、その背景には導入のしやすさとインターネットさえあればどこでも使えるという利便性の高さがあります。

そして、この現在大注目のSaaSに欠かせない職種がカスタマーサクセスなのです。

3-1.カスタマーサクセスがSaaSに必要な理由

ところで、なぜSaaSにはカスタマーサクセスが重要なのでしょうか。

それは、SaaSツールにおいては営業が受注するのと同じくらい、カスタマーサクセスが「顧客のサクセス(成功)の実現」によって解約を防ぐことが重要になるからです。

その理由を明らかにしていく前に、まずはSaaSが普及する前までの営業において「なぜカスタマーサクセスが存在しなかったのか・重要視されなかったのか」を確認していきましょう。

これまでのBtoBのツールは、そのほとんどが買い切り型でした。

買い切り型の製品において営業は、受注後・購入後の顧客についてそこまで深く気にかける必要はありません。

というのも、ただでさえ高額でシステム構築にも時間のかかる製品ですから、顧客側は多少の不満があっても数か月、数年単位ではなかなか買い替えることはできないのです。

つまり、これまでの営業はまさに「売ったもん勝ち」。

一度売ってしまえば、その後売り手側が懸念するような問題はあまりなかったのです。もちろん、カスタマーサポートは多くの会社が行っていたものの、特に直接的に収益を左右するものでもないため、そこまで注意を払う必要はありませんでした。

一方、SaaSツールはそれまでの買い切り型の商材とは全く真逆といえます。

SaaSツールは多くが月額制の製品になりますので、一回あたりに支払う金額は少額になることがほとんどです。さらに、ほとんどがクラウド型であるためシステム構築に大きな手間もかかりません。

すると、SaaSツールは「すぐに簡単に導入できる」ツールといえますし、さらに言えばSaaSツールは、解約する際のリスクが小さいため、顧客からみれば「合わなければ、比較的楽に変えられる」非常に都合のいいツールにもなります。

しかし、売り手から見ればこれは大問題。

不満があったり、競合からより良い製品が出たら、簡単に解約されたり、乗り換えられてしまうかもしれませんよね。

さらに、安価な月額料金ですから、仮に営業が苦労して受注したとしても半年ほどの契約期間で解約されてしまっては、ほとんど利益は得られません。

そこで、SaaSツールにおいてはどれだけ継続して利用してもらえるか(=どれだけ解約を抑えられるか)が重要となってきました。

さらに、この流れの中で「顧客のサクセス(成功)の実現」をすることが重要視されるようになったのです。

なぜなら、「顧客のサクセス(成功)の実現」ができれば、顧客の満足度を高めることができ、満足してもらえる分だけ契約し続けてもらえますよね。

つまり、こういった背景のもとで、SaaSツールにおいては「顧客のサクセス(成功)の実現」の総量が、収益に直接還元されるようになったのです。

そして、この変化に伴ってLTV(Life Time Value、取引期間中に顧客から得られる収益の総額のこと)やアップセル(上位モデルに乗り換えてもらうこと)やクロスセル(別の製品を契約してもらうこと)という概念が注目されるようになりました。

「顧客のサクセス(成功)の実現」を続けるためには、主に2つの要素が重要となります。

1つは「顧客のニーズに合った機能を備え、かつ使いやすいツールを開発し続けること」、2つ目は「ツールの持つポテンシャルを十分に引き出して、顧客の事業成長に活かせるように援助していくこと」。

そして、カスタマーサクセスが担うのはこのうちの後者。

すなわち、カスタマーサクセスは「顧客のサクセス(成功)の実現」の責任の半分を担う存在であり、さらに言えば、収益の半分の責任を担う存在といえるのです。

カスタマーサクセスがなぜ、ここまで世の中から必要とされるようになったのか、おわかりいただけましたでしょうか。

カスタマーサクセスは、職種としてはまだまだ発展途中ではありますが、決して営業や他職種に対して軽んじられるような存在ではありません。

SaaS業界においてはむしろ、他の職種よりも重い責任とミッションを背負った、非常に重要な役割なのです。

3-2.カスタマーサクセスとCXとの関係

ここまで、カスタマーサクセスが世の中から求められる理由について「SaaSの発展」という観点からご説明してきました。

しかし実は、現代にカスタマーサクセスが求められるのにはもう一つ理由があります。

それは、CXという概念の浸透です。

ここで一度、CXという言葉の意味について確認しておきましょう。

CXとはCustomer Experienceの略で日本語では「顧客体験」と訳され、購入前から購入後までの顧客の体験の良さのことを指します。

そして、このCXという概念は、BtoC、BtoB問わず近年非常に浸透してきました。

というのは、今は「モノ」よりも「コト」が重視される時代になっているからです。

例えば、大手コーヒーチェーンであるスターバックスは他の企業よりも早くからこの概念に注目し、コーヒーを提供することではなくスターバックスを「第三の場所」とすること、すなわち空間の体験づくりを行うことを重視してきたことが知られています。

その結果、スターバックスは日本でも急速に店舗を拡大し、今や日本一のコーヒーチェーンになっていますよね。

そして、これはカスタマーサクセスにとっても重要な概念です。

というのも、カスタマーサクセスがどのように顧客に接したり、関わったりするかという「顧客との関係」がそのままCXになるからです。

例えば、自分が顧客であると想像してみましょう。

もし、いつも連絡をくれるカスタマーサクセスの人がとても感じのいい人だったらその製品に良い印象を持つことになりますよね。

逆にもし、感じの悪いカスタマーサクセスの人が担当だとしたら製品に対してあまり良い印象は持てないかもしれませんし、援助してほしいとも思わないかもしれません。

つまり、カスタマーサクセスとはそれ自体がCXを向上させる役割でもあるといえます。

CXの観点から見ても、カスタマーサクセスは非常に重要な役割を担っているわけなのです。

3-3.市場の成熟と他社サービスとの差別化の必要性

グローバル化が進み、市場が成熟しきった現代では、世界中の様々な場所で同じようなサービスを提供することができるようになっています。

このような状況では他社サービスとの差別化・独自化を図って競合を勝ち抜かなければなりません。

しかし、技術を駆使して製品の差別化をしても、情報がすぐに出回るために、どんどん真似されたり追いつかれてしまいます。

そのため、企業はカスタマーサクセスという顧客と一対一の環境で、より適切なサービス・フォローを常時提供していくことで、顧客の獲得、維持、成長を進めていく必要があるのです。

4.カスタマーサクセスにおけるKPI

カスタマーサクセスでは成果を示す指標として、複数のKPIを活用します。

ここでは主な4つのKPIを取り上げ、チェックすべきポイントを確認していきましょう。

〇LTVの最大化

SaaSでは契約期間が長いほど、企業に利益が生まれます。

この点で、LTV(顧客生涯価値)は重要なKPIです。

数値が大きくなるほど、継続して企業に利益をもたらす「お得意様」になっていることを示します。

逆に、LTVが少ない顧客ばかりの場合は、サービス内容が顧客から求められているものかどうか真剣に検討しなければなりません。

この点で、SaaS運営会社にとって、LTVの最大化は至上命題ともいえるでしょう。

LTVの計算方法はいくつかありますが、「年間取引額×収益率×契約年数」で求める方法が代表的です。

LTVを上げるためには、自社のサービスをますます利用してもらう取り組みが欠かせません。

チャーンレートを下げるとともに、より高額の、あるいはより多くのサービスを使ってもらう工夫が求められます。

以下で、どのような方法を取るべきか確認していきましょう。

〇チャーンレートの減少

チャーンレートの減少も、カスタマーサクセスにおける重要なKPIの一つです。

どれだけ高額で良質なサービスであっても、解約されてしまえば自社に入る収入はゼロになってしまいます。

たとえば、新規加入時に豊富な特典を用意して多くの顧客の加入につなげても、継続中の顧客に対してなにもケアをしないと、チャーンレートの高止まりとなりかねません。

これでは利用者数が増えないため、サービス向上への投資も思うようにできず、事業の先細りを招きます。

事業の拡大には、契約の新規獲得以上に、既存顧客への満足度向上が重要です。

解約の原因をリサーチし、どのような課題があるか認識しましょう。

適切な施策はチャーンレートの減少を実現し、増収と利益の拡大、事業の発展を後押しします。

〇アップセル・クロスセル率の向上

顧客当たりの収入を増やすことは、そのままLTVの増加につながります。

主な手法に挙げられている、アップセルとクロスセルを確認していきましょう。

用語意味
アップセル現状よりも高額のサービスに乗り換えるより高額のプランに変更する、ライセンス数を増やすなど
クロスセル契約中のサービスと別に、新たにサービスを契約する会計業務に加えて、人事業務に関するサービスも契約する

どちらもコンスタントな増収をもたらすため、カスタマーサクセスの重要なKPIに挙げられます。

もっとも、顧客は常にコスト削減を考えているため、アップセルやクロスセルの実現は簡単ではありません。

サービスを活用するベネフィットを提示し、顧客の納得を得ることが重要です。

顧客の成功につながる提案ができるかどうかは、カスタマーサクセス担当者の手腕が問われるポイントといえるでしょう。

顧客ロイヤリティの向上

カスタマーサクセスでは、「顧客ロイヤリティ」も重要なKPIに挙げられます。

顧客ロイヤリティは、顧客が自社のサービスに持っている愛着や信頼を指します。

NPS(Net Promoter Score)は顧客ロイヤリティを測定する重要な指標であり、値が大きいほど顧客ロイヤリティが高いことを示します。

NPSは顧客に対し、「あなたはこのサービスを知人に勧める可能性はどの程度ありますか?0から10の整数で点数をつけてください」という趣旨の質問を投げかけることから始まります。

顧客の回答は、以下の3種類に分類します。

点数分類先のグループ
6点以下批判者
7点~8点中立者
9点以上推奨者

NPSは、推奨者の割合から批判者の割合を引いた値となります。

例えば9点以上の割合が5%、批判者の割合が75%の場合、NPSはマイナス70です。

サービスを運営する際には継続率の高さに油断せず、「口コミで勧めたい」というレベルになるまで質を高めることが求められます。

そのレベルに達すればNPSも高くなり、事業環境が悪化しても離脱されにくい安定したビジネスとなるでしょう。

加えて、顧客が新たな顧客を呼び、販促を打つことなくユーザー数が増えることも期待できます。

5.カスタマーサクセスのKPI設定の考え方

カスタマーサクセスを行う際のKPI設定の考え方について解説します。

〇カスタマーサクセスを目指す上での前提

カスタマーサクセスで最も重要なのは、顧客が何に対して満足を得るかを認識することです。

具体的には、自社の商品やサービスによって、顧客が抱える問題をどのように解決できるのか、あるいはどのように自社の商品やサービスを利用すれば満足度が上がるのかといった、顧客のニーズに応える方策設定が求められます。

そのベースとして、顧客との信頼関係や自社の商品やサービスについての熟知が必要です。

〇LTVを最大化するための指標をKPIにする

カスタマーサクセスのKPIにどういう指標を設定するかは企業の考え方により異なりますが、自社の商品やサービスの継続的な使用によりLTVを最大化するための指標が設定されることが一般的です。

特にサブスクリプションなど継続的に利用してもらうことを想定したサービスの場合、1ヵ月や数ヵ月で解約となってしまっては成果につながりません。

安定的に利益を生み出すためには、解約率やオンボーディング完了率など、複数の指標をKPIに設定することが重要です。

6.カスタマーサクセスを達成するための主要KPI5つ

ここでは、カスタマーサクセスを達成するための主要KPIを5つ紹介します。

  • 解約率(チャーンレート)
  • オンボーディング完了率
  • NPS(顧客推奨度)
  • アップセル/クロスセル率
  • NRR(売上継続率)

1.解約率(チャーンレート)

解約率(チャーンレート)は、顧客が自社の商品やサービスを解約した率です。

顧客数をベースにして計算する「カスタマーチャーンレート」と、収益を基準にして計算する「レベニューチャーンレート」があり、何を評価したいかで使い分けます。

〇計算方法

解約率は、以下の計算式で求められます。

  • カスタマーチャーンレート = 解約した顧客数 ÷ 解約前の顧客数 × 100
  • レベニューチャーンレート = 解約によって失われた利益 ÷ 解約前の利益 × 100

さらに詳しく分けると、レベニューチャーンレートは2種類(グロスチャーンレート・ネットチャーンレート)に区分できます。

〇解約率を改善する具体例

チャーンレートが高くなってしまう原因は、下記のように様々です。

  • 顧客に利用価値を提供できていない
  • サービスの内容に対して価格が高い
  • 魅力的な他社サービスへの乗り換え
  • 顧客がサービスを利用する必要がなくなった

まずは、チャーンレートが高い原因を明確にし、改善を目指す必要があります。

2.オンボーディング完了率

そもそも顧客が商品・サービスを十分に利活用できていない場合は、継続利用につなげることは困難です。

顧客が商品・サービスを使いこなせるようになるまで支援する「オンボーディング」が終わっているかを、オンボーディング完了率で把握しましょう。

オンボーディングが完了し、顧客が商品・サービスを理解した上で使用開始することで初めて、「導入」から「運用」フェーズへ進むことができます。オンボーディング完了までに長期間かかる場合は解約率が高い傾向があるため、導入後のKPIとして重要です。

〇計算方法

オンボーディング完了率は、以下の計算式で求めます。

オンボーディング完了率 = 完了した顧客 ÷ オンボーディング期間の全顧客 

〇オンボーディング完了率を改善する具体例

オンボーディングが完了しない理由を、商品やサービス側と顧客側に分けて理由を分析します。まず顧客側の環境や状況を把握することが大切です。

利用開始までの平均期間を算出し、それ以上利用開始されていない顧客については、カスタマーサポート等で利用開始を促すなどの対応します。

その際に商品やサービスへの不満がある場合はスピーディに対応することが求められます。オンボーディング完了率の改善には、顧客の状況分析と顧客に寄り添った素早い対応が重要です。

3.NPS(顧客推奨度)

NPSは顧客推奨度のことで、Net Promoter Scoreの略称です。利用している商品やサービスを、顧客がどれくらい他者に勧めたいかを数値で表したものです。

自分が使用している商品やサービスを他者に勧めるには、顧客自身が商品やサービスに満足している必要があります。NPSが高いことは自社サービス全般の評価が高いことの表れです。

〇計算方法

NPSの算出方法は定型化されています。顧客に、他者に勧めたい度合いを0~10の11段階で評価してもらいます。それを「批判者(0〜6)」「中立者(7、8)」「推奨者(9、10)」の3つに分類し、「推奨者」の割合から「批判者」の割合を引いた数値がNPSです。

〇NPSを改善する具体例

顧客の評価は商品やサービスだけではなく、不具合や問題があった場合の問い合わせ対応にいたるまでが対象となります。

顧客の評価は、長い道のりを経てNPSへとつながるわけですが、その過程でNPSが下がってしまうことも少なくありません。そのような場合の改善施策として、以下のようなものが挙げられます。

  • 評価アンケート時に、要望や改善点をフリーコメント欄に記載してもらう
  • アップセル・クロスセルのアウトバウンド時に顧客の要望をヒヤリングする
  • 拡散力のある優良顧客やインフルエンサーに製品・関連サービスを理解してもらう

4.アップセル/クロスセル率

アップセル/クロスセル率は、売上(セル:Sell)の向上を示す指標です。

アップセルは顧客により単価の高い商品やサービスを利用してもらうこと、クロスセルはすでに契約している商品やサービスと関連する商品やサービスを勧め、顧客単価を引き上げることをいいます。サービスによっては、クロスセル対象になる追加サービスがない場合もあります。

LTV(顧客生涯価値)の観点からも、アップセル/クロスセル率を見ることは重要です。

〇計算方法

アップセル/クロスセル率の計算は、自社の定義で設定する場合が多いため、一般的な式として紹介します。

  • アップセル率 =アップセルをした顧客数 ÷ 全顧客数 
  • クロスセル率 =クロスセルをした顧客数 ÷ 全顧客数 

〇アップセル/クロスセル率を改善する具体例

アップセルの場合、商品やサービスの利用回数・頻度が高い顧客に対して提案を行うと、受け入れてくれる可能性があります。

クロスセルの場合は現状顧客が利用している商品やサービスと関連性があり、より満足度を高められる商品やサービスに関心がある顧客に対し提案を行うとよいでしょう。

5.NRR(売上継続率)

NRRはNet Revenue Retentionの略称で、売上継続率と訳されます。商品やサービスを購入した顧客の売上が維持、あるいは向上しているかの判断に使用されている指標で、サブスクリプションビジネスでは特に重要なKPIとなります。

指標判断では、NRRが100%を上回っていれば向上しており、月次や半期など、タームでNRRが伸びていれば、アップセルやクロスセルが奏功していると言えます。

〇計算方法

NRRの計算には、MRR(月次経常収益)の各指標を用います。

NRR = 当月の月次経常収益値 ÷ 前月の月次経常収益値× 100

細かく示すと、下記のような計算式になります。

NRR = ( 月初のMRR + Expansion MRR + Upgrade MRR – Contraction MRR – Churn MRR ) ÷ 月初のMRR × 100

Expansion MRR:前月よりも購入額が増えた既存顧客から得られるMRR

Contraction MRR:前月よりも購入額が減った既存顧客から得られるMRR

Churn MRR:その月にサービスを解約した既存顧客のMRR

〇NRRを改善する具体例

前述した通り、NRRの判断基準は100%となります。100%以下の場合はアップセルやクロスセルを強化し、売上の向上に働きかける必要があります。

解約の増加や、購入額の減少が発生が目立つ場合は、料金体系の見直しやカスタマーサクセスの取り組みを深化させるなどで改善を図りましょう。

7.カスタマーサクセスのKPIを達成するポイント

カスタマーサクセスにおけるKPIを達成するには、いくつか重要視するべきポイントがあります。

〇KGIを達成するためのKPIを明確に設定する

KPIの達成は、あくまで最終的に目指すべきゴールであるKGIを達成するための通過点です。特にカスタマーサクセスの達成は企業収益を左右する事案であり、企業評価にも直結する重要な取り組みと言えます。

カスタマーサクセスのKPI達成なくしてKGIの達成もありません。そうした意識を常に持ち、カスタマーサクセスのKPIは正しい数値を明確に設定する必要があります。

〇顧客のニーズを細かく掴む

設定した各KPIに対する取り組みを細かく決め、実行に移します。取り組み内容を決めるにあたっては、各指標の改善施策を基に、どういうニーズがあるのかを掴んでおくことが重要です。

アップセル/クロスセル率向上では複数価格の提案やまとめ買いなどの促進で顧客の声を聞き、NPSアップの場合は評価アンケートを取り、必要なもの足りないものをヒヤリングします。

オンボーディング完了の向上では、利用が進まない理由を個別に確認するなど、顧客との接点の機会を広げ、つぶさにニーズを掴みます。

〇マーケティングツールで顧客の動向を分析する

カスタマーサクセスを達成するための各施策を行うには、マーケティングツールを活用すると効果的です。

カスタマーサクセスの向上には、自社顧客への幅広いアプローチが必要になるため、顧客へのコンタクトや問い合わせ履歴などが蓄積されているマーケティングツールの利用は、顧客の動向分析の上でも欠かせません。

カスタマーサクセスに有用なツールは、以下のようなものがあります。

・SFA(営業支援システム)

営業部門で管理する情報や業務プロセスを自動化・データ化して、蓄積・分析することができます。

・CRM(顧客関係管理システム)

顧客情報や行動履歴、顧客とのコミュニケーション履歴を管理します。顧客との関係性を管理することで、誰が担当してもスムーズな対応ができ、顧客との良好な関係を構築・促進することができます。

これらのツールはカスタマーサクセス部門だけでなく営業やカスタマーサポート部門との共有ができるため、積極的にマーケティングツールとして活用するとよいでしょう。

8.まとめ

従来、あらゆる業種で顧客満足度を高める工夫は行われてきました。

カスタマーサクセスも、とくにSaaSサービスにおいて、そんな顧客満足度を高める手段のひとつです。

継続して利用してもらうだけでなく、契約金額の増加など売上に貢献する力も秘めるカスタマーサクセスに、注力してみてはどうでしょうか。

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