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「ニューロマーケティング」。名前からして先端の技術を使っていそうなマーケティング手法です。「脳科学を使ったマーケティング」ともてはやされることもある一方、「科学的にどのくらい正確なの?」と疑問に思っている人もいるのではないでしょうか。本記事ではニューロマーケティングとはどのようなものなのか、どうやって実施するのかについて、概要をわかりやすく解説します。

 

ニューロマーケティングとは?

まず、ニューロマーケティングとはどのようなものなのか解説します。説明を読むと、「だいたいああいう感じかな」と想像できるのではないでしょうか。

ニューロ(Neuro)=「神経の」

ニューロマーケティングの「ニューロ」とは、「神経」という意味です。日本では「ニューロマーケティングは脳科学を使います」と解説されることが多いようです。どちらも人間の体にある神経系を指しており、神経科学の手法を用いてマーケティングを行うことを指します。

ちなみにニューロマーケティングという言葉はビジネスシーンで好んで使われるようです。一方、学術の場では「消費者神経科学」という言葉のほうが一般的に使われているそうです。

ニューロマーケティング的手法を用いることにより、以下のようなデータが得やすくなることが期待されています。

  1. 顧客の内面で起こっていることが測定できる
  2. 個人の違いについて生理的な背景を知ることができる
  3. 顧客の消費行動を予測する精度が上がる

消費者が意識せずに行っているところからデータを得る方法

ニューロマーケティングは、後段で説明するような測定装置を用いてデータを取ります。つまり、人間が意識的に行う行動だけでなく、無意識的に行っている行動からもデータを得ることができるのです。

マーケティングのために、顧客と対面でインタビューをするとします。「この新商品が出たら買いたいと思いますか?」という質問に正直に答えられる人は、実は多くありません。

「要らないって答えたら失礼かな」と瞬時に考えて、「買いたいです」と答える人もいるでしょう。また、正直に「別に要らないかな」と答えた人の中にも、実際に店頭に並んでいるのを見たら買ってしまうというタイプもいます。

このように、人間の行動は思っていることとは裏腹に出ることがあります。そのため、無意識に現れるデータを組み合わせて検証することに注目が集まっているのです。

ニューロマーケティングにはどのようなものが使われるの?

それでは、ニューロマーケティングは実際にはどのようにしてデータを集めるのでしょうか。代表的なものを紹介します。

脳波

テレビ番組などで、被験者の脳波がモニターに映されているのを見たことはあるでしょうか。それらと同じような手法を用いて脳の働きを測定するのが最も良く知られている方法です。

脳波を計測するには「EEG」という手法が用いられます。脳の全体像を素早くスキャンできるのですが、「どの部分で何が起こっているのか」を測定する精度が弱いのが難点です。

精度が高い計測方法としては「fMRI」などがありますが、これは通常のMRIのように被験者が機器の中に入る必要があります。そのため、映像やものを見せたりするのに限界があり、インタビュー形式での調査にはあまり向きません。

視線

被験者の視線の動きを測定する方法も取られています。視線の動きは個人によっても差があるため、ある程度のデータ量とノウハウの蓄積が必要でしょう。

表情

意識していない表情の変化を用いることもあります。表情は取り繕いやすいものですし、変化が微細であることもあるので、専門的な知識のある担当者が分析する必要があります。

皮膚

皮膚の変化を調べる方法もあります。表面の体温や汗のかきかた、鳥肌が出るかどうかといったものです。調査するものによってはあまり変化が出ないと言うこともあるでしょう。

心拍数

興奮すると心拍数が上がるという性質を利用する方法です。これだけでは心拍数の上下しか分からないため、その他のデータと組み合わせて分析する必要があります。

ニューロマーケティングはどうやって実施する?

方法を見ると、素人が挑戦するのは難しいという印象を持ちませんでしたか? 実際に自社でニューロマーケティングに取り組みたいと考えた場合は、どうすれば良いのでしょうか。

専門の業者に頼む

ニューロマーケティングを専門にしている業者や、事業の一環として部門を設けている企業があります。こういった専門の機関に依頼するのが最もベーシックな方法です。

機関によって得意とする方法や産業分野が異なることもありますので、事前によくリサーチをして依頼する業者を決定することをおすすめします。

まだ研究が十分ではないという指摘も

ただし、ニューロマーケティングにはまだまだ発展の余地があるという指摘もあります。まず、文化的な影響をどう考慮するのかという議論があります。同じように脳が活動した人がふたりいたとします。しかしそのふたりの生活する環境が異なった場合、ふたりは全く違う購買行動を取ることがあります。特に海外へ展開する際には、文化の違いに留意しておくことが重要です。

また、脳の活動がそのまま心理的なプロセスを説明できるわけではないという指摘もあります。人間の心理の動きは複雑であるため、必ず脳の同じ部分が反応を示すわけではないそうです。

まとめ

ニューロマーケティングについて解説しました。神経科学分野からも、ビジネスシーンからも注目されている手法ですが、まだまだ発展段階にあることも確かです。結果を絶対視するのではなく、使えるツールのひとつとして認識しておくと良いでしょう。

 

参考:

消費者神経科学の動向と展望 | マーケティングジャーナル

白鶴酒造株式会社 | 事例 | シナジーマーケティング株式会社 SYNERGYMARKETING

“本音”を可視化する「ニューロマーケティング」とは? | 電通テックの公式メディアBAE

 

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