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Pinterestは2024年に「Performance+」を非公開ベータで公開して以来、広告管理画面そのものをAI主導につくり替える方向へ舵を切ってきた。2026年6月17日にはカンヌライオンズを前に、AIアシスタント「Business Assistant」、連携基盤「Pinterest MCP」、新しいPerformance+クリエイティブAIモデル、実験アプリ「Ask Pinterest」をまとめて発表している(Pinterest Newsroom, 2026年6月17日)。さらに2026年8月5日発表の第2四半期決算では、商品カタログを持たない広告主向けの新機能「Smart Assembly」の存在も明らかになった。

「Pinterest広告 AI」で検索すると、2023年時点の情報のまま更新が止まっている解説記事や、Pinterest公式リリースの単純な要約記事が目立つ。本記事はPinterest Newsroom(公式ニュースルーム)とPinterest Business公式ページの一次情報にもとづき、2026年8月18日時点で確認できる最新の状態を整理したうえで、日本の広告運用担当者が実際にどこまで使えるのかという実務目線の情報を加えている。

Pinterest Performance+とは何か

Pinterest Performance+は、入札・予算・ターゲティング・クリエイティブ生成をAIと自動化にまとめて任せる広告ソリューションの総称だ。2024年6月13日にPinterestが非公開ベータとして発表した際は、アルファ版のテスト結果として、コンバージョンキャンペーンとカタログ販売キャンペーンで獲得単価(CPA)が10%超改善し、比較検討キャンペーンではCPCが10%超改善したと報告されていた(Pinterest Newsroom, 2024年6月13日)。

2026年8月時点でPinterest Business公式ページを確認すると、Performance+はすでにベータの段階を終え、比較検討・コンバージョン・カタログ販売の各キャンペーンで通常利用できる機能として案内されている(business.pinterest.com/pinterest-performance-plus、2026年8月確認)。普及の実態としては、2026年8月11日の決算カンファレンスコールで、2026年第1四半期時点のPinterestの「ローワーファネル」広告収益の約30%がPerformance+経由になっており、Performance+を利用する広告主は非利用の広告主に比べてローワーファネル広告費の伸びが2倍以上速いことが明かされている(The Motley Fool掲載の決算コール書き起こし、2026年8月11日付)。もはや一部の先進的な広告主だけが使う実験的機能ではなく、Pinterest広告の標準的な選択肢になっていると見てよい。

Performance+で使えるAI機能8つ(公式発表の効果数値つき)

Pinterest Business公式ページでは、Performance+を構成する機能として以下の8つが案内されている(数値はいずれもPinterest社によるテスト結果として公式ページに掲載されているもの)。

機能内容公式発表の効果
Performance+ キャンペーン入札・予算・ターゲティングをまとめて自動化し、通常設定より入力項目を50%削減A/Bテストで通常キャンペーン比、成果が約80%向上
ROAS入札広告費を使い切りつつ、単価の高いコンバージョンを優先配信ROASが10%向上
クリエイティブ最適化商品カタログから広告バリエーションを自動生成し配信チェックアウト収益が19%増加
画像リサイズ推奨アスペクト比(2:3)に画像を自動でトリミング・拡張アウトバウンドクリックが平均6%増加
背景生成(Generate backgrounds)生成AIで商品ピンの白背景を差し替え、公開前にプレビュー可能コンバージョン率が11%向上
ターゲティングビジュアル検索技術でキーワード指定なしにオーディエンスを自動拡張CPMが17%削減
予算最適化7日移動平均で日予算を±25%の範囲で自動調整固定予算比でCPAが3%低下
入札リアルタイムシグナルにもとづき入札額を動的に調整カスタム入札比でCPAを2%削減
Pinterest広告のPerformance+に含まれる8つの機能を整理した図解
Performance+に含まれる8つの機能

これらはキャンペーン単位・アドグループ単位のどちらでもオン/オフを選べる。すべてをまとめて使うPerformance+キャンペーンと、既存の運用に一部機能だけを追加する使い方の両方に対応している点は、2023年頃の初期情報にはなかった実務上重要なアップデートだ。ただし公式FAQでは「既存キャンペーンをPerformance+へ変換することはできず、新規キャンペーンとして作成する必要がある」と明記されている点は要注意(business.pinterest.com/pinterest-performance-plus FAQ、2026年8月確認)。

2026年6月の新発表:Business Assistant・Pinterest MCP・新クリエイティブAIモデル

2026年6月17日、Pinterestはカンヌライオンズを前に「Pinterest’s new AI tools for the discovery era」と題した発表を行い、広告主向けに4つの新しい取り組みを明らかにした(Pinterest Newsroom, 2026年6月17日)。

  • Business Assistant:Ads Managerとモバイルに組み込まれるAI協働ツール。広告主のビジネス理解とPinterestのプラットフォームデータを組み合わせ、成果最大化を支援する。文章の壁ではなくグラフや実際のピンで回答を示す「ビジュアル型」の設計が特徴。2026年6月時点では米国限定のクローズドベータ。
  • Pinterest MCP:Model Context Protocolにもとづく連携基盤。キャンペーン・分析・キーワードのインサイトへ安全にアクセスできるようにし、外部の広告運用ツールやAIエージェントからPinterestを操作可能にする。PMG、Pacvue、電通、Havas、Innovid by Mediaocean、OmnicomのJump450がアルファ提携先として名を連ねている。
  • 新しいPerformance+クリエイティブAIモデル:広告単位ではなく「アセット(素材)単位」でクリエイティブを評価し、インプレッションごとに最も成果が見込める組み合わせを動的に選ぶ。テストでは従来の単一バリアントモデル比でクリック数が7.5%増加したと報告されている。
  • Ask Pinterest:会話型・エージェント型のショッピング体験を試す限定公開の実験アプリ。本体のPinterestアプリとは別枠で、学習した知見を今後の本体機能へ還元する位置づけとされている。

Smart Assembly:カタログを持たない広告主向けの新機能

2026年8月5日発表の2026年第2四半期決算にあわせて、Performance+の新機能「Smart Assembly」の存在が明らかになった。これは商品カタログを保有していない広告主向けの機能で、複数の画像素材をアップロードすると、Pinterestのアルゴリズムが自動で組み合わせて最も成果が見込める広告を生成・配信する仕組みだ。アルファテストの段階では平均クリック率(CTR)が6%改善したと報告されている(2026年8月11日付の決算カンファレンスコール書き起こし、The Motley Fool掲載分ほか複数の決算報道より)。

ECカタログを整備しきれていない中小規模の広告主や、サービス業・実店舗ビジネスなど「商品ID」という概念になじみにくい業種にとっては、Performance+クリエイティブ最適化への参入障壁を下げる機能として注目に値する。ただし2026年8月時点で一般提供の時期は公式にアナウンスされておらず、引き続きアルファ〜ベータ段階の機能として扱う必要がある。

【独自視点】日本の広告主は現状どこまで使えるのか

ここまでの機能を並べると「Pinterest広告は一気にAI化した」という印象を持つかもしれないが、企業アカウントの運用担当者にとって重要なのは「自分たちのアカウントで今すぐ使えるかどうか」だ。2026年8月時点の公式情報を整理すると、日本の広告主が置かれている状況は次のように二層に分かれる。

すでに使える層:Performance+キャンペーン、ROAS入札、クリエイティブ最適化、画像リサイズ、背景生成、ターゲティング、予算最適化、入札の8機能は、通常のキャンペーン作成画面から選択できる正式機能として案内されており、日本のPinterest広告アカウントでも利用対象になっている。最低予算の制限もないため、既存の手動キャンペーンと並走させて小さく検証を始めやすい。

まだ使えない、または様子見が妥当な層:Business Assistant・Pinterest MCP・Ask Pinterestは、2026年6月の発表時点でいずれも米国限定のクローズドベータまたは実験提供であり、日本語のAds Managerや日本の広告主アカウントへの反映時期は公式にアナウンスされていない。Smart Assemblyも同様にアルファテスト段階で、一般提供の見通しは示されていない。「Pinterestが発表した」という情報だけを見て自社アカウントを探し回っても、これらの機能は現時点では見つからない可能性が高い。

実務上の落としどころとしては、まず現時点で日本のアカウントでも使えるPerformance+の8機能から着手し、成果を計測しながら適用範囲を広げるのが現実的だ。Business Assistant以降の新ツールは「数か月〜1年程度のスパンで米国から順次展開される可能性がある機能」として動向をウォッチする位置づけにし、Pinterest MCPについては自社が利用している広告運用ツール(Pacvueなど連携パートナー)が対応した場合に導入を検討する、という段階的な取り組み方が無理がない。

導入時に押さえておきたい注意点

Performance+を実際に導入する際は、以下の3点を公式情報で確認したうえで進めたい。

  • 既存キャンペーンは変換不可:Performance+はキャンペーン単位で新規作成が必要で、稼働中のキャンペーンを後から切り替えることはできない(公式FAQより)。
  • AI生成画像は事前レビュー可能:背景生成機能で作られた画像は、キャンペーン開始前に最大6枚までAds Manager上で確認できる。開始後もAds Reportingタブから生成画像を確認し、気に入らないものは再生成・削除ができる(公式FAQより)。
  • ブランドセーフティ体制:Pinterestは第三者機関のIntegral Ad Science(IAS)・DoubleVerifyと提携し、GARMのフレームワークに沿ったブランド安全性測定を提供している。2024年6月時点のベータテストでは、測定対象インプレッションの99%以上がブランド安全基準を満たしたと報告されている(Pinterest Newsroom, 2024年6月13日。この数値はやや古いため、最新の測定結果は導入前に代理店経由で確認するのが望ましい)。

Performance+は自動化の恩恵が大きい一方、入札・予算・クリエイティブの細かな手動制御を手放すことにもなる。既存の手動キャンペーンをすべて置き換えるのではなく、一部の予算やアドグループから試験導入し、成果を見ながら比重を移していく進め方が無難だ。基本的なPinterest広告の始め方についてはPinterest広告の始め方の解説記事も、アカウント開設や入稿の基礎知識としてあわせて確認しておきたい。また、Performance+はPinterestマーケティング全体戦略の一部でしかないため、Pinterestマーケティングの全体像を解説した記事と合わせて読むことで、広告以外の運用施策との連携もイメージしやすくなる。

まとめ

Pinterest Performance+は、2024年の非公開ベータから約2年でPinterest広告の標準的な選択肢へと定着し、2026年第1四半期時点でローワーファネル広告収益の約3割を占めるまでに成長した。2026年6月にはBusiness Assistant・Pinterest MCP・新クリエイティブAIモデル・Ask Pinterestという次の波が発表され、8月にはカタログ不要のSmart Assemblyも明らかになっている。ただし新しい波の大半は2026年8月時点でまだ米国限定のベータ・アルファ段階であり、日本の広告主がまず着手すべきは、すでに正式機能として使えるPerformance+の8機能だ。「最新AI機能」という言葉に振り回されず、公式情報で利用可否を確認しながら、使える範囲から着実に試していくことが遠回りに見えて最短ルートになる。

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