センサリーマーケティングとは？五感に訴えるマーケティングの方法を解説

テレビやインターネットなどさまざまな情報に囲まれている現代。マーケティング手法も多岐にわたります。そのなかで注目を集めているセンサリーマーケティングをご存知でしょうか。今回はセンサリーマーケティングの概要や活用例などを解説します。

センサリーマーケティングとは

センサリーマーケティングとは、消費者の五感に訴えかけるマーケティングです。従来のマーケティングは消費者の視覚と聴覚に訴えかける手法がほとんどでした。

しかし、時代の流れや研究が進むにつれて人間の脳はいつも合理的な判断を下しているのではなく、五感によって無意識に判断することがあります。商品の匂いや色、手触りなど直接的に訴えかけることで、消費者が無意識のうちに購買意欲を刺激されるケースも考えられます。

センサリーマーケティングが注目されている背景はいくつか挙げられます。まずは脳を五感に関する研究が進んできたことです。これまでは視覚に訴えかけるカラー、聴覚に訴えかけるBGMの研究が盛んでした。

しかし、1990年代以降になると臭覚に訴えかける香りの研究、2000年以降は触覚に訴えかける手触りの研究が進められてきています。その結果、五感を全体の研究が深まりセンサリーマーケティングにも注目が集まったのです。

もう一つの理由は、心理学領域における五感の研究が進んだからです。研究者であるウィリアムスとバージによる対人評価に関する研究では、事前に温かいコーヒーカップを持たせた参加者と冷たいコーヒーカップを持たせた参加者による評価を比較しました。

実験結果では温かいコーヒーカップを持った参加者が他人を「温かい人」と評価することがわかっています。このような研究によって、よりセンサリーマーケティングへの関心が高まったのです。

では、センサリーマーケティングはどのように活用できるのでしょうか。代表的な活用例をご紹介します。

センサリーマーケティングに適するのは、紙媒体です。「今の時代に紙媒体？」と思われるかもしれません。しかし、紙媒体とEメールの比較において、あなたならどちらをもらうと嬉しい気持ちになるでしょうか。

Eメール、最近で言えばLINEによるメッセージの送信は、日常的なものになっています。そのなかでふと手紙が届いたら温もりを感じるのではないでしょうか。

特に紙媒体の場合は、届くまでに時間がかかることから価値を感じやすいです。消費者向けに手紙などを活用したマーケティング施策を考えてみてはどうでしょうか。

他にもチラシなどはインクの匂いや肌触りを感じやすいため、消費者の購買行動に訴えかけることができます。

アロマテラピーもセンサリーマーケティングとして取り入れることができます。というのも臭覚は印象に残りやすいからです。例えば、コーヒーショップや焙煎所の前を通ると、いい香りがすると思います。

コーヒーショップや焙煎所では、わざと香りを漂わせていると言えます。そして、通行者がコーヒーを飲みたくなるように刺激しているのです。

他にも映画館のポップコーンはどうでしょうか。映画館に行くと飲み物だけでもいいと思っている場合でも、ポップコーンの香りから購入した経験がないでしょうか。

買いたい車を選ぶときの新車の香りなども同様です。実はあまり意識していないだけで、わたしたちはアロマテラピーによって購買意欲を刺激されています。

先述したセンサリーマーケティングの活用例で取り上げた紙媒体について、もう少し掘り下げてみたいと思います。

紙媒体のメリットは、温もりを感じることです。特に1990年代後半から2012年ごろまでに生まれたいわゆるZ世代は、生まれてからデジタルに触れています。そのため、紙媒体にはかえって温もりを感じやすい世代です。

これからの若い世代をターゲットにする商品や事業であれば、紙媒体を効果的に取り入れることが成功へのポイントになるでしょう。

紙媒体には今後の飛躍の可能性があります。Z世代をターゲットにするマーケティング施策はもちろんのこと、それ以外の世代にも有効性が考えられます。チラシはセンサリーマーケティングで効果が期待できます。

先述のように、チラシはインクの香りや紙の手触りを消費者に感じてもらえます。それだけで購買意欲を刺激することが可能です。加えてZ世代のように若い世代が紙媒体に対して好印象を持っていると、追い風になるでしょう。

従来の視覚と聴覚だけに頼らず、五感を刺激して購買意欲を高めるのがセンサリーマーケティングです。今回は紙媒体とアロマテラピーの活用例をご紹介しました。今後もさまざまな手法が登場する可能性があります。

さまざまな手法をご確認のうえで、センサリーマーケティングに取り組んでみましょう。