「居独」を楽しむ人が急増？マーケティングへの活用方法を解説！

これまで一人で過ごすことを「孤独」と表現し、ネガティブな印象がありました。しかし、近年は一人で自分の時間を楽しむ人が増えており、一人用の商品やサービスが幅広く展開されています。そのように一人の時間を楽しむことを「居独」と呼びます。

今回は居独の定義や増加した理由、価値観、マーケティングへの活かし方を解説します。よりトレンド市場での事業展開を考えている場合は、ぜひ参考にしてください。

「居独」とは？

居独とは一人の時間や空間を作って、好きなことに没頭し自分自身と向き合い心身のリラックスを求めることです。「ソロ活」のように活動と呼ぶほどではなく、瞑想や散歩なども含めた一人を楽しむ全般を示します。

居独を楽しむ人が増える要因の一つに、新型コロナウイルス感染症の拡大があります。コロナ禍になり、感染症対策の観点から安全性が高い「ソロキャンプ」「一人でチェアリング（野外にアウトドアチェアを置いて食事や読書などを楽しむこと）」などが人気となりました。

飲食分野でも焼肉のテイクアウトや一人カラオケなどの需要も増えています。習い事も同様にグループでの受講よりもオンラインやプライベートレッスンを好む人が増えています。

このような世相もあり、これまでグループで楽しんでいたことを一人で気兼ねなく取り組む人が増えて居独という用語が広まっています。

居独が広まることで、企業が手掛けるマーケティング施策にも影響が出てきます。まずはマーケティングに活かしたい居独行動を確認してみましょう。

これまでは受験や就職などで他者との競争に勝つために自己研鑽をすることがほとんどでした。しかし、居独の思考から「なりたい自分になる」という志向に変化し、特にオンラインサービスが人気です。例えば、英会話学習においてもスタディサプリやUdemyなどのサービスが人気です。

居独はパーソナル感も重要です。ここで言うパーソナル感とは「既製品なのに」「一般的に知れ渡っているのに」という点が前提です。

例えば、豊富なバリエーションがあるファンデーションブランド「Fenty Beauty」や無印良品の一人仕様のポーション「ひとり分から作れる鍋の素」などが成功例です。

居独は自分の好きなことにとことん没入することが特徴です。他人の目を気にせずに没入できるものであればマーケティング施策としても成功と言えます。例えば、男性向けに作られたミシン「TOKYO OTOKOミシン」は話題になりました。

SNSでソーイング男子を公言するユーザーも続出しています。自分の好きなブランドやアートの世界に没入できるイマーシブミュージアムも賑わっています。他にもメタバースによるデジタルファッションなども、没入しやすいサービスです。

居独をマーケティングに活かすには、次の4点に着目してみましょう。

まずは一人を楽しむコンセプトを設計しましょう。一人の時間を楽しめるものとして、ヨガやマインドフルネスなどに代表される自分に向き合うことで心身のリラックス、リフレッシュできる価値を最大限引き出すことが求められます。

次はパーソナル感を重視したブランディングです。特にZ世代と呼ばれる1990年代後半から2010年代に生まれた世代は、既成概念に捉われない多様性を重んじる価値観を持っています。他の世代も同様の価値観が広がっており、従来のマーケティング施策では対応できない可能性があります。

その結果「自分向け」と感じる商品やサービスを生み出す必要があります。「皆が持っているから私も」という思考に向けた施策ではなく、パーソナル感を重視してください。

「リスキング」「タンパ（タイムパフォーマンス、時間対効果）」などの言葉が広がりを見せており、Z世代を中心にスキルアップや自己成長への取り組みが当たり前になってきました。よって、それを後押しするような商品やサービスの展開が求められます。

デジタルファッションなどメタバース上で楽しむアイテムの消費が活発になっています。そのため、メタバース上や没入系コンテンツ（リアルも含む）のなかでユーザーとの接点を作る必要があります。

コロナ禍の影響もあり、近年は一人で行動することを好む人が増えています。そのような一人での行動を広義的に「居独」と表現します。居独を楽しむ人が増えることで、企業のマーケティングも変化する必要があります。

今回は居独をマーケティングに活かす方法を簡潔に解説しました。また、居独を好む人の価値観も解説しましたので、今後のマーケティングに活かしてみましょう。