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生産管理や生産マネジメントでよく聞く用語に「QCD」があります。QCDについて正しく理解しているでしょうか。

今回はQCDについて基礎から解説していきます。優先順位の決め方、改善手順など現場に活かせる内容も取り上げましたので、ぜひ参考にしてください。

QCDとは

QCDとは「Quality（品質）」「Cost（コスト）」「Delivery（納期）」の頭文字を取った略語です。それぞれの要素を簡潔にまとめると下記のようになります。

  • Quality（品質）：顧客の要求に達する製品であるかどうか
  • Cost（コスト）：生産にかかる諸経費や時間
  • Delivery（納期）：顧客が提示した納期を守る

上記の３要素はどれかを優先して偏るとほかの要素が犠牲になります。例えば「品質を向上させようとすると製作に時間がかかり納期に間に合わない」「納期を早めるにはコストがかかる」などが挙げられます。

そのため３つの要素を網羅的に考えてバランスをとる必要があります。QCDがバランスよく行えると、商品の品質向上や利益率の向上などにつながります。また生産プロセスの最適化が可能となり、各工程の属人化などを防げるでしょう。

突き詰めることで競合他社との差別化が可能となり、長期的な事業展開にもつながります。

QCDの優先順位の決め方

QCDはそれぞれの要素のバランスをとることが大事です。しかし優先順位を決めて順序良く取り組むことがポイントとなります。優先順位を決めなければ具体的な施策などが立案できないからです。

QCDの優先順位の決め方は、業種や部門によって異なる場合があります。一例として生産管理についてQCDの優先順位の決め方をご紹介します。

生産管理における優先順位では、Quality（品質）を最優先します。次いでDelivery（納期）、Cost（コスト）の順になります。どれだけ納期が早くても製品が粗悪では、顧客が満足しませんので、基本的に品質を第一に考えます。

ただし臨機応変に考えることも大事です。納期や予算の関係から、Delivery（納期）とCost（コスト）の優先順位は柔軟に変える必要があります。

QCDの改善手順

QCDを向上させるためには常に実行と改善を繰り返しましょう。プロセスを改善するためには、下記の３つのポイントを押えましょう。

  • 現場の意見を聞く
  • 改善策を立案して実行する
  • 継続的な効果測定と改善をする

まずは現場の意見を取り入れましょう。プロセスを改善するためには管理職が中心となるわけですが、現場の声が届いていないと本質的な改善ができません。ですから現場でのヒアリングから課題を見つけることから始めてください。

現場の課題を抽出したら改善策を立案して実行します。ここではQCDの優先順位を決めることも含まれます。改善策を考えるときは、計測可能な指標を作ります。例えばクレームの発生頻度や作業ミス率などが挙げられます。

具体的な指標があることでコストの削減や納期の短縮などが可能になります。とはいえプロセスの改善のためのリソースは限られていると考えられるため、課題に対して最も効果的な施策を検討する必要があります。

改善策を実行に移したら効果測定を行いましょう。あらかじめ定めた指標の数値がどのように変化をしたか、定期的に検証を行います。数値が悪化した際は、さらなる改善策の立案をして実行に移してください。

PDCAサイクルを回し続け、より良い施策にしていくことが大事です。

QCDの活用例

QCDの活用例を部門や業務内容別にご紹介します。

生産管理

生産管理では製品の製造過程などにおける不具合を改善するためにQCDを活用できます。例えばコストをある程度度外視して、品質と納期を優先した生産が考えられます。結果的に交換やメンテナンスの費用が減り、コストの改善につながる場合があるでしょう。

戦略策定

戦略策定では100円ショップの例が参考になります。100円ショップは品質を一定水準に抑えてコストと納期を突き詰めています。100円ショップの商品は価格が一定であるため、広告費の抑制が可能ですが、真新しさを維持するために新商品の開発から納期までを極力短くしています。

業務指示

日頃の業務指示においてもQCDが役立ちます。例えば上司が部下に対して資料作成を指示したとします。社内資料であれば品質よりもコストや納期を優先させるでしょう。しかし費用や時間、内容、デザインの水準について、部下に正しい認識を持ってもらうことが必要です。上司はQCDのそれぞれについて期待値を少し上回るように指示する必要があります。

QCDに加えて覚えておきたいこと

QCDに加えて下記の内容を覚えておくことで、さらに視野が広がります。

  • Safety（安全性）
  • Service（顧客対応）
  • Productivity（生産性）
  • Environment（環境への配慮）
  • Flexibility（柔軟性）

特にSafety（安全性）はQCDの前提となる考え方です。労災や安全上の問題が起こると企業にとって大きなダメージとなります。

どんなにQCDのレベルを上げていってもSafety（安全性）への意識が低下していると、結果的に良い品質とはいえません。QCDを検討する前には必ずSafety（安全性）を十分に考えておくことが大事です。

QCDを改善していこう

QCDはビジネスのさまざまな場面で活用できる考え方です。それぞれの優先順位を考えて、具体的な施策に落とし込んでいきましょう。Safety（安全性）などの考え方も活かしつつ、QCDを改善してください。

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