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「Bluesky(ブルスカ)」は2023年のβ版公開時、Xの共同創業者ジャック・ドーシー氏が支援する分散型SNSとして話題になった。当ブログでも2023年5月に紹介記事を公開しているが、その後招待制が廃止され、経営体制も変わり、ユーザー動向にも大きな変化が起きている。本記事では2026年8月時点で確認できる一次情報をもとに、Blueskyの現状と、企業アカウントとして運用する価値があるのかどうかを整理する。単に「話題だから始める」のではなく、自社の目的に照らして判断するための材料を提供したい。
Blueskyとは何か——AT Protocolを採用した分散型SNS
Blueskyは、テキスト投稿を中心としたSNSで、操作感は初期のXやTwitterに近い。最大の特徴は、独自の分散型プロトコル「AT Protocol」を採用している点にある。運営元は独立した公益法人(Public Benefit Corporation)のBluesky PBCで、ユーザーは自分の投稿データやフォロー関係を、対応する別サービスへ持ち運べる設計を目指している。
2024年2月6日に招待制が廃止され、メールアドレスとパスワードがあれば誰でも登録できるようになった(Bluesky公式ブログ「Join Bluesky Today (Bye, Invites!)」2024年2月6日)。ここから利用者数が急増し、X側の規約変更(投稿をAIの学習に利用する旨の明記、2024年11月)のたびに新規登録が増える傾向が続いた。
経営体制にも動きがあった。創業者でCEOを務めてきたジェイ・グレイバー氏は2026年3月9日付でCEOを退任し、最高イノベーション責任者(CIO)へ移行。元Automattic CEOのトニー・シュナイダー氏が暫定CEOに就任し、2026年7月10日付で正式にCEOへ就任している(Bluesky公式ブログ「A New Chapter for Bluesky」「Bluesky names Toni Schneider CEO」)。単発の話題性で終わらず、経営体制を整えて事業として継続させるフェーズに入ったとみられる。
【2026年最新】Blueskyの現状——登録者は増加、アクティブ率はピーク比半減
2026年時点でまず押さえておきたいのは、「登録者数」と「実際に使い続けている人数」が逆方向に動いているという事実だ。
デジタルインテリジェンス企業Similarweb提供のデータをもとにした報道によれば、Blueskyのモバイルアプリの月間アクティブ利用者数(MAU)は2026年6月時点で約1,040万人となり、前年同月比27.2%減少した。日次アクティブ利用者数(DAU)も2026年7月時点で約300万人となり、前年同月比25.6%減。MAUは2024年第4四半期のピーク(平均約2,210万人)から、2026年第2四半期には約1,070万人まで落ち込んでおり、ピーク比でおよそ半減している(GIGAZINE「Bluesky’s number of active users has decreased significantly」2026年8月12日、原典はTechCrunch 2026年8月11日付記事)。
一方で登録ユーザー数(アカウント作成数)は増え続けており、2025年11月に4,000万人、2026年6月には4,500万人を突破したと報じられている(同記事)。つまり「アカウントは作られ続けているが、日常的に開く人は減っている」状態だ。なお同記事では、DAU/MAU比(利用継続率の目安)は2026年6月時点で約29%とされ、これはThreadsとほぼ同水準であることも紹介されている。単純な「オワコン化」と断定できるデータではない点には注意したい。
この状況についてシュナイダーCEOは、The Vergeのポッドキャスト「Decoder」で、Blueskyを「広告やアルゴリズムに依存しない、より良いSNS」であると同時に「AT Protocol上に構築された1,000以上のアプリのひとつ」と位置づけたうえで、「プロトコルである以上、ユーザーを囲い込むことはできない。他のアプリを作ったり試したりしてほしい」と述べている(The Verge「Bluesky’s new CEO wants a big tent, not a bubble」2026年7月)。単一アプリの利用者数だけでBlueskyの価値を測るのは、この方針からするとそもそも的外れである可能性もある。資金面では2025年4月にBain Capital Cryptoが主導するシリーズBで1億ドルを調達済みで、当面の事業継続に大きな懸念はない(Bluesky公式ブログ「Bluesky’s 2025 $100M Series B Lays Foundation for Open Social Web」2026年3月19日)。

Xとの違いを一覧で整理する
基本仕様を表で整理する。細部は変更が多いため、最新仕様は公式アプリで確認してほしい。
| 項目 | Bluesky | X(旧Twitter) |
|---|---|---|
| 構造 | 分散型(AT Protocol) | 中央集権型 |
| 運営 | Bluesky PBC(公益法人) | X Corp |
| 投稿文字数 | 最大300文字 | 無料は280文字程度(有料プランで拡張あり) |
| タイムライン | カスタムフィードを自分で選択 | おすすめ中心のアルゴリズム |
| 広告 | 原則なし | あり |
| API | プロトコルとして公開 | 2023年以降段階的に有料化 |
Xは2023年以降、API利用の有料化や無料枠の縮小を段階的に進めており、この影響でサードパーティ製の分析・監視ツールが相次いで終了した経緯がある。詳細は当ブログの別記事「X(Twitter)API有料化で何が変わったのか|料金プランと、SNS分析ツールが次々終了した理由」で解説している。Blueskyが「Xに疲れた層の受け皿」として繰り返し話題になる背景には、こうしたXの運用方針への不満がある。
企業アカウント運用は「是」か「非」か——判断基準
結論から言えば、「全企業が今すぐ始めるべき」でも「様子見でよい」でもなく、目的次第で判断が分かれる。以下の軸で自社に当てはめて考えてほしい。
向いているケース
- ゲーム・出版・報道・研究機関など、テック系・リテラシーの高い層とBluesky上で親和性が高い業界である
- 大量リーチよりも、コアなファンとの継続的な対話を重視している
- 広告出稿を前提とせず、オーガニックな情報発信で信頼を積み上げたい
- Xの運用方針変更(API有料化、仕様変更)による過去のトラブルで、プラットフォームリスクの分散を検討している
向いていないケース
- 短期間で大量のインプレッションや新規顧客獲得を狙うキャンペーン中心の運用
- DAU/MAUの絶対数(XやInstagramと比べた母数)を最重要指標にしている
- 広告出稿による認知拡大が主目的で、広告枠がないBlueskyでは目的を達成しにくい
- 運用リソースが限られており、複数SNSへの分散投稿がすでに手一杯である
現実的な落としどころとしては、いきなり本格運用に踏み切るのではなく、「アカウントだけ確保し自社ドメインでなりすまし対策をしておく」「専門性の高いテーマだけ試験的に投稿する」といった小さく始める選択肢もある。母数がXの数十分の一である以上、既存チャネルを置き換える前提ではなく、補完チャネルとして位置づけるのが無難だ。
【独自視点】炎上耐性とカスタムフィード活用という企業向けの強み
企業アカウント運用者の視点で見たとき、Blueskyの構造上の特徴として実務的に意味があるのが「炎上耐性」と「カスタムフィード」の2点だ。
炎上耐性という観点
Xでは、運営側のレコメンドアルゴリズムが「エンゲージメントの高い投稿」を優先的に拡散する設計になっているため、一部のネガティブな反応が急速に非フォロワー層まで届き、いわゆる「延焼」が起きやすい。当ブログの別記事「Twitterで炎上してしまった例とメカニズム、対処法をまとめて解説」で解説している炎上の典型パターンの多くは、この「非フォロワーへの急速な拡散」が起点になっている。
一方Blueskyには「おすすめ」による全体最適化アルゴリズムが存在せず、基本的にはフォロー関係かカスタムフィードの購読者にしか投稿が届かない。これは裏を返せば「炎上しても鎮火が早い」というより「そもそも非フォロワーへの急拡散が起きにくい」構造だと理解した方が正確だ。加えて、Blueskyは「Composable Moderation(組み合わせ可能なモデレーション)」という仕組みを2023年4月から提供しており、第三者が作成したモデレーションルール(ラベルサービス)をユーザーが自分のアカウントに追加適用できる(Bluesky公式ブログ「Composable Moderation」2023年4月13日)。荒らしやなりすまし対策のフィルタリングを、運用任せにせず自分たちで積み増せる点は、炎上対応マニュアルを整備している企業(当ブログ「SNS炎上を防止マニュアルと知っておきたい3つの心がけ」参照)にとって検討価値がある。
ただし過信は禁物だ。ユーザー母数が小さいぶん、炎上の「見えにくさ」自体がリスクになる場合もある。Bluesky上での批判的な言及に気づくのが遅れ、Xやニュースサイトに転載されてから初めて把握する、というケースは十分に起こりうる。モニタリング体制を敷かずに「Blueskyは荒れにくいから放置してよい」と判断するのは早計だ。
カスタムフィード活用という観点
Blueskyの「カスタムフィード」は、ユーザーや第三者が独自ルールで作成したフィード(タイムライン)を誰でも購読できる機能で、2023年7月27日に「Algorithmic Choice with Custom Feeds」として公式発表された(Bluesky公式ブログ)。企業アカウントの活用法としては、以下のような使い方が考えられる。
- 自社の商品名・ブランド名に関するカスタムフィードを作成し、社内の複数担当者で言及チェックを分担する
- 業界内の関連キーワードを集めたフィードを購読し、営業日ごとの情報収集ルーティンに組み込む
- 自社アカウントが第三者の作った「業界系フィード」に採用されているかを確認し、露出経路を把握する
アルゴリズムがブラックボックス化していないため、「なぜこの投稿が表示されているのか」を追いやすい。これはXのような不透明なレコメンドに振り回されたくない運用担当者にとって、地味だが実務上のメリットになる。
Bluesky運用を始める際の実務ポイント
実際に着手する場合、最低限押さえておきたい点を挙げる。
- ハンドル(ユーザー名)を自社ドメインに変更する:初期設定では「アカウント名.bsky.social」というサブドメイン形式になるが、DNSレコードを設定すれば自社ドメインに変更でき、なりすまし対策として有効
- 二段階認証を有効化する:メール方式の2FAに対応しており、設定メニューのセキュリティ項目から有効化できる
- 投稿文字数は最大300文字:Xより長めに書けるが、画像は最大4枚まで(動画投稿にも対応済み)
- モデレーション設定を確認する:センシティブ投稿の表示・非表示、ラベラーの追加適用を運用開始前に確認しておく
登録直後は「様子見」の企業アカウントも多く、投稿頻度が低いままのケースも珍しくない。始めるのであれば、最低限プロフィールと最初の数件の投稿は整えたうえで公開したい。
SNS分析ツールもBluesky対応が広がっている
Bluesky上の言及や自社アカウントの実績を追いたい場合、SNS分析・ソーシャルリスニングツール側の対応状況も判断材料になる。ツール選定の一般的な考え方は当ブログの別記事「ソーシャルリスニングツールの選び方|「全量データか標本データか」で結果はこう変わる」で解説しているが、Bluesky対応そのものはまだ多くのツールで発展途上だ。参考までに、筆者の所属する当社が提供する「Tofu Analytics」でも、対応メディアの一覧にBlueskyが追加されていることを2026年8月時点で公式サイト上で確認している(tofu.misosil.com)。ただしX・Instagramなど他媒体のような専用機能ページはまだ用意されておらず、対応範囲は今後拡張されていく段階とみられる。ツールを選ぶ際は「対応SNS一覧に載っているか」だけでなく、「その媒体でどこまでの分析機能が使えるか」を個別に問い合わせて確認することをすすめる。
まとめ
Blueskyは、招待制廃止から2年半が経ち、登録者数の拡大とアクティブ利用者の減少という相反する動きが同時に起きている、成熟期に入りかけたSNSだ。話題性だけで判断するのではなく、「自社が届けたい相手がBluesky上にいるか」「Xの運用リスクを分散する目的があるか」を軸に、企業アカウント運用の是非を判断したい。炎上耐性やカスタムフィードといった構造的な特徴は、運用担当者にとって実務上のメリットになりうるが、母数の小ささゆえのモニタリングの難しさという裏返しのリスクもある。小さく試しながら、自社の目的に合うかどうかを見極めていく姿勢が現実的だろう。
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出典
- Bluesky公式ブログ「Join Bluesky Today (Bye, Invites!)」(2024年2月6日)https://bsky.social/about/blog/02-06-2024-join-bluesky
- Bluesky公式ブログ「A New Chapter for Bluesky」(2026年3月9日)https://bsky.social/about/blog/03-09-2026-a-new-chapter-for-bluesky
- Bluesky公式ブログ「Bluesky names Toni Schneider CEO」(2026年7月10日)https://bsky.social/about/blog/07-10-2026-toni-schneider-ceo
- Bluesky公式ブログ「Bluesky’s 2025 $100M Series B Lays Foundation for Open Social Web」(2026年3月19日)https://bsky.social/about/blog/03-19-2026-series-b
- Bluesky公式ブログ「Composable Moderation」(2023年4月13日)https://bsky.social/about/blog/4-13-2023-moderation
- Bluesky公式ブログ「Algorithmic Choice with Custom Feeds」(2023年7月27日)https://bsky.social/about/blog/7-27-2023-custom-feeds
- GIGAZINE「Bluesky’s number of active users has decreased significantly」(2026年8月12日)https://gigazine.net/gsc_news/en/20260812-blueskys-active-user/
- The Verge「Bluesky’s new CEO wants a big tent, not a bubble」(2026年7月)https://www.theverge.com/podcast/974387/bluesky-toni-schneider-interview-ai-atproto-atmosphere
- Tofu Analytics公式サイト(2026年8月確認)https://tofu.misosil.com/