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YouTubeが2026年7月、既存のプレイリストを「シーズン」「話数(エピソード)」付きの番組として再構成できる新機能の提供を始めた。ポスターアートやタイトルカードを設定でき、見た目はNetflixやAmazon Prime Videoの作品一覧に近い。対象はYouTubeパートナープログラム(YPP)参加者で、検索結果や「おすすめの番組」枠、続きから再生できる「Continue Watching」機能への露出強化も同時に用意されている。単発の動画を積み上げてきたチャンネルが、この機能によって「観るべきシリーズ」として認識されるかどうかが今後の再生数を左右しそうだ。
何が変わったのか:プレイリストが「番組」になる
これまでYouTubeのプレイリストは、複数の動画を並べる単なる「フォルダ」的な機能にとどまっていた。今回の新機能では、既存のプレイリストをベースに「番組」を作成し、各動画に「シーズン1 第3話」のような構造を割り当てられるようになる。YouTube Creatorsの公式X(旧Twitter)アカウントが2026年7月21日前後にこの機能を発表し、米国のニュースメディアTubefilterが同日付で詳細を報じた。日本語ではMEDIAMIXIが2026年7月28日付で紹介しているが、記事執筆時点(2026年8月17日)で国内の専門メディア・マーケティング系ブログでの深掘り解説はほとんど見当たらない。
YouTube側は今回の機能について「シリーズ作品に洗練されたテレビのような視聴体験をもたらし、視聴者を次々と引きつけるエピソード形式を実現する。既存のプレイリストからでも、まったく新しい番組としてでもシンプルに設定できる」と説明している。単に動画をグループ化するだけでなく、ポスターアート・独自の背景・タイトルカードといった「作品としての体裁」を整えられる点が、従来のプレイリスト機能との大きな違いだ。
対象はYouTubeパートナープログラム参加者のみ
この機能を使えるのは、現時点でYouTubeパートナープログラム(YPP)に参加しているチャンネルに限られる。YPPの参加条件は、チャンネル登録者数1,000人以上かつ直近12か月の総視聴時間4,000時間以上(または直近90日のショート動画累計再生1,000万回以上)が目安だ。まだYPPに参加していない企業アカウントは、番組機能そのものより先に収益化条件のクリアが必要になる。
なお、YouTubeは2026年8月にYPPの新規参加基準を2027年2月から引き上げる(長尺動画で年間8,000時間、ショートで90日2,000万回に倍増)と発表しており、当ブログでも別記事で取り上げている。新規にチャンネルを立ち上げてこの「番組」機能の活用を狙う場合は、収益化のハードルが今後上がっていく点もあわせて把握しておく必要がある。

「番組」化で得られる3つの露出メリット
YouTube側の説明によれば、番組として登録したコンテンツには以下の3つの露出面が新たに用意される。
1つ目は検索結果での表示強化だ。番組単位でまとまった情報がインデックスされることで、シリーズ名や作品名での検索に対して番組ページが表示されやすくなるとされる。2つ目は「おすすめの番組」という専用の表示枠で、従来の「あなたへのおすすめ」動画一覧とは別に、番組単位で視聴者にレコメンドされる。3つ目は「Continue Watching(続きから視聴)」機能で、途中まで見たエピソードの続きをトップページやアプリのホーム画面から即座に呼び出せるようになる。これはNetflixなど定額制動画配信サービス(SVOD)が視聴継続率を高めるために長年使ってきた仕組みと同じ発想だ。
YouTube側は番組として認められるための目安も示しており、「同じホストが出演するなど一貫したストーリーやテーマ」「同じイントロやサムネイルの様式など一貫した見た目」「一定以上の画質・音質」を満たすコンテンツを推奨している。逆に言えば、脈絡のない動画を無理やり束ねても、レコメンド上の優遇は受けにくいと考えられる。
設定方法:YouTube Studioでの手順
番組の作成はYouTube Studio内の管理画面から行う。既存のプレイリストを選択し、「番組として設定」のオプションを有効にすると、各動画にシーズン番号・話数番号を割り当てる編集画面が表示される。あわせてポスターアート(番組の顔となるサムネイル相当の画像)、番組概要、必要であれば専用の背景画像も設定できる。動画を後から追加する場合も、既存の番組に新しい話数として組み込むだけでよく、プレイリスト自体を作り直す必要はない。
YouTube Studioの基本的な使い方や分析機能については、当ブログの「YouTube Studioとは?使い方やメリットを紹介」でも解説している。あわせて確認すると、番組機能を含めたStudio全体の操作感がつかみやすい。
独自視点:企業アカウント運用者がまず検討すべきこと
この機能は個人クリエイターの継続視聴を狙った施策として語られることが多いが、企業アカウントの運用担当者にとっても見過ごせない実務的な影響がある。
第一に、これまで「単発の企画動画」として個別にアップロードしてきたコンテンツを棚卸しする好機になる。例えば「社員インタビューシリーズ」「商品開発の裏側」「お客様の声」といった、実質的には連載企画でありながらプレイリストにまとめていなかった動画群があれば、番組化によって視聴継続率(1話を見た人が2話も見る割合)を可視化・改善しやすくなる。
第二に、番組の「見た目の一貫性」を審査的に意識する必要がある。YouTube側が推奨する「同じイントロ・同じサムネイル様式」は、これまで担当者やタイミングによってサムネイルのテイストがバラついていた企業チャンネルにとって、社内のクリエイティブガイドライン整備を迫る要素になる。逆にここを整えたチャンネルほど、レコメンド上の優遇を受けやすくなる可能性がある。
第三に、YPPに参加していない、あるいは登録者数・視聴時間の基準を満たしていない企業アカウントは、この機能自体を使えない。前述の通り2027年2月からYPPの新規参加基準が引き上げられる予定のため、番組機能の活用を見据えるなら、収益化条件のクリアを含めた中長期のチャンネル運用計画に組み込んでおくべきだろう。
過去の類似施策との違い
YouTubeは2024年秋の「Made on YouTube」イベントでも、プレイリストにシーズン・話数の概念を持たせる機能を発表している。当ブログでも「Made on YouTube」とは?クリエイター向けの新機能を徹底解説!で当時の内容を紹介した。今回(2026年7月)の発表は、この2024年時点の機能をベースに、ポスターアート設定やタイトルカードといった見た目の作り込み、そして「おすすめの番組」枠や「Continue Watching」といった露出面の拡張を加えたアップデート版という位置づけになる。単なる機能の据え置きではなく、テレビの大画面での視聴シェア拡大を背景に、YouTubeが本格的な動画配信サービス化を進めている流れの一環と捉えるとわかりやすい。
具体例で考える:どんな動画群が「番組」向きか
実際にどのような企業チャンネルのコンテンツが番組化に向いているか、いくつか例で考えてみる。
採用・企業広報系チャンネル:「社員インタビュー」「1日密着」「新卒座談会」のように、毎回フォーマットが似ていて出演者が変わる企画は、シーズンをまたいで積み上げやすい。過去の放送分をまとめて「シーズン1」とし、今後の新作を「シーズン2」として続けることで、採用候補者が過去回をまとめて視聴しやすくなる。
商品・サービス解説系チャンネル:「使い方講座」や「よくある質問に答える」といった定期更新のハウツーコンテンツは、話数構成にすることで視聴者が「前回どこまで見たか」を把握しやすくなり、シリーズ全体の完走率が上がりやすい。
単発イベント・キャンペーン動画:単発で完結するCM的な動画やその場限りのイベントレポートは、無理に番組化する必要はない。YouTube側も「一貫したストーリーやテーマ」を推奨条件に挙げており、脈絡のない動画の寄せ集めは対象外と考えたほうがよい。
よくある疑問
Q. 既存のプレイリストを番組にすると、これまでの再生数やコメントは引き継がれるか。
A. 番組化はプレイリストの表示形式や露出面を追加する機能であり、個々の動画自体を作り直すものではない。動画本体に紐づく再生数・高評価・コメントはそのまま維持される。
Q. YPPに参加していない企業アカウントでも使えるか。
A. 現時点(2026年8月17日時点の情報)ではYPP参加チャンネルが対象で、非参加チャンネルは利用できない。まずは登録者数・総視聴時間などYPPの参加条件を満たすことが前提になる。
Q. 一度公開した番組の構成(シーズン・話数)は後から変更できるか。
A. YouTube Studioの管理画面から話数の追加・並び替えが可能とされている。定期更新のコンテンツであれば、新作を随時「次の話数」として追加していく運用が想定されている。
まとめ
YouTubeの「番組」機能は、既存のプレイリスト資産を持つチャンネルほど恩恵を受けやすい施策だ。企業アカウントであれば、まずは自社チャンネル内に「実質的に連載企画だがまとめられていない動画群」がないかを棚卸しし、YPPの参加条件を満たしているかを確認するところから着手するとよい。国内での解説記事がまだ少ない今のうちに機能を把握し、サムネイルやイントロの一貫性を整えておくことが、今後のレコメンド露出で差をつけるポイントになる。
特に、これまで単発動画として個別に企画・撮影してきた担当者にとっては、番組化を前提にした企画設計(通し番号を振る、共通のオープニングを用意するなど)へと発想を切り替える必要がある。目先の再生数だけでなく、シリーズとしての完走率や再訪問率を運用指標に加えることで、この新機能の効果を正しく測定できるようになるはずだ。
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出典
- YouTube Creators公式X(旧Twitter)投稿(2026年7月21日) https://x.com/YouTubeCreators/status/2075300726058745931
- Tubefilter「YouTube shares tools that let creators turn their playlists into shows」(2026年7月21日) https://www.tubefilter.com/2026/07/21/youtube-shows-feature-watch-playlists-on-tv/
- MEDIAMIXI「YouTube、プレイリストを番組に変えられるツール公開」(2026年7月28日) https://mediamixi.jp/news/10025/