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商品やサービスを売ることは、簡単なことではありません。どんなに性能のよい商品を開発したとしても、売り方を把握していなければ売れない可能性は十分に考えられます。
一定の「物を売る方法」は存在するため、営業・販売活動を行ううえでは学ぶことが重要です。そのためこの記事では、物を売る方法やコツ、売れないと感じたときの見直しのポイントを解説します。
1.バンドワゴン効果
バンドワゴン効果を営業で活用すると、成約率が高まります。
バンドワゴン効果とは、自分以外の人が高評価をしている商品に対して安心感を覚える効果のことです。
営業においては、「人気商品です!」「今話題の〇〇!」というフレーズを使うと、成約しやすくなります。
優柔不断な人や他人の意見に流されやすい人は、バンドワゴン効果の影響を受けやすいです。
顧客がそのような人物であった場合には、積極的にバンドワゴン効果を取り入れるとよいでしょう。
ただ、多くの人が使っている商品でも、目の前の顧客にとってよい商品とは言えないケースもあるので注意が必要です。
「この顧客には合わない」と感じる場合には、本当におすすめな商品を提示して、どうしておすすめなのかをしっかりと説明しましょう。
「多くの人は〇〇を使っていますが、あなたにはあまり合わないかもしれません。」
「なぜなら〜〜からです。」
「△△の方が〜〜なのでおすすめです!」
以上のように説明すれば、「私のことを考えてくれている!」と感じてもらえます。
結果として信頼されやすく、制約にもつながりやすいので、状況に応じて使い分けてください。
2.メラビアンの法則
メラビアンの法則とは、人間のコミュニケーションにおいて話し手が聞き手に与える情報の影響をまとめた概念のことです。「7-38-55ルール」や「3Vルール」ともいい、1971年にアメリカの心理学者アルバート・メラビアンが考案した俗流解釈です。
通常、人と人のコミュニケーションにおいて聞き手は、言語情報・聴覚情報・視覚情報の3つを受け取ります。これを商談に当てはめると、お客様は営業パーソンから行動で商材説明を受けたり、パンフレットなどで写真を確認したりするでしょう。
同教授が行った実験によると、聞き手に影響を与えやすい情報は言語情報が7%、聴覚情報が35%、視覚情報が55%とのことです。つまり、商品・サービスを口頭で説明するよりも、写真を見せた方がお客様の商材理解が進みやすいといえます。
これは営業パーソンとお客様の関係性にも影響します。営業パーソンの振る舞いを例に挙げた場合、会話内容や言葉選びが言語情報、話し方や声色が聴覚情報、見た目・服装が視覚情報となります。ビジネスシーンでは第一印象が肝心とよくいわれますが、これはメラビアンの法則が由来と考えられているのです。
商談などで相手に好印象を与えたいならば、見た目・服装に気を配ることをおすすめします。清潔感のある服装や髪型はもちろん、常に笑顔を意識する、声のトーンを明るくする、リアクションをしっかりと取る、といった振る舞いも大切です。
3.フレーミング効果
フレーミング効果とは、同じ意味でも表現方法を変えるだけで読み手の印象がガラリと変わる現象のことです。
フレーミング効果は認知心理学や行動経済学などの分野で研究されており、行動経済学者、心理学者であるダニエル・カーネマン氏とエイモス・トヴェルスキー氏によって共同発表されました。
たとえば、以下の2つの選択肢を見てみてください。
- 満足度90%のサービス
- 10人に1人は満足できないサービス
あなたはこの2つのサービスがあった場合、どちらを選ぶでしょうか?
実はこの2つの選択肢はまったく同じ、「10人に9人は満足して1人は満足しない」という意味を持っています。
しかしこの場合、多くの人が1番の方を感覚的に選びます。
2番の場合、満足できなかった1人がどうしても気になって、選びにくくなるはずです。
一方1番なら、90%の人が満足できたのなら期待できる、とポジティブな捉え方をする人が多いのです。
このように、まったく同じ意味の言葉でも違う表現方法を用いることで受け手に与える影響が180度違ってくる現象のことをフレーミング効果といいます。
実は日常のさまざまなところでフレーミング効果が活用されています。
実例を上げてみましょう。
栄養ドリンクの成分表記にも、実はフレーミング効果が活用されています。よく、「タウリン2,000mg配合」という言葉を見かけないでしょうか?
ではここで、以下の2つを見比べてみてください。
タウリン2,000mg配合
タウリン2g配合
1,000mg = 1gなので、どちらも配合量は同じです。
しかし、明らかに2,000mgの方がたくさん入っているように感じないでしょうか?このように、同じ数字でもより大きく見せることで受け取り側の印象を変えることができます。
新聞やメディアの見出しも、フレーミング効果を意識して作成されています。わかりやすい例としては、以下ようなものがありますね。
ワールドカップ初戦、日本がブラジルを撃破
ワールドカップ初戦、ブラジルが日本に敗北
これらはまったく同じ意味ですが、日本の東京駅のホームでこの2つの見出しの新聞が並んでいたら、前者の方が売り上げは伸びるはずです。
前者は日本がブラジルに勝利して喜んでいるイメージですが、後者はブラジルが悔しがっているイメージを抱きます。
そのため日本人なら、感情移入しやす前者の新聞を購入するということですね。
このようにターゲットに響きやすいイメージを表現してあげれば、同じ意味の言葉でもより売上を向上させることに繋がります。
4.好意の返報性
心理学を理解していなくても自然に実践している営業マンが多いのが、好意の返報性です。
好意の返報性とは、人から好意を向けられると自分もお返しがしたくなる心理のことを言います。
たとえば、誰かからプレゼントをもらった時、「今度なにかお返ししよう」と感じるのは好意の返報性によるものです。
営業においては、雑談時に相手の服装や家にあるものを褒めることで活用できます。
あからさまにやるのは逆効果ですが、人は褒められると嬉しいものですし、嬉しいからこそ「この人にお返ししたい」と思うのです。
雑談時に顧客を褒めるなど、顧客が嬉しくなるような声かけを意識してみてください。
5.ミラーリンク効果
ミラーリング効果は、人間が自分と同じ仕草・行動を取る人は仲間と認識してしまう習性を利用しています。
鏡のように相手の行動を意図的に真似ることで、顧客との信頼関係を築こうとするものです。
例えば、相手が資料をみるときに自分もみる、飲み物に手を伸ばしたタイミングで、自分も飲み物を飲む、相手が足を組んだら自分も組む、といったテクニックが挙げられます。
しかしこれを曲解して、紋切り型に真似しようとすると「なんだ、さっきからこの人は自分の真似ばかりして、バカにしているのか?」という誤解を招くこともあります。
ミラーリングの本質は「類似性の法則」にあります。
自分と共通点の多い人に人は好意を抱きやすいという法則です。
東京で自分と同郷の人に会うと、それだけで一気に距離が縮まりますよね。
商談中に気づかれないように仕草を真似するのは上級者のやることです。
初心者は無理に真似しようとはせず、どうやって類似性を作り出すか?を考えた方が無難でしょう。
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