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企業のマーケティング担当者として、ファンマーケティングという言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
「ファンマーケティング」とは、ブランド価値を理解・支持してくれる熱量の高い顧客とつながり、長期的に売上やブランド価値を高めていくことです。昨今、このファンマーケティングを重要視する企業が増加しています。
この記事ではファンマーケティングに取り組むべき理由や、具体的な実践方法、成功事例などを紹介します
1.ファンマーケティングとは?
ファンマーケティングとは、製品・サービスに対し、熱狂的なファンを増やしていくことで、中長期的に売上を拡大させていくマーケティングの手法です。
従来のマーケティング手法は、TVなどのマスメディアを中心としたアプローチが主流でした。しかし、スマートフォンの普及により、ファンによる口コミやSNSによる拡散によって、顧客を獲得する事が可能となり、中長期的にファンを増やしていくファンマーケティングに注目が集まっています。
2.ファンマーケティングの4つのメリット
この章ではファンマーケティングのメリットについて紹介します。
メリットは以下の4つです。
- 成熟市場でも、熱狂的なファンの獲得によって安定した売上基盤を築くことができる
- 口コミやSNSの拡散による新規顧客の獲得
- 良質なフィードバック
- ファン同士が情報交換してくれる
2-1.成熟市場でも、熱狂的なファンの獲得によって安定した売上基盤を築くことができる
成長段階の市場では品質や機能によって差別化を実現することが可能です。
一方、成熟市場では、企業が技術競争を繰り返した事で、品質や機能での差別化は難しくなり、消費者は商品やサービスの価格によって購入を判断します。その結果、成熟市場では、提供者同士の価格競争になりやすく、商品の価格が低下し、利益が縮小します。
高価格であっても商品やサービスに愛着を感じて、購入をする熱狂的なファンを多く抱えている企業は、成熟市場でも高い利益率を維持する事ができます。そのためファンマーケティングにより、熱狂的な顧客を増やすことで、持続的な競争優位性を持ち、安定した売上の基盤を築くことができます。
2-2.口コミやSNSの拡散による新規顧客の獲得
熱狂的なファンは、口コミやSNSなどによって、商品やサービスの魅力を自ら発信する傾向があります。また現在、スマートフォンの普及により、商品を購入する前に、SNSや口コミで、商品やサービスの品質を確認するユーザーが増加しています。
そのため、熱狂的なファンを獲得し、ファンからの口コミやSNS配信によって、新規顧客の獲得ができるファンマーケティングは費用対効果の観点からも注目を集めています。
2-3.良質なフィードバック
商品やサービスを頻繁に利用するファンは、企業側が気づいていない商品やサービスの改善部分に気づいている可能性が高いです。
ファンマーケティングのメリットとして、ファンの意見やリアクションを商品・サービスに取り入れ、反映できるという点が挙げられます。ファンのリアルな意見を取り入れて商品・サービスを改善していくことで、購買意欲を持続させる効果もあります。
2-4.ファン同士が情報交換してくれる
熱狂的なファンは主体的に発信を行う傾向にあるので、ファン同士が交流できるコミュニティーでは、熱狂的なファンがカスタマーサポートの役割を自主的に担ってくれます。熱狂的なファンが、他の既存顧客や新規顧客の疑問点に回答することで、クレームの防止につながります。
そのため、ファンマーケティングにより、熱狂的なファンを育成することによって、カスタマーサポートのコストを削減することにも繫がります。
3.ファンマーケティングを成功させる3つのポイント
顧客をファン化させるには、顧客の「共感」「愛着」「信頼」の3つを強めることがポイントです。
3-1.共感
顧客に共感していただくためには、商品やサービス、ブランドの独自価値を明確化させ、顧客に伝える必要があります。熱狂的なファンの声を聞くことで、商品やサービス、ブランドの独自の価値に気づくことができ、商品の価値を向上させ伝えることができます。
また、SNSやブログでファンの声を伝えることでユーザーの商品やサービスを購入する際の不安を払拭することができます。
3-2.愛着
商品やサービス、ブランドに愛着をもってもらうためには、ストーリーを伝えることが重要です。特に泥臭い試行錯誤の上、開発された商品やサービスは、ストーリーを伝えることで、ファンから愛着をもっていただきやすいです。
また、商品やサービスを気軽に体験する機会を提供することも、ユーザーにブランドの愛着を持ってもらうための手段としては効果的です。
3-3.信頼
制作過程や製造工程など細部までの情報を開示し、ユーザーに見てもらうことで、商品やサービスに対して高い信頼を勝ち取ることにつながります。また制作過程や製造工程などの情報以外にも開発者や製作者、工場や研究所などの情報を開示することで、より信頼を得ることができます。
また、目先の利益を優先し、ファンに対し不誠実に対応してしまった場合、ファンから信頼を得ることが難しくなってしまうため、特にトラブルなどが発生した際などは、誠実な対応を徹底する事が重要です。
4.ファンマーケティングの手法
一口にファンマーケティングといっても、さまざまな手法があります。ファンマーケティングの代表的な5つの手法について見ていきましょう。
4-1.ファンミーティング
ファンミーティングとは、企業と顧客が交流するための場を提供する手法です。ファンミーティングという名のとおり、参加できるのは特定の顧客のみに限られており、招待制になっていることも少なくありません。ファンにとって特別な機会であり、自身が企業から優遇されていることを実感する場ともいえます。
普段は顔が見えない従業員と顧客が直接交流できることが、ファンミーティングの大きなポイントです。顧客はそこで商品やサービスに対する感想や意見・要望などを伝えることができます。また、企業側からファンに対して、感謝の気持ちを伝える場としても有効です。
4-2.ファンコミュニティ
ファンコミュニティは、企業のファン同士が交流するための場を提供する手法です。商品のユーザーであると同時に企業の熱心な支持者が集まるため、そこでは商品に対するポジティブな意見が交わされる傾向があります。顧客はほかのユーザーの声を聞く機会を得ることができ、肯定的な意見を目にしていく中でさらに企業への帰属意識を高めていくのです。
前述のファンミーティングは企業とファンが交流する場であるのに対して、ファンコミュニティは純粋にファン同士が交流するための場として提供されるのが大きな違いです。企業はファンコミュニティにはできるだけ介在せず、ファンによって自治運営されていくことが理想的な形といえます。
4-3.SNSでの交流
企業の公式SNSアカウントを通じて、ファンとの交流を図る手法も有効です。顧客にとって企業の「中の人」の様子がわかれば親近感がわくだけでなく、気軽に質問もできるといったメリットがあります。投稿のシェアやDMによるやりとりを重ねていく中で、顧客にとってその企業は他社とは異なる特別な存在になっていくのです。
SNSアカウントの作成や運用には大きなコストがかからないこともあるため、SNSでの交流は初期投資を抑えて取り組めるファンマーケティングの手法といえます。フォロワーが増えていけば強力な告知媒体にもなりうるため、コストパフォーマンスに優れた手法といえるでしょう。
4-4.会員制サービス
会員制サービスは、会員顧客のみが利用できる特別なサービスを提供する手法です。会員限定セールや会員限定商品の提供といったサービスが想定されます。顧客にとっては会員になったメリットを感じられると同時に、自身が優遇されていると実感する要因となり、企業やブランドへの思い入れをより深めてもらうことができるのです。
月額利用料のみで使い放題となるサブスクリプション型サービスも、広い意味での会員制サービスといえます。サブスクリプション型サービスは他社への乗り換え防止に役立つだけでなく、安定的な売上の確保にもつながる手法です。継続的な提供が見込まれるサービスであれば、サブスクリプションを導入することも有効な施策となります。
4-5.サンプリング体験
サンプリング体験は、限られた顧客にサンプル商品を送り、実際に使ってもらう手法です。SNSキャンペーンを利用したり、モニターサイトを通じて体験ユーザーを募ったりする方法が想定されます。実際に商品やサービスを利用する体験を通じて商品への理解を深めてもらい、SNSなどで肯定的な発信をするファンを育成していくことが主な目的です。
サンプル商品を届けるだけでなく、レビューやSNSへの投稿を呼びかけることでも、より高い効果が期待できます。商品やサービスへの認知度があまり高くない段階において、ファン層を形成するためのきっかけとしてよく利用される手法のひとつです。
5.参考にしたい!ファンマーケティングの企業事例
ここでは、ファンマーケティングの成功事例を紹介します。
5-1.株式会社ヤッホーブルーイング
クラフトビール醸造・販売で知られる「ヤッホーブルーイング」は、ライトユーザーをファンに導くことで、顧客ロイヤルティを高めています。
〇課題
クラフトビール業界全体は、コロナの影響により大打撃を受けている状況。「ヤッホーブルーイング」で も、観光客需要を見込んだ販売チャネルでの売上に苦戦している。また、都内にある公式ビアレストランでも、緊急事態宣言下ではアルコールの提供そのものができない時期が続いた。
〇施策
オンライン上にも販路を持っており、通販のファン顧客が集うリアルイベントを定期的に開催している。コ ロナ禍においては、オンラインでファンイベントを実施。
〇結果
・イベントには、ファン顧客がライトユーザーの友達を連れてきてくれて、わずか1日の参加でブランドへの好意度を強め、ロイヤルティの高いファンになってくれる
・マス広告の取り組みはしていないが、新規顧客獲得に大変有効な施策だと位置づけている
※参考:大手では真似できないライトユーザーを“伝道師”に導くヤッホーブルーイング流“ファンづくり”
5-2.株式会社ワークマン
作業服やカジュアルウェア、キャンプ・アウトドア用品販売で知られるワークマン。ファンの輪を広げていくことで、コロナ禍でも大きく成長しました。
〇課題
新規顧客を獲得したい。
〇施策
SNS投稿を見ていると、企業側が想定しているのとは異なる売れ方をするアイテムがあることを発見した。(寒冷地で売れる防寒着が、突如として都心のバイカーに売れるなど)
そこで、SNS上で各商品の機能性に着目し、新たな利用シーンまで自ら発信してくれる熱心なファン顧客をアンバサダーとして任命。無償で新商品に関する情報発信を依頼したり、共同で商品開発に協力してもらうようになった。
〇結果
・ファンとの共同開発商品点数が、半年で100点以上にも上るようになった
・マスCMを止めても、ファンを巻き込むことで新規顧客を獲得できている
※参考:【「ワークマン」にアンバサダーとUGC活用術を聞く】ファンの輪広げ、コロナ禍にCM止めても成長継続
5-3.株式会社スノーピーク
「BASE BREAD®︎」や「BASE PASTA®︎」の製造・販売で知られる「BASE FOOD」。ユーザーコミュニティ構築・運用により、継続率の向上と、ファン顧客からの紹介数増加につなげています。
〇課題
ユーザーの声をよりカジュアルな形で、リアルタイムに集める仕組みが欲しい。ただ、SNS上のフォロワーではECのユーザーIDとの紐付けがしにくい。
〇施策
オンラインのユーザーコミュニティを構築。社員全員が情報発信や、顧客とのコミュニケーションを日常的に取るようにした。限定試食会(リアルイベント)の招待をコミュニティで呼びかけることも。
〇結果
・ユーザーのリアルな声が集まる場をつくれた
・コミュニティ内でのレシピや利用アイデアの共有が活発化
・顧客の食べ方バリエーションが多様化し、継続率向上や購入個数の増加につながった
※参考:ベースフード株式会社 vol.1 「ユーザーコミュニティで継続率の向上とお客様からの紹介数増加を実現」 | commmune(コミューン)
6.まとめ
ファンマーケティングはファンを作り、ファンの力でビジネスを成長させるマーケティング手法です。企業や商品・サービスに愛着を持っているファンを増やすことで、安定的な経営に繋げることができます。「これからさらに売り上げを向上し、安定的な事業経営をしたい」と考えられている企業にはオススメのマーケティング手法となっています。ぜひ自らのビジネスに活用なさってみてください。
⇒【東証プライム企業も多数利用!】最先端のSNSマーケティングツール「Tofu Analytics」、「InstantWin」とは?