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ソフトバンクと聞くと通信会社として身近な存在です。携帯電話事業という、私たちのインフラには欠かせない事業を展開する会社として、誰もが知っています。しかし、ソフトバンクという会社をみていくと、企業買収や出資などを頻繁に行っています。
なぜ、ソフトバンクはM&Aを繰り返すのでしょうか。この記事では、ソフトバンクのM&A戦略や成功例、失敗例をご説明います。
ソフトバンクとはどんな会社なのか
はじめに、ソフトバンクがどのような会社であるのか、みていきます。
ソフトバンクは孫正義CEOが1981年に株式会社日本ソフトバンクとして設立して、パソコン用パッケージソフトの流通事業を始めたことがスタートです。
その後、1997年に現在のソフトバンク株式会社(現・ソフトバンクグループ株式会社)に社名を変更して米国法人も設立しました。1994年には日本証券業協会に株式を登録して大型買収へのステップを踏みます。
1996年には日本法人ヤフー株式会社を設立して、インターネットに関する事業や子会社を次々に立ち上げていきます。以降、東証一部への上場、日本テレコムの子会社化、福岡ダイエーホークスの子会社化、モバイル事業への参入など次々に事業展開をおこないます。
2019年7月にはソフトバンク・ビジョン・ファンド2を設立して成長企業への投資やAI革命を持続的に加速することを目指しています。
ソフトバンクのM&Aの歴史をみていく
ここからは、ソフトバンクのM&Aの歴史をみていきます。これまでにソフトバンクがおこなったM&Aには以下があります。
・米国Yahoo Incとの共同出資による日本法人ヤフーを設立
・日本テレコムの子会社化
・福岡ダイエーホークスの子会社化
・ボーダフォンを子会社化
・アリババを合弁会社化
・イーアクセスを子会社化
・米国Sprint Nextel Corporation(現Sprint Corporation)を子会社化
・ZOZOを買収
・LINEと経営統合
以上はソフトバンクのM&Aの一例であり、ほかにもさまざまなM&A事例があります。
ソフトバンクのM&A戦略とは?
ソフトバンクはこれまで、数々のM&Aをおこなってきました。その戦略の意図は何なのでしょうか。ここからは、ソフトバンクのM&A戦略を解説します。
同志的な結合が狙い
ソフトバンクのM&A戦略には「同志的な結合」という狙いがあります。同志的な結合とは、買収する側とされる側が同じ志をもち、互いを尊重し合うことで成長を目指す意味です。
これは資本の結合ではなく志を同じくする者が役割を全うして、協力し合うことで戦略的な相互作用を目指す戦略といえるでしょう。
特に新規事業に参入するときは、同志的な結合をいう考えが重要です。敵対的、支配的な買収となると、買収された側は不安を抱えやすくなり事業の継続にも影響がでてしまいます。そして、買収する側は高いシナジー効果を得られなくなるわけです。
ソフトバンクがこれまで数々のM&Aを成功させてきたのは、それだけ志を重視した戦略をとってきたことになります。また、相性のいい会社をみつけるための着眼点や情報網の多さも影響しているでしょう。
なぜM&Aを繰り返すのか
ソフトバンクがM&Aを繰り返すのは、前述した同志的な結合が大きな要因でしょう。孫さんは、同じ志を持つものが一緒に集まると、互いの強みを最大限に発揮できると考えています。同志的な結合により、どんどん発展していく、もしくは発展していきたいとも読み取れます。
さらに、M&Aにより資金調達も有利に進めています。ソフトバンクは、ハイブリッド社債の発行や保有株式の売却などで資金調達をおこなっています。ときには1兆円単位の資金調達をおこない、世間を驚かせます。これは自社の株式を担保にして融資を受けています。会社の規模を大きくして資金調達にも活かしているわけです。
さらに、融資された資金をM&Aやその他の事業資金に充当してグループ全体を支えています。
ソフトバンクのM&Aの成功例
ここからはソフトバンクのM&Aの成功例を紹介します。
Yahoo
日本法人のヤフーは米国のヤフーと共同出資で設立しました。設立当時のヤフーの知名度は低いものでしたが、ソフトバンクは複数回の出資をおこなっています。スタートアップの段階でヤフーに巨額出資をおこなったことは、ビジネス戦略として先見の明があったといえます。
現在、ヤフーは検索エンジンとして多くのユーザーが利用するようになっています。ちなみに、ヤフーのようなスタートアップ企業に巨額出資をするのはソフトバンクの代表的な戦略です。
福岡ダイエーホークス
今やプロ野球界では常勝軍団として知られる福岡ソフトバンクホークス。その前身である福岡ダイエーホークスをソフトバンクは買収しています。しかし、他のM&Aとは意味合いが異なり、広告的な要素が含まれています。
とはいえ、毎年のように優勝争いをするチームにしているわけですし、経営にも尽力しています。最近では福岡ドームの命名権にヤフーやペイペイを取得して企業の認知度向上をはかっています。
ボーダフォン
ボーダフォンの買収はソフトバンクのM&Aの事例でもっとも有名かもしれません。移動通信事業に本格参戦できたのも、この買収があったからでしょう。既存のインフラやサービスの基盤を獲得して、短期間で効率の良い新規事業の展開となりました。
ソフトバンクのM&Aの失敗例
ソフトバンクはM&Aで成功だけを収めたわけではありません。ここでは、失敗例をご紹介します。
スプリント
スプリントは米国でも大手の携帯電話事業者です。ソフトバンクは米国での携帯電話事業に参入すべく、スプリントの株式を70%(1兆5709億円)取得しました。しかし、買収後はスプリントの業績が伸び悩んでいます。
米国の携帯電話業界では3位を維持していましたが、Tモバイルに抜かれて4位に転落。また、ソフトバンクグループは有利子負債を抱えていることでも有名ですが、その3分の1弱をスプリントが占めています。
ウィーワーク
ウィーワークは米国でシェアオフィス事業を展開する会社です。米国ではシェアオフィス事業が注目を集めています。ソフトバンクは2017年に約1兆円、2019年にも約1兆円の追加出資をおこないました。しかし、2018年度が2000億円の損失額、2019年上半期は980億円もの純損失計上が明らかになりました。
出資当時の時価総額も半分以下になるなど、ソフトバンクには大きな痛手となっています。
ソフトバンクのM&A戦略から学ぼう
ソフトバンクはこれまでにさまざまなM&Aをおこない、規模を拡大してきました。同志的な結合という戦略で多くの買収や出資に成功しています。一部では失敗といえる事例もありますが、今後もソフトバンクがどのようなM&Aを注目して学んでいきましょう。
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