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「自動車メーカーといえば?」という質問には、「トヨタ」と答える人も多いでしょう。ご存知のとおり、トヨタは自動車販売台数において世界1位を獲得したことのあるメーカーです。

日本のみならず、世界中の人々がトヨタの車を愛していることがわかります。それほどトヨタが人気である理由はなんなのでしょうか。この記事ではトヨタの経営戦略を中心に迫っていきたいと思います。

強者戦略により世界的な自動車メーカーに

トヨタが世界的な自動車メーカーになった背景には、強者の経営戦略があります。

そもそも、強者の経営戦略とはランチェスター戦略を日本の田岡信夫氏が経営戦略として体系化したものです。また、強者の経営戦略とは市場占拠率1位の強者が取るべき戦略とされています。

強者の経営戦略の基本は「ミート戦略」といわれるものであり、弱者がとる差別化戦略ではなく、その差別化戦略を追随して弱者の優位性をなくしてしまうものです。

これまでトヨタはさまざまな面でミート戦略を実行しています。

たとえば、ハイブリッド車においてライバルのインサイト(ホンダ)が2009年に販売されました。その際、価格が189万円という大衆が手を出しやすい価格でした。これに対して、トヨタはミート戦略を実行します。

インサイトが発売されてから3ヶ月後に当時のプリウスを43万円も値下げして、190万円ほどで販売します。さらに、性能を向上させた新モデルを205万円という価格で販売。このミート戦略も成功して、プリウスの販売台数が向上しました。

また、広告におけるミートも行いました。新型プリウスを発売したときに、寸劇やイラストを活用して、インサイトとの違いをだします。ハイブリッド車で人気を二分するインサイトよりも、性能や価格で優れているとアピールして販売台数を伸ばしました。

このようにミート戦略はトヨタが得意とするものです。

トヨタの大きな強みは経営資源

前述のようなミート戦略できるのは、豊富な経営資源があるからです。トヨタは研究開発、販売チャネル、広告や顧客サービスなどあらゆる面でほかのメーカーよりも優位に立っています。

ですから、下位企業が魅力的な新車を開発、販売しても、圧倒的な経営資源をもとに新車を開発して価格やサービス、広告面で追い抜くことができるわけです。さらに、トヨタでは低価格帯の車からハイグレードな車まで、幅広い顧客ニーズを満たせる体制があります。

全セグメントに対して戦略の方針をとって、広い戦略ポジションをもっています。これも強者の経営戦略です。このような経営戦略は中小企業には真似できないものになります。

とはいえ、自社の事業が市場においてどの程度のシェアを獲得しているのか、また、トップ企業はどのような戦略を採用しているのか、そういった視点でモノを考えるには知っておきたい戦略でしょう。

マーケティング会社の設立

トヨタは強者の経営戦略を実行していますが、それだけでトップの地位を維持できるわけではありません。たとえば、2008年に起きたリーマンショックは自動車業界にも大きな打撃を与えました。

また、最近では購入からシェアなど、自動車に対する価値観の変化も起きています。そのような時代背景に対応するには柔軟な経営戦略が必要です。

そこでトヨタは2010年に時代のニーズにあった経営戦略を推進すべく、「トヨタモーターセールス&マーケティング」「トヨタマーケティングジャパン」を設立しました。これにより、マーケティングの展開と広告宣伝、プロモーション活動を進めています。

また、2021年からは電通グループとの提携により、トヨタのビジネスモデルの変革のスピードアップや広告関係に長けた電通の強みをあわせたマーケティングを行います。

このように、トヨタは常に時代にあった経営戦略を考えています。

トヨタのCASE戦略とMaaS戦略

ここからは、トヨタが研究や開発に注力している自動運転に関する戦略をご紹介します。

CASE戦略

CASE戦略とは、「Connected(コネクテッド)」「Autonomous(自動化)」「Shared(シェア)」「Electric(電動化)」の頭文字をとったものです。

「Connected(コネクテッド)」とは、モビリティプラットフォームを通じてライドシェアやレンタカーの業者に必要な情報を提供しようとするものです。これはトヨタがあらゆるものをつなげようとしている事業となります。

「Autonomous(自動化)」は、トヨタが開発している2つの自動運転システムなどと連携する技術への取り組みになります。「Shared(シェア)」は、トヨタがすでに提供しているシェアリングサービスや今後展開予定のものです。

「Electric(電動化)」は、電気自動車の拡大です。また、新たな燃料を活用したものも含まれます。

MaaS戦略

MaaS戦略とは「Mobility as a Service」であり、移動そのものをサービスにする考え方です。MaaSという言葉は最近になってよく聞くようになりましたが、その前からトヨタは計画を進めていました。

前述したモビリティプラットフォームの構築もMaaS戦略の一部です。さらに、どの業者であってもそのプラットフォームが使えるようにする意向もあり、トヨタのリーダーシップが発揮されている取り組みとなります。

トヨタの経営戦略から学ぼう

世界的な自動車メーカーのトヨタは、強者の経営戦略をとっています。ライバルを圧倒するような経営資源を背景に、下位企業が魅力的な自動車を販売してもすぐに追い抜いていきます。

このような経営戦略は、中小企業や個人事業者が強者の戦略を採用することはできないでしょう。しかし、強者の戦略でカバーしきれない部分や協業により活路を見出すことが可能です。トヨタの経営戦略を参考に、自社の事業についてもう一度、分析し直してみてはどうでしょうか。

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