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Xが2026年8月、iOS版アプリの動画エディタに新しい機能を追加した。撮影・アップロードした動画クリップの上に、テキストと絵文字を直接配置できる「テキストオーバーレイ」機能だ。X内で動画を撮って編集し、そのまま加工して投稿する一連の流れが、また一歩完結に近づいたことになる。
この機能は単独の追加ではない。2026年7月にXがiOS版動画エディタへ投入した「グリーンスクリーン」「多言語字幕」に続く、動画編集機能拡張の第2弾にあたる。本稿では公式発表の内容を一次情報から確認したうえで、企業アカウントの運用担当者が実務でどう使えるかという視点を中心に整理する。
何が起きたか:動画クリップにテキスト・絵文字を直接配置可能に
X内のクリエイター向け公式アカウント「X Creators」(@XCreators)は、Xでの投稿で「Add text overlays to your videos. Now live in video editor on iOS(動画へのテキストオーバーレイが可能に。iOS版動画エディタで利用開始)」と発表した(投稿:https://x.com/XCreators/status/2088006016721940988)。これに合わせて、X所属のエンジニアであるAllegra Jacchia氏(@allegrajacchia)が、動画クリップにテキストを入力し、色や配置を変えながら仕上げていく操作のデモ動画を公開している。
海外メディアSocial Media Today(Andrew Hutchinson氏、2026年8月16日付)は、この発表について「X announced on Friday that users in the iOS version of the app can add text overlays to their video uploads(Xは金曜日、iOS版アプリのユーザーが動画のアップロード時にテキストオーバーレイを追加できるようになったと発表した)」と報じている。同記事の公開日(日曜日)から逆算すると、X社内での発表・機能公開は2026年8月14日(金・現地時間)にあたる。日本語圏では2026年8月18日にfind-model.jp(インスタラボ)がこの機能を単独で取り上げた速報記事を公開しており、本稿執筆時点で日本語の専門メディアによる詳報は同記事以外にほぼ見当たらない。
機能自体はシンプルだ。iOS版Xアプリの動画エディタでクリップを選び、テキストを入力すると、文字色やフォントスタイル、動画内での配置(上下左右・拡大縮小)を指定できる。絵文字もテキストと同じ枠組みで動画上に重ねられる。TikTokやInstagramのストーリーズ・リールでは標準的な操作性であり、Social Media Todayも「Snapchatが2012年、Instagramが2016年、TikTokが2019年に同種の機能を導入しており、Xは7〜14年遅れての追随」と評している。

2024年のビデオファースト宣言から続く拡張ロードマップ
今回のテキストオーバーレイは、Xが継続的に進めている動画機能強化の一部として位置づけられる。時系列を整理すると次のようになる。
- 2024年:当時のCEOリンダ・ヤッカリーノ氏が「Xはビデオファーストのプラットフォームになる」と繰り返し表明
- 2025年:タイムラインに動画専用の閲覧タブを新設し、動画コンテンツへの導線を強化(関連記事:Xが専用動画タブを開始!日本への影響は?)
- 2026年7月6日(現地時間、日本時間7日):プロダクトを統括するNikita Bier氏(@nikitabier)がXで「Today we’re launching a brand new Video Editor and Recorder in the iOS app(本日、iOSアプリに新しい動画エディタ・レコーダーをリリースする)」と発表。グリーンスクリーン・多言語字幕オーバーレイを搭載した新エディタをiOSに投入
- 2026年7月:Android版Xアプリをリニューアル(動画編集機能そのものの実装時期は今回の発表範囲外)
- 2026年8月14日:テキスト・絵文字オーバーレイ機能を追加
7月の発表内容は日本語メディアでも報じられており、窓の杜(樽井秀人氏、2026年7月7日付)は「多言語のキャプション(字幕)をオーバーレイ表示してその見た目をカスタマイズすることが可能」「Xのポストやカメラロールの写真を背景として合成した動画を作成できる」と機能を紹介している。X Corp Japan公式アカウント(@XcorpJP)も同日、「字幕を追加(日本語対応)して動画が投稿できるようになりました」と日本語での利用を明言していた。今回のテキストオーバーレイも同じiOS版動画エディタの機能拡張であり、日本語表示自体は技術的に対応している可能性が高いが、フォントの種類や文字詰めなど日本語特有の見え方については、本稿執筆時点で公式からの詳細な説明は確認できていない。実機での挙動は各自の環境で確認することをおすすめする。
企業アカウント運用者向け:テキストオーバーレイをどう投稿フローに組み込むか
find-model.jpの先行記事は機能概要とXの「ビデオファースト」戦略の文脈を扱っているが、実際に企業アカウントを運用する担当者が知りたいのは「この機能を投稿フローのどこに組み込むか」という実務面だろう。ここでは3つの観点から整理する。
まず、音声なし再生への対応だ。Xのタイムラインでは動画が既定でミュート再生されることが多く、冒頭数秒でテキストが目に入るかどうかが視聴継続率を左右する。今回のテキストオーバーレイは外部の編集アプリを経由せずXアプリ内で完結するため、投稿直前に「音声なしでも伝わる一言」を動画に焼き込む作業が数十秒で終わる。撮影から投稿までのリードタイムを縮めたい速報系・キャンペーン告知系の投稿と相性がよい。
次に、多言語字幕機能との役割分担だ。7月に追加された字幕機能はセリフや説明を文字起こしする用途に向いており、今回のテキストオーバーレイはCTA(「詳細はプロフィールのリンクから」等)や強調ワードなど、動画の一部としてデザイン的に見せたい要素に向いている。両方を同じ動画に詰め込むと情報過多になりやすいため、字幕は「音声を聴けない人への補助」、オーバーレイは「一瞬で伝える訴求」と役割を分けて設計するのが実務上の落としどころになる。
さらに、外部編集ツールとの使い分けも整理しておきたい。CanvaやCapCutといった外部アプリは、アニメーション付きテキストや複数フォントの組み合わせなど表現の自由度で優位に立つ。一方でX内蔵のテキストオーバーレイは、撮影から編集・投稿までがスマートフォン一台でワンストップに完結する点が強みになる。日々の速報性が求められる投稿はX内蔵機能で、ブランディングを重視するキービジュアル的な動画は外部ツールで作り込む、という二段構えの運用が現実的だ。あわせて、ライブ配信機能「Live Studio」で配信したアーカイブ動画を切り出して投稿する際にも、このテキストオーバーレイで見出しを追加すれば、ライブを見ていなかったフォロワーにも要点が伝わりやすくなる。
効果測定の視点も押さえておきたい。テキストオーバーレイの有無で視聴維持率やエンゲージメント率がどう変わるかは、X標準のアナリティクス上では「オーバーレイあり動画」と「オーバーレイなし動画」を並べて比較するしかなく、専用の計測項目は用意されていない。運用担当者としては、投稿カレンダー上でオーバーレイの有無をタグ付けしておき、週次・月次で視聴完了率を手動比較する運用が当面の現実解になる。数値の変化が読み取れるようになった段階で、社内向けの活用ルール(冒頭3秒にテキストを必ず入れる、等)に落とし込むとよい。
実際の投稿フロー例
- 撮影:新商品や登壇シーンなど 15〜30秒の縦型動画を撮る
- 字幕:セリフや説明がある場合は多言語キャプション機能で自動生成し、誤変換を手動で修正する
- オーバーレイ:冒頭にCTAや強調ワードをテキストオーバーレイで追加する。絵文字は1〜2個に絞り、視認性を優先する
- 確認:ミュート状態で最初の3秒を再生し、テキストだけで内容が伝わるか確認する
- 投稿:本文キャプションでハッシュタグや詳細リンクを補足して投稿する
現時点でわかっている制限・注意点
2026年8月21日時点で確認できている一次情報をもとにすると、いくつか留意すべき点がある。第一に、今回のテキストオーバーレイはiOS版Xアプリの動画エディタに限定した機能であり、Android版・Web版への対応時期は公式からのアナウンスが確認できていない。Android版Xアプリは2026年7月にリニューアルされているが、この動画編集機能群がAndroid側にいつ実装されるかは今回の発表範囲に含まれていない。
第二に、公開されているデモ動画から読み取れる範囲では、テキストの色・位置・フォントスタイルの変更は可能だが、複数フォントの切り替えやテキストアニメーションの有無など、より詳細な仕様は公式ヘルプページ等での明文化がまだ確認できていない。実際の挙動は各自の環境で試用のうえ確認することをおすすめする。
第三に、絵文字オーバーレイは通常の絵文字ピッカーから選ぶ形式とみられ、TikTokやInstagramにあるようなアニメーションスタンプ・GIFステッカーとは異なる位置づけの機能である。派手な演出を求める場合は、引き続き外部アプリとの併用が現実的だ。
まとめ:小さな機能追加だが、運用フローの見直しどころ
今回のテキストオーバーレイ追加は、SNS全体で見れば目新しい機能ではない。SnapchatやInstagram、TikTokが数年前から備えてきた機能に、Xがようやく追いついた形だ。ただし企業アカウントの運用実務においては、撮影から投稿までを完結できるツールが1つ増えたことの意味は小さくない。字幕・グリーンスクリーン・テキストオーバーレイという、3つの機能をどう使い分けるかを投稿フローに落とし込んでおくと、今後、Xがさらに動画機能を拡張してきた際にもスムーズに対応できる。
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出典
- X Creators公式アカウントの投稿(2026年8月発表分):https://x.com/XCreators/status/2088006016721940988
- Andrew Hutchinson「X adds video overlays」Social Media Today(2026年8月16日):https://www.socialmediatoday.com/news/x-adds-video-overlays/827979/
- インスタラボ編集部「【最新ニュース】X(旧Twitter)、iOS版で動画への「テキスト追加機能」を新導入!」find-model.jp(2026年8月18日):https://find-model.jp/insta-lab/x-ios-video-text-overlay
- 樽井秀人「iOS版「X」アプリに新しいビデオ編集機能、多言語キャプションや”グリーンスクリーン”も」窓の杜(2026年7月7日):https://forest.watch.impress.co.jp/docs/news/2122877.html
- Nikita Bier氏(@nikitabier)のX投稿(2026年7月6日):https://x.com/nikitabier/status/2074218166033781048