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物流業界は単に商品を配達するだけではなく、保管や梱包、情報処理などを一手に担います。近年ではEC市場の成長により、物流は生活になくてはならない存在です。
しかし、人手不足や小口配送の急増などにより、従業員の業務負担が増えています。そこで注目されているのがスマートロジスティクスです。
本記事では、スマートロジスティクスの基本知識や活用例などをご説明します。物流業界の理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。
【重要】本記事は2022年5月時点の情報を基に執筆しています。その後、2024年4月からトラックドライバーの時間外労働に上限規制が適用される、いわゆる「物流の2024年問題」が本格化し、輸送力不足がさらに深刻な経営課題となりました(全日本トラック協会の解説ページでも詳しく取り上げられています)。以下の基礎知識や事例は執筆時点のものとして参考にしつつ、記事後半の最新動向もあわせてご確認ください。
ロジスティクスとは?
まずはロジスティクスについてご説明します。ロジスティクスとは、物流の運送や保管、包装、流通加工などのさまざまな機能を高度化して、調達・生産・販売などの分野を統合。需要と供給との適正化を目指すことです。
そして、環境保全、安全対策などの社会的な課題に対処する戦略的な意味合いもあります。
物流とロジスティクスの違い
ロジスティクスと似たようなキーワードに物流があります。物流は物資を供給者から需要者に移動させることです。ちなみにその移動の過程は、運送・輸送、保管、包装、システム、流通加工、荷役の6つの機能が含まれます。
一方のロジスティクスは、物流の上位概念です。ロジスティクスは物流の機能をさらに高度化して需要と供給の適正化を図ります。
経営視点で見た場合のロジスティクスのメリット
ここでは経営視点で見た場合のロジスティクスのメリットを見ていきます。ロジスティクスによる経営上のメリットは以下が挙げられます。
・在庫の適正管理
・物流コストの削減
・営業のサポート
ロジスティクスにより正確な販売予測が可能となり、適正な数の在庫をキープすることが可能となります。これにより在庫が足りなかったり過剰に保管したりすることを防ぎます。結果として物流コストの削減につながるわけです。
また、営業担当が在庫管理を兼務しているならば、ロジスティクスによって本来の業務に集中できるでしょう。営業担当者が営業活動に集中できるようになると、販売促進につながり、自社の業績向上に好影響といえます。
近年はスマートロジスティクスが注目されている
近年ではスマートロジスティクスが注目されています。スマートロジスティクスではIoTやAIといった最新の技術を活用して物流の最適化、業務の効率化を目指します。環境への負担軽減、貨物セキュリティの向上なども目的とされています。
スマートロジスティクスが注目されるようになったのは、EC市場の成長が挙げられます。特に新型コロナウイルス感染症の影響で通販を利用するユーザーが増えたことも要因の一つです。
また、物流の需要が増えるなかで業界の人材不足が深刻化しています。物流業界の従業員1人当たりの業務量が増えていることから、スマートロジスティクスに着手するケースも増えています。倉庫や配送ルートといった現場で発生する大量のデータをどう分析・活用するかは、ビッグデータの3Vという考え方で整理すると理解しやすくなります。
スマートロジスティクスに用いられる技術
スマートロジスティクスではIoTやAIを活用するわけですが、具体的な活用方法を見ていきます。例えば、倉庫内作業をAIによって最適化できます。物流業界においてピッキングがコスト削減で大きな課題となります。
これまではピッキング担当者の経験や勘に頼る部分が多かったものの、AIや倉庫管理システムを有効活用し、従業員にセンサーなどをつけることで行動を分析します。大量のデータを分析することで、経験の浅い従業員であっても倉庫内作業を最適化できるようになります。センサーで収集したデータをその場(現場)で処理して即座に判断へつなげるエッジコンピューティングの活用も、リアルタイム性が求められる倉庫内作業や配送管理と相性がよい技術です。
さらにピッキングロボットを活用すれば人為的なミスが激減するでしょう。配送においてもAIを活用することで、配送ルートを最適化できます。配送についてもドライバーの経験や勘によるところが多かったものの、AIが配送ルートを導いてくれることで配達の遅延などを防ぎます。
最近ではドローンを使用した無人配達に期待がかかっています。ドローン配達が実現できれば、過疎や高齢化が進む地域にも積極的な配送が可能になるでしょう。
スマートロジスティクスの事例
ここではスマートロジスティクスの具体的な事例をご紹介します(いずれも実施当時の内容を参考情報としてまとめたものです)。どのような技術が生かされているのか理解しましょう。
楽天と西友
楽天と西友は、自動配送ロボットによる配達サービスを期間限定で行いました。自動配送ロボットが公道を走行して、商品を届けた事例は国内初のことでした。
対象地域のユーザーがスマホで商品と配達時間を指定して注文。その後、自動配送ロボットがユーザーの自宅に配送します。自動配送ロボットは遠隔監視され、ユーザーの自宅に届くと電話で通知がなされる仕組みです。
ヤマト運輸
ヤマト運輸は医薬品などを扱うアルフレッサホールディングスと業務提携して、配送に関する業務量予測システムと配車計画が立てられるシステムを実装しました。
配車業務量予測システムは、アルフレッサが蓄積しているビッグデータをAIで解析することで、注文数や配達発生確率を予測します。配車計画システムでは、ヤマト運輸が蓄積したノウハウなどをもとに自動で配車計画を作成します。
ウォルマート
ウォルマートは世界最大規模のスーパーマーケットチェーンです。同社はオンラインで受注した商品を自動でピッキングするロボットを一部の倉庫で導入しました。
ロボットはレールの上を走行することが基本であるものの、レールがなくても自走できるとのことです。ピッキングロボットは、受注商品を回収してワークステーションの従業員に手渡します。
(参考)「物流の2024年問題」とスマートロジスティクスの今
2024年4月、トラックドライバーの時間外労働は年960時間を上限とする規制の適用が始まりました。長年、物流・運送業界には猶予期間が設けられていましたが、その猶予が終了したことで、輸送力不足いわゆる「2024年問題」が現実の経営課題として顕在化しています。詳細は全日本トラック協会の解説ページでも確認できます。
この規制により、ドライバー1人あたりの走行距離や稼働時間には限りがあるため、限られた人員・時間でいかに効率よく荷物を運ぶかが問われています。AIによる配送ルートの最適化や積載効率の改善、倉庫内作業の自動化といったスマートロジスティクスの取り組みは、こうした人手不足・稼働時間の制約に対応する手段として、記事執筆時よりもさらに重要性を増しています。
あわせて、国土交通省などの行政機関も物流DXや共同配送の推進策を打ち出しており、荷主・運送事業者双方がデータに基づいて業務を見直す動きが広がっています。自社の物流体制を検討する際は、社内のデータだけでなく、こうした最新の公的情報もあわせて確認することをおすすめします。
スマートロジスティクスを理解しよう
コスト削減や人手不足、環境保全など、さまざまな面に効果があるスマートロジスティクス。AIなどを活用して物流業界の課題を解決していきます。「2024年問題」により人手不足がさらに深刻化するなか、今後はますますの活用拡大が見込まれるでしょう。
物流業界で活躍している方、物流業界での就業を目指す方は本記事を参考にして、スマートロジスティクスの理解を深めてみてください。
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