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「あなたはこの商品(サービス)を友人・知人に勧める可能性はどれくらいありますか?0〜10 点で点数を付けてください。」アンケートでこのような質問を見かけたことはありませんか? これは、NPS®(ネットプロモータースコア)と呼ばれており、「究極の質問」の著者であるフレッド・ライクヘルド氏が提唱した「顧客ロイヤリティ」「顧客の継続利用意向」を知るための指標です。

現在では、Apple、Amazon、Google、Facebook、スターバックスなどをはじめとした、多くのグローバル企業が業績向上に繋げるための業務改善指標として採用されています。

今回は、NPS®について解説をしますのでぜひ参考にしてください。

1.NPSとはなにか

NPS(Net Promoter Score/ネット・プロモーター・スコア)とは、顧客ロイヤルティを知るための指標です。顧客に「あなたはこの商品・サービスをどの程度、友人や同僚に勧めますか?」という質問に0~10の11段階で答えてもらった結果を数値化したものになります。

「0~10点で表すとして、○○を友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?」

このシンプルな質問で、自社を支持する顧客層や離反する恐れのある顧客層を特定し顧客ロイヤルティをはかる調査手法です。NPS®の結果は業績成長との相関が最も強く観測されており、正しく運用することで企業文化を顧客志向・顧客起点に変え、顧客体験を変革を促し、企業の業績成長に貢献と言われています。

2.CSAT(顧客満足度)との違い

NPS® が注目されている大きな理由として「業績との相関が高い」ということが挙げられます。では、「なぜ顧客満足度ではダメなのか?」という声をよく耳にします。理由は顧客満足度調査で尺度となる「非常に満足/満足/どちらとも言えない/不満足/非常に不満足」という言葉は非常に曖昧であり、大きな不満がないと「満足」と回答する人が多いためです。そのため、「満足」と回答しても再購入行動や購買金額増加に連動しないことが明らかになっています。

NPS®では、「友人・知人に勧める可能性」を問いかけます。これは口コミの対象者である友人や知人を思い浮かべ、口コミしたあとの責任意識が発生させるためです。人に勧めるとなるとその商品(サービス)の世界に巻き込むことになるため、自分が本当に推奨できるものでないとおススメしないからです。

2-1.CSAT(顧客満足度)とは

CSAT(顧客満足度)とは、商品・サービスに対して顧客がどの程度、満足しているかを数値化したもので、測定方法は企業によってまちまちです。

顧客に対し、たとえば、「あなたは商品・サービスに満足しましたか?」といった質問を投げかけ、1~5、1~10などの点数で答えてもらい、平均や標準偏差などを取って顧客満足度の指標とします。

2-2.NPS(ネット・プロモーター・スコア)とCSAT(顧客満足度)の使い分け

NPS(ネット・プロモーター・スコア)とCSAT(顧客満足度)は、似ていますが、用途によって使い分けることができます。要は、「何を知りたいか?」によって用いるスコアを変えるということです。

たとえば、商品・サービスを改良した前後ではCSAT(顧客満足度)を用いることで、改良した点の顧客からの評価を測ることができますし、競合から新製品が発売された後で、自社の顧客がそちらに流れそうかどうかを把握したいときは、NPS(ネット・プロモーター・スコア)を用いる方が適しています。

3.NPS の計算・調査方法とは

まず、顧客に「あなたはこの商品・サービスをどの程度、友人や同僚に勧めますか?」という質問を投げかけ、0~10の11段階で答えてもらいます。非常にシンプルながら、自分の親しい人に対して勧めることができるかという聞き方をすることで、商品・サービスに対してシビアに評価を行ってもらえる質問です。

得た回答にによって、顧客を「推奨者」「中立者」「批判者」の3グループに分けていきます。

・推奨者:9、10の数値を答えた顧客。商品・サービスを愛用してくれ、周囲にも勧めてくれる層です。

・中立者:7、8の数値を答えた顧客。特に商品・サービスを周囲に勧めることもない代わりに、悪い口コミも広げませんが、何かのきっかけで競合の商品・サービスへ移りやすい層です。

・批判者:0~6の数値を答えた顧客。商品・サービスに対する悪い口コミを広げる可能性の高い層です。

そこから全体に占める「推奨者」「批判者」の割合を算出します。たとえば、100人中、9、10の数値を答えた顧客が20人だとすれば、20%という具合です。

そして「推奨者」割合から「批判者」の割合を差し引きます。

たとえば、100人中、9、10の数値を答えた顧客が20人、0~6の数値を答えた顧客が50人だとすれば、

20(%)‐50(%)=‐30(%)

という具合です。

4.NPS(ネット・プロモーター・スコア)の事例

NPSはとてもシンプルな指標ですが、この指標を活かして実際に顧客ロイヤルティを活用している事例をいくつかご紹介いたします。

4-1.多拠点クリニックの評価や新時評開発にNPSを活かす(美容系クリニック)

紙のアンケートで顧客満足度を調査していた美容系クリニックで、理念のひとつである「究極の三方良しを実現する」を叶えるため、従業員に負担をかけていたアンケートの依頼や集計作業を軽減することも視野に、ツールとともにNPSを導入。

導入後は、メールでアンケートを配信し、結果は自動集計されるように。NPS結果は、各院がツールにログインして確認でき、本部では成績の良かった院をモデル院として取り組みを横展開したり、表彰したりしています。

また、NPS値が下がっていたりアップダウンが激しかったりする院をマークするなどの対応を行ったり、施術別・医師別のNPS値を見てロイヤリティの高い治療を新事業に活かせるようになったそうです。

4-2.どう改善すべきかが明確になるように調査のタイミングを設定(インターネットセキュリティ製品メーカー)

NPSを取り入れてから3年が経過していた某インターネットセキュリティ製品メーカーでは、計測・集計を行い、現状把握はできるものの、その結果をどう活かせば良いかわからず、スコアが上がったり下がったりする原因もよくわからない点が課題でした。

そこで、年1回の調査のほか、新規登録開始直後のオンボーディング調査を実施。それぞれの結果を加味するほか、比較も行い、施策改善につなげるといいます。今後はさらに、ライセンス取得後の調査も加える予定だとか。

 「私たちが正解だと思う施策を、ユーザーは実際どう受けとめているか」という観点で調査を行うことで、改善すべきポイントが明確になったそうです。

4-3.NPSスコアが高いとチケットやグッズの売上も伸びる(野球球団)

試合結果が「負け」でも、また球場に来たいと思ってもらえるように勝敗以外の体験を向上したいと考えていた某野球球団では、球団ファンへ向けたサービスの改善のためにNPSを導入し、NPSスコアとチケットなどの売上との相関性がわかったといいます。

実施しているNPS調査は2種類で、一つはチケット購入者の一部を対象とした調査、もう一つがファンクラブ会員の全員を対象とした調査だそうで、試合ごとの小さな振り返りと、年間での大きな振り返りの二軸で運用されています。

5.まとめ

今回は NPS® をアンケートデータとして収集する意味や計算・調査方法について実際の画面と共にご紹介しました。

計算方法も簡単ですが、調査結果をうまく成果に結び付けるためには、継続して実施し、推移を見ることや、具体的にどのような施策を行って顧客満足を上げていくかを検討する部分で、工夫が必要になってきます。

ただし、日本人は中間の選択肢を選ぶ「回答中心化傾向」があり、数値そのものが低いことよりも、下がり続けたりアップダウンを繰り返すので注意してください。

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