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マーケティング担当者は、市場調査や競合分析、顧客ニーズの把握などさまざまな業務があります。それらの業務効率を改善して、成果の出る施策などに集中したいと考える方は多いでしょう。
そこで活用して欲しいのが「ECRS(イクルス)」です。今回はECRSについて、詳しく解説します。
ECRSとは
ECRSとは、業務改善のためのフレームワークで、Eliminate(排除)、Combine(結合)、Rearrange(交換)、Simplify(簡素化)の4つの原則からなります。
これらの原則に従って業務を見直すことで、無駄やムダを減らし、効率や生産性を向上させることができます。ECRSは、生産管理現場で発展した考え方ですが、さまざまな業種や部署に適用可能です。
ECRSの原則
ECRSの原則は、E→C→R→Sの順番で業務改善を検討・実施することを重視しています。それぞれの原則について説明します。
・Eliminate(排除)
まずは、必要性や目的がなく、単に慣習となっているだけの業務を見つけて排除すること
です。例えば、毎日の日報提出や毎週の会議などが該当します。
・Combine(結合)
次に、類似する業務や工程を一本化することです。例えば、複数箇所で行っていた検査や検品を一か所にまとめたり、メールによる個別連絡をビジネスチャットによるグループ連絡にしたりすることが該当します。
・Rearrange(交換)
続いて、作業順序や作業場所や担当者を入れ替えることです。例えば、最終工程のチェックを前工程に回したり、営業ルートについて順序変更したり、スキルセットや適性に応じて配置転換したりすることが該当します。
・Simplify(簡素化)
最後に、複雑な作業や業務プロセスを簡単にすることです。例えば、手作業で行っていた業務をAIやロボットで自動化したり、電子契約システムやワークフローシステムで決済フローを電子化・自動化したりすることが該当します。
以上の流れに従って進めることで、効果的な業務改善につながります。
ECRSを活用するメリット
ECRSを活用するメリットは、コスト削減や生産性向上だけでなく、コミュニケーションの活性化や属人化の防止などもあります。
・コスト削減
不要な業務やリソースを排除・結合・交換・簡素化することで、時間や人件費などのコストを削減できます。また、リソースを有効に活用できるようになります。
・生産性向上
業務の効率化や合理化により、アウトプットの質や量を向上させることができます。また、作業の簡素化により、誰でも同じ品質で作業できるようになります。
・コミュニケーションの活性化
業務改善のために部署間や社内外での情報共有や協力が必要になります。これにより、コミュニケーションが活性化し、アイデアの創出や認識齟齬の回避などにもつながります。
・属人化の防止
業務を簡素化することで、特定の従業員に依存することなく誰でも業務を遂行できる環境が整います。また、従業員の育成や教育も容易にすることが可能です。
以上のメリットを活かしてECRSを活用していきましょう。
ECRSの改善例
ECRSの改善例としては、以下のようなものが挙げられます。
・E(排除)
- 目的が曖昧な会議や定例会の頻度・参加人数を減らす、または廃止する。
- 慣習となっている報告書や帳簿作成、押印をやめる。
- 出張をweb会議に切り替えることで出張費を削減する。
・C(結合)
- 出席者が似た複数の会議を同時に行う。
- 少人数で実施していた会議の参加メンバーを増やし、情報伝達の手間を省く。
- 類似する業務を複数の部署の担当者が行っている場合、集約する。
- 共通する部分は1人の担当者が行い、異なる部分は各メンバーで分担する。
・R(交換)
- 紙帳簿や判子の承認をワークフローシステム(デジタル化)に置き換える。
- 営業のアポイントは、より効率的に訪問できる営業ルートを組み立てる。
- 業務の棚卸と業務フローの見直しを実施し、より効率的な仕組みに再構成する。
・S(簡素化)
- 繰り返し作成する資料や書類をテンプレート化し、都度作成にかかる時間を短縮する。
- 作業マニュアルを作成し、属人化防止や育成コストを削減する。
- 経費精算などのデータ入力を専用ソフトによって自動化する。
- メールはチャットツールに置き換えて他の業務でも活用する。
これらの事例は一例であり、実際には自社の業務内容や目的に応じて適切な改善方法を選択・実行していく必要があります。
ECRSを活用する注意点
ECRSの考え方を用いるとどうしても「無駄の削除」に思考が傾いてしまうことを理解すべきです。無駄を省くという考え方で業務を分析した後は、必ずその対になる「価値の創出」に焦点を当てると良いです。
業務改善に最適な施策を検討・導入していくには、ノウハウやフレームワークに偏り過ぎず、ビジネスの本質的な価値を念頭に置くことが大切です。
ECRSを使って分析を行うと、非常にたくさんの施策が浮かぶことがあります。効果が期待される施策をたくさん挙げられるのは良いですが、実行する負担やコストを鑑みると、導入できる施策数やかけられる予算は限られてきます。
また、分析を行う立場では有効だと思った施策も、現場で働く労働者にとっては見当違いな施策だと見なされる場合もあります。したがって、検討した施策のうちどれを導入すべきか、シビアに見極めるべきです。施策の効果を評価する際は、必ず現場担当者の視点を盛り込んで検討するようにしましょう。
ECRSの改善活動は一度ではなく継続的に行うことが重要です。業務環境や市場状況は常に変化しています。一度改善したからといって安心せず、定期的に業務プロセスや成果を見直し、改善の余地がないかチェックすることが必要です。改善活動をより長期的な目線で計画し、その中でECRSの概念を活用してみてください。
ECRSを活用して業務を改善
ECRSは業務改善のための有効なフレームワークですが、それだけでは十分ではありません。自社のビジネスモデルや状況に合わせて柔軟に対応し、業務の価値や成果を高めることができるように努めましょう。
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