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2026年7月13日、Xが返信欄(リプライ欄)の表示アルゴリズムを調整したと発表した。相互フォロー関係にあるユーザーの投稿・返信を、リプライ欄でより優先的に表示するというものだ。発表したのはX製品責任者のニキータ・ビア(Nikita Bier)氏で、自身のXアカウントで「相互フォローの人の投稿がもっと見えるように小さな調整を展開している」と説明している。
この変更は「Xアルゴリズムの全面刷新」のような大きな話ではない。対象は返信欄という限定された表示面であり、変更点も「相互フォローという関係性データを表示順位の計算に加えた」という一点に絞られている。しかし、企業アカウントの運用現場にとっては無視できない影響がある。本記事では、発表内容の一次情報を確認したうえで、返信欄の表示順が具体的にどう変わったのか、運用担当者は何を見直すべきかを整理する。
何が変わったのか:一次情報で確認する
ビア氏の投稿(2026年7月13日、X上)を要約すると次のとおりだ。
We’re rolling out a small tweak to boost visibility of your posts to your mutuals (people who you follow back). We noticed this data was missing from the algo and it made your friends appear less in your replies. This resulted in the reply section feeling more like a battleground with strangers.
日本語に訳すと「相互フォロー(フォローバックしている相手)に対して、あなたの投稿の表示をより多くするための小さな調整を展開している。このデータがアルゴリズムから欠落していたため、友人がリプライに出てきにくくなっていた。その結果、リプライ欄は見ず知らずのアカウント同士がぶつかり合うような場になっていた」という内容になる。
ポイントは「相互フォロー」という関係性データが、これまで表示順位の計算ロジックに組み込まれていなかったという点だ。Xはフォロー関係そのものよりもエンゲージメント量(いいね・返信数・拡散数など)を重視する設計を続けてきたが、今回はそこに「本人同士が選び合った関係」という軸を追加した形になる。この動きはTechCrunchやSocial Media Todayなど海外メディアも報じており、Threads(Meta)との競合を背景に、対立的な空気になりがちな返信欄を協調的なコミュニティの場に近づける狙いがあるとされている。
返信欄の表示順は具体的にどう変わったか
今回の調整が影響するのは、投稿本体のタイムライン表示ではなく「ある投稿にぶら下がる返信の並び順」である。従来は次のような要因で返信の表示順位が決まっていたとされる。
- 返信自体へのいいね・リポスト数
- 返信者アカウントの過去のエンゲージメント傾向
- スパム・低品質判定の有無
- 会話への参加度(フォロー関係は明示的な加点要素ではなかった)
変更後は、この計算に「投稿者と返信者が相互フォロー関係にあるか」という要素が加わる。同じいいね数の返信であっても、見知らぬアカウントより相互フォロー関係にあるアカウントの返信の方が上位に表示されやすくなる、というのが今回の調整の骨子だ。ただし、Xは具体的な重み付けの数値(スコアへの加点幅)までは公表していない。どの程度の順位変動が起きるかは、今後の実際の表示状況を継続的に観察する必要がある。

タイムラインのアルゴリズム解説との違い
今回の変更を理解するうえで混同しやすいのが、タイムライン(For You)のアルゴリズムとの違いだ。2026年前半に公開されたXのアルゴリズム解説(GitHub公開のHeavy Rankerによるスコアリング、投稿後の初速評価、滞在時間の重視など)は、あくまで「タイムライン(For You)に表示される投稿の選定ロジック」を扱うものだった。いいね・リプライ・会話・報告といった行動指標に重みをつけ、フォロワー数に依存しない露出を実現する仕組みが解説の中心になっている。
これに対して今回のニキータ・ビア氏の発表は、対象がタイムラインではなく「個別の投稿に付いた返信の並び順」に絞られている。評価対象になる指標も、エンゲージメント量ではなく「フォロー関係が双方向かどうか」という一点だ。したがって両者は同じ「Xのアルゴリズム」という括りに入るものの、扱う仕組みも実務上の対応も別物であり、切り分けて理解しておく必要がある。
なぜこのタイミングでの変更なのか
今回の調整の背景には、大きく2つの狙いがあるとみられる。ひとつは、返信欄を「対立的な場」から「協調的なコミュニティ」に近づけること。もうひとつは、共通の関心を持つユーザー同士が自然にクラスタ(集団)を形成しやすくすることだ。ビア氏自身も、この調整によって「多くの人が求めていた興味関心ごとのつながりが生まれやすくなる」と述べている。
背景として指摘されているのが、Threadsとの競争だ。エンゲージメントを最大化するために見知らぬユーザーの投稿を積極的に混ぜ込んできた従来のロジックが、かえって「居心地の悪さ」を生み、ユーザー離れの一因になっていたのではないかという見方がある。Xが2026年に入ってからコミュニティノート対応の強化やスパムアカウント対策など、プラットフォームの「安心感」を高める施策を続けてきた流れとも一致する。
企業アカウント運用者への影響:4つの実務対応
ここからは企業のSNS運用担当者が押さえておくべき実務ポイントを整理する。個人ユーザー向けの解説記事では触れられていない、運用上の具体的な打ち手にフォーカスする。
1. フォローバック方針を「後回し」にしない
企業アカウントの多くは、フォロワーへのフォローバックを個別対応せず放置しているケースが多い。しかし今回の変更により、フォローバックの有無がリプライの可視性に直結するようになった。キャンペーンなどで獲得したフォロワーのうち、継続的にコメントをくれる「常連ユーザー」を洗い出し、優先的にフォローバックする運用ルールを設けることが、返信の露出改善に直接つながる。フォロー数だけを追う運用から、実際に対話が続いている相手を可視化する運用への切り替えが必要になる。
2. リプライ対応の優先順位を「関係性」で組み直す
これまでの運用では「いいねが多いコメントに返信する」「怒っているコメントを優先的にケアする」といった対応順が一般的だった。相互フォローが評価軸に加わったことで、企業アカウントからの返信自体も、相互フォロー関係にあるユーザーの目に触れやすくなる。既存の熱心なファン(相互フォロー関係にあるユーザー)への丁寧な返信を増やすことが、コミュニティ全体の会話の可視性を底上げする施策として機能しやすくなった。
3. フォロー数の「量産」施策には要注意
相互フォローが増えるほどリーチや返信の露出が伸びやすい仕組みである以上、無差別なフォロー・フォローバックを増やそうとするアカウントが今後増えることが予想される。実際、変更発表後の反応としてこうした懸念の声も上がっている。ただし、Xの利用規約では機械的な大量フォロー・アンフォローの繰り返しはスパム行為とみなされる可能性があり、凍結・制限のリスクを伴う。企業アカウントとしては、フォロワー数や相互フォロー数を無理に水増しするのではなく、実際に対話が生まれる相手との関係を地道に増やす方針が安全だ。フォロワーやエンゲージメントの水増しが招くリスクについては、インプレゾンビの問題を扱った記事でも解説しているので合わせて確認しておきたい。
4. 効果測定の指標を見直す
従来、企業アカウントの運用KPIは「フォロワー数」「いいね数」「インプレッション数」が中心だった。今回の変更を踏まえると、これに加えて「相互フォロー関係にあるユーザーとの会話数」「リプライへの返信率」といった、関係性の深さを示す指標を継続的にモニタリングする価値が出てきた。相互フォロー数そのものをダッシュボードで追える体制を整え、月次でフォロワー数の増減だけでなく相互フォロー化率も確認する運用にシフトすることをすすめたい。
今日から始められる3ステップ
体制を大きく変えなくても着手できる対応を、優先度順に3つ挙げる。
ステップ1:直近3か月のリプライを棚卸しする
過去の投稿に付いた返信を遡り、繰り返しコメントをくれているアカウントを一覧化する。フォロー状況を確認し、フォローしていない相手がいれば、内容を確認したうえでフォローバックを検討する。件数が多い場合は、直近の反応が良かった投稿から優先的に確認するだけでも十分に効果がある。
ステップ2:返信の一次対応者を決めておく
相互フォロー関係にあるユーザーからの返信は、企業アカウントからの返信自体も見えやすくなる。誰が・どのタイミングで返信するかのルールを簡単に決めておくと、担当者の不在時にも対応が滞りにくい。すべてのコメントに反応する必要はなく、常連ユーザーへの返信を優先するだけでも会話の可視性は変わってくる。
ステップ3:月次でフォロー関係の推移を記録する
フォロワー数とあわせて、相互フォロー数(またはその概算)を月次で記録しておく。X公式のアナリティクスでは相互フォロー数そのものは表示されないため、フォロー中リストとフォロワーリストを定期的に突き合わせるか、外部の運用支援ツールを使って把握する運用が現実的だ。数値化しておくことで、今回のような仕様変更があった際にも、施策の効果を後から検証しやすくなる。
変更前後の違い(整理表)
| 項目 | 変更前 | 変更後(2026年7月13日〜) |
|---|---|---|
| 返信の表示順位の主な決定要因 | 返信へのいいね・リポスト数、返信者の過去のエンゲージメント傾向 | 上記に加え、投稿者との相互フォロー関係の有無 |
| 見知らぬユーザーの返信 | エンゲージメントが高ければ上位表示されやすい | 同条件なら相互フォロー関係にあるユーザーの返信が優先されやすい |
| フォロワーとの関係の重要度 | フォロー関係は明示的な加点要素ではなかった | 双方向のフォロー関係が新たな評価軸として追加 |
| 企業アカウントが意識すべき点 | 返信内容自体のエンゲージメント獲得 | フォロワーとの相互フォロー化・継続的な対話の構築 |
今後の注視点
Xは今回、具体的な重み付けの数値を公表していない。そのため、実際にどの程度返信の並び順が変わるのかは、ユーザー側の体感報告や今後の追加発表を継続的に確認する必要がある。また、相互フォローを意図的に増やす行為がスパム判定の対象になるかどうかも、現時点で明確なガイドラインは出ていない。企業アカウントとしては、極端な施策に飛びつくのではなく、通常運用の延長線上でフォロワーとの関係を丁寧に積み上げる姿勢が引き続き有効だろう。
なお、Xは2026年に入ってからもコミュニティノートの運用強化やリポスト機能の見直しなど、プラットフォームの信頼性・コミュニティ性を高める方向の変更を続けている。こうした一連の流れの中に今回の返信欄調整も位置づけて捉えておくと、今後の追加アップデートにも対応しやすくなる。
まとめ
Xは2026年7月13日、返信欄の表示アルゴリズムに「相互フォロー」という関係性データを新たに加える調整を行った。見知らぬユーザーばかりが並んでいた返信欄が、知り合いや常連ファンとの会話の場に近づいていく可能性がある一方、具体的な重み付けは非公開のため、体感の変化には個人差があるとみられる。企業アカウントの運用担当者は、フォロワー数やエンゲージメント量だけでなく、フォロワーとの相互フォロー関係の構築・維持を新たな運用指標として意識しておきたい。
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