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SNSが企業と個人をつなぐ対話の場として重要性を増すなかで、広報担当者を悩ませるのが公式アカウントの運用です。単なる情報発信ではつまらないと思われがちですし、どんな運用が効果的か判断しかねるでしょう。
そこで、方法のひとつとして「中の人」運用を解説します。効果的に企業アカウントを運用したい場合は、ぜひ参考にしてください。
「中の人」運用とは？
最近、SNS上で企業の公式アカウントで個性的な発信が目立っています。これは「中の人」運用と呼ばれる施策の結果です。
SNSが対話の場となっている今、企業アカウントも情報発信ではなくコミュニケーションツールとして機能させることが重要になっています。
具体的には、企業アカウントに「中の人」というキャラクターを演出します。アカウントの投稿の口調やスタイルを統一して、個性的な印象を持たせるのです。
投稿内容自体にも「中の人」の個性や感情が表れるように工夫しているのです。もちろん、運用担当者自身の個性を出すこともあります。
つまり、企業アカウントを単なる情報配信のツールから、フォロワーとの対話を生み出すコミュニケーションツールへと進化させることが「中の人」運用なのです。
「中の人」運用のメリット
「中の人」運用のメリットを4点に絞って解説します。
ブランディングにつながる
「中の人」運用のメリットの1つ目は、他の企業アカウントとの差別化です。
SNS上で企業が運用するアカウントというと、製品やサービスの案内ばかりで個性がないイメージがあります。ユーザーから見ると、そうしたアカウントは見分けがつきにくく、わざわざフォローしたくなる魅力がありません。
しかし、「中の人」を演出することで、アカウントの個性が際立ちます。「中の人」の人柄が投稿から感じ取れれば、ユーザーはその魅力に引かれてフォローするでしょう。自社アカウントだけでなく、業界内の他社とも差別化できます。
つまり「中の人」運用でアカウントを個性的にすることが、注目度とフォロワー獲得につながる大きなメリットなのです。他社と同じようなつまらないアカウントで終わるより、「中の人」を前面に出したほうが圧倒的に良いでしょう。
効率的な運用ができる
「中の人」運用の2つ目のメリットは、運用担当者が変わっても効率的な運用ができることです。通常、企業のSNSアカウントを運用していた担当者が変わると、フォロワーからはマイナスの反応が来ます。
しかし「中の人」キャラが定着していれば状況は異なります。あらかじめ設定された「中の人」像と投稿スタイルを引き継ぐことで、新しい担当者でも受け入れてもらえるのです。
その際に大切なのが、複数の「中の人」がいることを公表する点です。運用担当者が入れ替わっても、フォロワーにとっての「中の人」像が変わらないようにすることがポイントになります。
自社製品へのタッチポイントが増える
「中の人」運用の3つ目のメリットは、「中の人」というキャラクターにファンがつきやすくなることです。
広報SNSを運用する大きな目的は、製品やサービスの認知度と購買意欲を高めること。そのためには、単に情報を配信するのではなく、ユーザーとの交流が不可欠です。
そこで「中の人」をアピールポイントにするのです。「中の人」の人柄や投稿スタイルに共感したフォロワーが、自然とファンになっていきます。
そうなれば、出てくる情報や製品にも関心が移っていくはず。つまり、「中の人」への想いが、最終的には企業や製品への愛着につながるのです。
これが、「中の人」を育てることの大きなメリットだと言えるでしょう。タッチポイントの拡大とブランド力の向上が見込める施策となります。
リアルタイム投稿ができる
X（旧Twitter）の大きな魅力は、リアルタイム性にあります。瞬時に話題の出来事を拡散できるスピード感は他のSNSにはない武器です。
その特長を活かした運用が、「中の人」像を際立たせるといえます。トレンドの話題に反応したり、フォロワーとのやり取りを即座に行ったり。そこに作為的な投稿とは違う「生」の迫力が生まれます。
つまり、X（旧Twitter）の特性上、「中の人」がリアルタイムに活躍するイメージが立ちやすいということです。瞬時に話題投稿や会話を交わすことで、アカウントがより身近に感じられます。その親しみやすさが新規フォロワー獲得につながっていきます。
「中の人」運用で成果を出している事例
「中の人」運用を実施している企業アカウントから成功事例を3つに絞ってご紹介します。
シャープ
SHARPのTwitterアカウントは、フォロワー数80万人超の大人気企業アカウントです。製品情報の発信にとどまらず、フォロワーとの交流を大切にした運用が魅力です。
リプライに丁寧に答えたり、他社へのオチ抜きなやり取りを見せたり。そこから垣間見える運用担当者の人柄に好感がもてるでしょう。作戦的なプロモーションというより、日常会話を楽しむ普通の人っぽさが感じられる点も特徴です。
井村屋
井村屋のも20万人のフォロワーを獲得した人気アカウントです。和菓子を中心に扱う同社ですが、アカウント運用は親しみやすさが売りです。「中の人」と他部署の人たちとの掛け合いが楽しめます。
「すまん」の開発プロセスをリアルタイムで伝えた例が印象的です。X（旧Twitter）での要望をきっかけに誕生した新商品ですが、フォロワーを開発の早期段階から巻き込んだ運用が功を奏しました。
試作品の画像を出しつつ、コメントを投げかけることで、フォロワーの期待感と一体感が高まりました。発売時には開発の裏側を知ることができたという達成感も手伝って、大いに盛り上がったのです。
新商品開発の際はぜひ参考にしたい、「中の人」とフォロワーの絆を強化するモデルケースといえるでしょう。
タニタ
タニタのX（旧Twitter）アカウントは、フォロワー30万人超の大型アカウントです。身近な健康器具を扱う企業らしく、親しみやすさが売りの運用ぶりです。
ユーザーとのやり取りを大切にし、製品の宣伝も上手く織り交ぜる投稿が魅力。簡潔で共感を呼びやすい書き方が好印象を与えます。
気負わずに運用している感じが「中の人」の人柄を際立たせているといえるでしょう。日常的に使われる商品を扱う企業にとって、人の温もりを前面に出した運用は欠かせません。
「中の人」運用に取り組もう
「中の人」運用は、SNS時代に対応した企業アカウント運用法です。アカウントに「中の人」というキャラクターを演出することで、個性と魅力を高めていく施策です。本記事では、その概要からメリット、成功事例まで具体的に解説しました。
シャープや井村屋などの事例が示すように、「中の人」運用は差別化とブランド力の強化に大いに貢献します。SNSでの対話を大切にしたい企業は、ぜひ本記事を参考に、「中の人」運用に取り組んでみてください。
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