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Twitchは2026年8月12日(米国時間、日本時間13日)、アカウント設定に「生成AIのトレーニング」という新しい項目を追加しました。この設定によって初めて、配信・VOD(アーカイブ)・クリップ・チャットなどのチャンネルコンテンツが、親会社であるAmazonの生成AIモデルの学習に使われていること、そしてこの利用が事前の告知なしに全アカウントで「オン」の状態から始まっていたことが明らかになりました。

設定変更に気づいたストリーミング系ライターのZach Bussey氏がスクリーンショットをSNSに投稿したことをきっかけに、この件は同日中に大きな話題となり、Twitchのコミュニティフォーラムには1万6000人を超えるクリエイターが抗議の声を寄せる事態に発展しました。本記事では、公式発表と海外メディアの報道をもとに、何が起きたのか、どの範囲のコンテンツが対象になるのか、そして配信者・企業アカウント運用者が今すぐ確認すべきオプトアウトの手順を整理します。

Twitchで何が起きたのか:新設定「生成AIのトレーニング」の全容

Twitchの公式サポートアカウントは2026年8月12日、X(旧Twitter)で「チャンネルのコンテンツが、Amazon全体の生成AIコンテンツモデルの学習に使われることをオプトアウトできる設定を追加しました」と投稿し、あわせてヘルプページ(help.twitch.tv/s/article/generative-ai-training)へのリンクを公開しました。

問題視されているのは、この設定が「オプトイン」ではなく「オプトアウト」方式である点です。告知を確認して自分で無効化しない限り、コンテンツはすでにAmazonのAIモデル学習の対象になっているということになります。設定項目自体が公開されるまで、この利用を止める手段はストリーマー側になく、いつからこの学習利用が実際に始まっていたのかについても、Twitchは明確な回答を示していません。メールでの通知やアプリ内のポップアップも一切なく、変更に気づかなかったストリーマーが大半だったとみられます。

学習データとして使われるコンテンツの範囲

Twitchのヘルプページによると、オプトアウトしていないチャンネルについては、以下のコンテンツがAmazonの生成AIモデルの学習対象になります。

  • 生配信(ライブストリームそのもの)
  • VOD(配信のアーカイブ動画)
  • クリップ
  • 配信中のチャットログ
  • チャンネルページに掲載されているテキストや画像

配信中の音声データは、音声のテキスト化モデルの精度向上にも活用されるとみられています。なお、この設定はチャンネル単位で適用される点に注意が必要です。自分がオプトアウトしていても、他人の配信でコメントしたチャットについては、そのチャンネルの持ち主側の設定が優先されます。逆に、自分のチャンネルに来た視聴者のチャットは、自分がオプトアウトすれば学習対象から外れます。「自分のアカウントを守れば自分の発言すべてが守られる」わけではない、という点は見落とされがちです。

TwitchでAmazonのAI学習に使われるコンテンツの範囲を早見表として整理した図解
どのコンテンツがAI学習の対象になるかの早見表。自分のアカウント設定だけでは守れない範囲がある。

なぜここまで反発が広がっているのか

設定公開後、Twitchのコミュニティフォーラムには1万6000人以上のクリエイターが反対の声を投稿し、批判が急速に広がりました。Twitchのコミュニティ責任者であるメアリー・キッシュ氏は、この変更が否定的な反応を招くことを社内で想定していたことを認めています。

さらにTwitchのプロダクト責任者マイク・ミントン氏は、この件について問われた配信の中で「これがオプトインだったら、誰も参加しなかっただろう。それが正直な答えだ」と発言したと、Forbesなど複数の海外メディアが報じています。ミントン氏は、この仕組みがTwitchに固有のものではなく、他の企業も公開されているコンテンツをAIモデルの学習に利用している可能性が高いという見方も示したとされていますが、具体的にどの企業が対象かについては言及していません。

背景には、2024年3月に改定されたTwitchの利用規約があります。ここではユーザーが投稿したコンテンツについて、Twitchおよびそのサブライセンシー(実質的にAmazonを含む)に対し、利用・複製・改変・頒布・二次的著作物の作成などの権利を許諾する条項がすでに盛り込まれていました。しかし、この規約文言には「生成AIモデルの学習に利用する」という用途は明記されておらず、今回の設定追加によって、初めてその具体的な用途が明示された形です。ユーザーが規約改定時に想定していた利用範囲と、実際の利用実態にギャップがあったことが、今回の反発の根底にあります。

他のプラットフォームと比べてどうか

生成AIの学習データとして自社プラットフォームのコンテンツを既定で利用する動きは、Twitchに限った話ではありません。LinkedInも自社の生成AI機能について、ユーザーデータの学習利用をデフォルトで有効にしたうえでオプトアウト方式を採用しており、海外メディアから同様の批判を受けています。一方でTikTok LIVEについては、AIが自己紹介文を自動生成する新機能が話題になったものの、公式な発表がないまま報道が先行している状態で、学習データの扱いに関する説明はまだ確認できていません。各SNSのAI活用と表示優遇・制限の動きについては、各SNSにおけるAI生成コンテンツの表示優遇や制限の最新動向でも整理しているので、あわせて確認しておくと全体像がつかみやすくなります。

共通しているのは、いずれのケースも「学習利用そのものの是非」よりも「デフォルトの設計」が批判の中心になっている点です。ユーザーに選択の余地を残しつつも、実質的には多くの人が気づかないまま同意させられる設計になっている点が、規制当局やメディアから繰り返し指摘されています。

【手順】今すぐできるTwitchのAIオプトアウト設定

デフォルトでオンになっている「生成AIのトレーニング」を無効化する手順は次の通りです。ウェブ版・モバイルアプリのどちらか一方で設定すれば反映されるため、両方で操作する必要はありません。

PC・ブラウザの場合

  1. Twitchにログインし、画面右上の自分のアイコンをクリック
  2. 表示されたメニューから「設定」を選択
  3. 左側メニューの「セキュリティとプライバシー」を開く
  4. ページを下にスクロールし、「生成AIのトレーニング(Training for Generative AI)」の項目を探す
  5. トグルスイッチをクリックしてオフにする

モバイルアプリの場合

  1. プロフィールアイコンをタップ
  2. 「設定」→「セキュリティとプライバシー」の順に進む
  3. 「生成AIのトレーニング」のトグルをオフにする

設定変更はチャンネル単位で即座に反映されます。複数人でチャンネルを共同運用している場合、この設定を変更できるのはアカウント所有者のみです。共同管理者やモデレーターには変更権限がないため、誰がオーナー権限を持っているかを事前に確認しておく必要があります。

オプトアウトしても止まらないAI活用がある点に注意

この設定をオフにしても、Twitchのプライバシー通知に基づく他のAI活用まで止まるわけではありません。Twitchのヘルプページには、オプトアウト後も以下のような機能は引き続き稼働すると明記されています。

  • スポンサーシップキャンペーンのマッチングを支援するAI機能
  • 視聴者にチャンネルをおすすめするレコメンド(発見)機能
  • AutoModなどのコミュニティ安全・モデレーションツール

つまり、今回オプトアウトできるのはあくまで「Amazonの生成AIコンテンツモデルの学習」という用途に限られ、Twitch上で稼働するAI機能全般を無効化するものではありません。この違いを理解せずに「AIを全部止めた」と思い込むと、後から想定と異なる挙動に気づくことになりかねないため、ヘルプページの記載を一度自分の目で確認しておくことを勧めます。また、オプトアウト以前にすでに学習に利用されたデータが、事後的に削除・破棄されるのかどうかについては、2026年8月25日時点でTwitchから明確な説明が確認できていません。

企業アカウント運用者が特に確認すべき3つのポイント

個人ストリーマーだけでなく、ブランドチャンネルやゲームタイトルのプロモーションでTwitchを運用している企業アカウント担当者にとっても、今回の件は無視できない話です。配信ツール周りの機能追加を追いかけるのと同じ感覚で、以下の3点は優先して確認してください。

1. 契約している配信者・VTuber事務所側の設定状況を確認する
タイアップ配信やスポンサード配信を実施している場合、自社が用意した配信素材(アーカイブ映像やクリップ)が、意図せずAmazonのAI学習データになっている可能性があります。自社が運用するチャンネルだけでなく、契約先の配信者・事務所側のチャンネル設定についても、AI学習利用に関する認識をすり合わせておく必要があります。契約書にコンテンツの二次利用範囲を定めている場合は、今回の学習利用がその範囲に含まれるかどうかも法務部門と確認しておくべきでしょう。

2. 配信内で使用する自社アセットの著作権・ブランドリスクを整理する
ロゴ、商品カット、ノベルティのビジュアルなど、配信画面に映り込む自社アセットも「チャンネルページのテキストや画像」「クリップ」として学習対象に含まれる可能性があります。未発表の商品やキャンペーン素材を配信内で映した場合、それが生成AIの学習データとして外部に取り込まれるリスクがある点は、ブランドガイドラインの観点から社内共有しておくと安心です。

3. 設定変更の権限を持つ担当者を明確にしておく
「生成AIのトレーニング」の切り替えはアカウント所有者のみが行えます。複数人でチャンネルを運用している企業の場合、誰がこの設定にアクセスできるのかを事前に整理し、変更履歴を残せる体制にしておくことをおすすめします。担当者の異動や退職でオーナー権限の所在が曖昧になっているケースは珍しくないため、この機会にアカウント管理体制そのものを棚卸ししておくとよいでしょう。

よくある質問

Q. オプトアウトすると、過去に学習済みのデータも削除されますか。
A. 2026年8月25日時点で、Twitchから遡及的な削除に関する明確な説明は確認できていません。オプトアウトは「今後の利用を止める」設定である可能性が高く、確定的な情報が出た場合は本記事も更新します。

Q. チャンネルを複数人で運用している場合、誰でもオプトアウトできますか。
A. 設定変更が行えるのはアカウント所有者のみです。共同管理者やモデレーターのアカウントからは変更できません。

Q. 過去の配信アーカイブを削除すれば、学習対象から外せますか。
A. ヘルプページ上ではその点への明言はありません。学習利用の停止は設定のオン・オフによって制御される仕組みであり、既存アーカイブの削除が学習データの取り扱いにどう影響するかは、Twitchからの追加説明を待つ必要があります。

まとめ

Twitchの「生成AIのトレーニング」設定は、操作自体は数クリックで完了するシンプルなものです。しかし、事前の告知なしにデフォルトオンの状態で始まっていたという経緯が、配信者コミュニティの強い不信感を招きました。個人配信者はもちろん、タイアップ配信や自社チャンネルでTwitchを活用する企業アカウント運用者も、まずは自分たちのチャンネル設定を確認し、必要であれば速やかにオプトアウトすることをおすすめします。あわせて、契約先の配信者側の設定状況や、社内のアカウント管理体制も、この機会に見直しておくとよいでしょう。

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