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総付景品、オープン懸賞、不当景品…展示会などの販売促進キャンペーンやイベントで景品・ノベルティを扱うとき、知っておきたい法律の基礎知識です。

提供する側が気をつけるポイントを、わかりやすくまとめました!

1.景品表示法とは

「景品表示法」とは、商品・サービスの広告や景品について規制する法律です。

具体的には、商品の性能、サービス内容、金額、景品の有無などは、消費者が商品やサービスを選ぶときに必要な情報であり、その表示や景品の価額などが規制されています。

1-1.景品表示法はなぜあるのか

企業(事業者)は、売上げや認知度を向上させるために、できるだけ広告やパッケージなどを良く見せて、自社の商品やサービスを消費者にアピールしようと考えるのが通常でしょう。また、おまけ(景品)を付けることで、商品やサービスを魅力的に見せようとすることもあります。

その一方で、「広告」は、消費者が商品やサービスを選ぶ際の一つの基準ともなるものです。

ここで、事業者が、商品やサービスをよりよく見せるために、虚偽の広告や誇大広告を打ったり、また、豪華すぎる景品をつけて販売したりすると、広告を見た消費者に一定の誤認を与え、その誤認に基づき、商品やサービスを選んでしまうといった不利益を消費者に及ぼす可能性があります。

景品表示法は、消費者が自ら適切に商品やサービスを選ぶことができるように、広告や景品類について、さまざまなルールを定めた法律なのです。

1-2.景品表示法に注意しなければいけない事業者とは

事業内容を問わず、広告などを打ち出す事業者は多いと考えられますが、特に、景表法に注意しなければならないのは、商品・サービスを提供する事業者です。

もっとも、ここでいう「商品・サービスを提供する事業」とは、事業の規模や商品・サービスの内容などにかかわらず、商品・サービスを提供する事業すべてを指します

景品表示法が規制しているのは、大きく分けると以下の2つになります。

  1. 表示規制(不当表示の禁止)
  2. 景品規制(景品類の制限および禁止)

2.表示規制(不当表示の禁止)

「表示規制」とは、事業者が提供する商品・サービスの内容などに関する広告や表示を対象としたルールのことをいいます。

広告や表示としては、たとえば、

  • 商品のパッケージやラベル
  • 店内のディスプレイ、パンフレット、チラシ、説明書
  • 新聞広告や雑誌広告
  • インターネット広告、テレビ・ラジオCM
  • セールストーク

などがあります。

事業者が、パッケージや広告などで提供する商品・サービスについての情報は、消費者がそれらを選択するための重要な判断材料となります。

もっとも、パッケージや広告などにおいて、商品・サービスの品質や価格などが実際のものよりもずっと優良(または有利)であるような表示がされていると、消費者はその表示に惑わされてしまって適正な選択ができなくなってしまいます。

そのため、景品表示法は、以下の2つを「不当表示」として禁止しています。

  1. 優良誤認表示
  2. 有利誤認表示
  3. その他一般消費者に誤認されるおそれがある表示

2-1.優良誤認表示

「優良誤認表示」とは、事業者が商品・サービスの品質・規格などについて、

  1. 実際のものよりも著しく優良であると示すもの
  2. 事実ではないのにライバル社のものよりも著しく優良であると示すもの

であって、消費者に誤認を与えるおそれのある表示のことをいいます。

このように、自社の商品などが、実際のものよりも優れていると偽って宣伝したり、事実に反してライバル社のものよりも優れているかのように偽って宣伝する行為が「優良誤認表示」にあたります。

わざと偽って表示した場合はもちろんのこと、誤って表示してしまった場合であっても「優良誤認表示」として規制されます。

例えば、

  • ウール50%程度のセーターを、「ウール100%」と表示した場合
  • 「この技術を用いた商品は日本で当社のものだけ」と表示していたが、実際には他社でも同じ技術を用いた商品を販売していた場合

などが「優良誤認表示」にあたります。

2-2.有利誤認表示

「有利誤認表示」とは、事業者が商品・サービスの価格や取引条件などについて、

  1. 実際のものよりも著しく有利であると示すもの
  2. ライバル社のものよりも著しく有利であると示すもの

であって、消費者に誤認を与えるおそれのある表示のことをいいます。

具体的には、実際には全ての客において同じ料金なのに、一部の客だけ安くなると偽って宣伝したり、ライバル社のものよりもすごく安いかのように偽って宣伝する行為が「有利誤認表示」にあたります。

わざと偽って表示した場合はもちろんのこと、誤って表示してしまった場合であっても「有利誤認表示」として規制されることになるのは、「優良誤認表示」の場合と同じです。

例えば、

  • 「当選者100名様にのみ割安料金で販売」と表示していたが、実際には応募者全員を当選者として同じ料金で販売していた
  • 「他社商品の1.5倍の内容量で同じお値段」と表示していたが、実際には他社と同程度の内容量だった

などが「有利誤認表示」にあたります。

2-3.その他一般消費者に誤認されるおそれがある表示

その他にも、一般消費者に誤認されるおそれがある表示として、次の6つの表示が内閣総理大臣により「不当表示」として指定されています。

  1. 無果汁の清涼飲料水等についての表示
  2. 商品の原産国に関する不当な表示
  3. 消費者信用の融資費用に関する不当な表示
  4. 不動産のおとり広告に関する表示
  5. おとり広告についての表示
  6. 有料老人ホームに関する不当な表示

①無果汁の清涼飲料水等についての表示

ジュースなどの清涼飲料水が無果汁であるのに、そのことを表示せずに、以下のような表示をすることは、不当表示になります。

  • 果実の名前が入った商品名を容器に表示すること
  • 果実の絵・写真・図案などを容器に表示すること
  • 果汁や果肉などに似た着色、着香、味付けであると容器に表示すること

また、果汁が使われていても、ほんのわずかな量(5%未満)であるときも、その割合を明らかにすることなく上記の表示をすると、同じように不当表示になります。

②商品の原産国に関する不当な表示

原産国についての情報は、商品を選ぶうえで重要な付加価値を持ちます。「国産だから安心」、「フランスでデザイン・製造された商品を買いたい」など、原産国を重視して商品を選ぶ場合も多いのではないでしょうか。

商品の原産国に関する表示についても、消費者において原産国を識別できないような表示は不当表示として、禁止されています。

例えば、日本国内で生産されたものを海外で生産されたかのように見せる表示や、逆に海外で生産されたものを日本国内や原産国ではない国で生産されたかのように見せる表示をした場合、これは不当表示となります。

具体的には、以下のような表示は、消費者においてその商品の原産国が認識が困難であるため、不当表示になります。

ⅰ)国内で生産された商品の場合

外国の国名、地名、国旗、紋章などの表示

外国の事業者、デザイナーなどの名前の表示

文字の表示の主要部分を外国の文字で表示

ⅱ)海外で生産された商品の場合

原産国以外の国名、地名、国旗、紋章などの表示

原産国以外の国の事業者やデザイナーの名前の表示

文字の表示の主要部分を日本語で表示

ここでいう「原産国」とは、例えば、衣料品であれば縫製をした国が、腕時計であれば原則としてムーブメントの組み立てをした国が原産国となります。

③消費者信用の融資費用に関する不当な表示

「消費者信用」とは、消費者の収入や支払能力などに基づく「信用」により貸付を行うサービスのことです。

例えば、クレジットカードのショッピング(販売信用)やキャッシング(消費者金融)などがこれにあたります。

キャッシングを例に見てみましょう。消費者がキャッシングする場合、元金と併せて利息を返済する必要があります。その際、事業者は、「実質年率」(元金に諸費用を加えた額を基準として算出された利息のこと)をわかりやすく表示しなければなりません。実質年率を表示しないまま、以下の表示をしてしまうと、「不当表示」にあたります。

  • アドオン方式による利息その他の融資費用の率の表示
  • 「年利〇〇%」以外の日歩や月利による利息その他の融資費用の率の表示
  • 融資費用の額の表示
  • 返済事例による融資費用の表示
  • 融資費用の一部について「年利〇〇%」と表示

このような表示は実質年率よりも小さく見えたり、比較を難しくさせ、消費者の誤認を招きやすいため、「不当表示」になります。

④不動産のおとり広告に関する表示

「おとり広告」とは、その名のとおり、客を誘い込むための架空の広告をいいます。実際には入居者を募集していないなど実際に取引できない魅力的な物件の広告を出して、応募してきた客に対して別の物件を案内するという悪質なもので、このような「おとり広告」は、不当表示として禁止されています。具体的には、以下の表示が不当表示にあたります。

  • 存在しない不動産についての表示
  • 不動産は存在するが取引できない不動産についての表示(売約済みなど)
  • 不動産は存在するが取引する意思がない不動産についての表示

⑤おとり広告に関する表示

不動産のケースに限らず「おとり広告」はよく使われている悪質な客寄せの方法であり、不当表示として禁止されています。

具体的には、以下のような表示は、消費者を引き付けることを目的とした「おとり」として、不当表示にあたります。

  • 取引を行う準備がなされていないなど、取引に応じられない商品やサービスに関する表示
  • 供給量が限定されているにもかかわらず、そのことが記載されていない表示
  • 供給期間、1人あたりの供給量などが限定されているにもかかわらず、そのことが記載されていない表示
  • 実際には取引する意思がない商品やサービスの表示

⑥有料老人ホームに関する不当な表示

消費者が有料老人ホームを選ぶにあたって重要な判断基準となる以下の事項について、制約されることがあるのにそれが明確に書かれていない場合や、明らかにされていない場合は、不当表示となります。

  • 土地または建物についての表示
  • 施設または設備についての表示
  • 居室の利用についての表示
  • 医療機関との協力関係についての表示
  • 介護サービスについての表示
  • 介護職員等の数についての表示
  • 管理費等についての表示

このように、表示規制については、優良誤認表示と有利誤認表示を始め、内閣総理大臣により指定された6つの表示が事細かく定められています。

これらに違反した表示は「不当表示」にあたり、ペナルティを課される可能性もあるため、自社の事業内容に応じた規制を正確に理解しておくことが大切です。

3.景品規制(景品類の制限および禁止)

「景品規制」とは、言葉のとおり、「景品類(おまけや粗品など)」に関するルールのことをいいますが、ここでいう「景品類」とは、以下の4つの条件をすべて満たすものをいいます。

  1. 顧客を呼び込むための手段であること
  2. 商品・サービスに付随して提供されること
  3. 物品・金銭などの経済上の利益であること
  4. 「①~③」を満たすもので、内閣総理大臣が指定するもの

このような景品類について、一切の制限を設けずに自由に提供できるとするとどうなるでしょうか。商品やサービスに見合わないような過大な景品類が付随して提供されることで、消費者は景品類につられて自主的で合理的な選択ができなくなってしまうおそれがあります。

そのため、景品表示法では、消費者の利益を保護するために、景品類の価額に上限を設けるなどの規制を設けています。

景品表示法による景品への規制は、以下の3つに分類されます。

  1. 一般懸賞
  2. 共同懸賞
  3. 総付景品

これらは、いずれも商品やサービスの購入を条件に応募資格を与えるものであるため、「クローズド懸賞」とも呼ばれています。

反対に、商品やサービスの購入を条件とせず、誰でも自由に応募できる懸賞のことを「オープン懸賞」といいますが、オープン懸賞に関する規制は現在のところありません。

3-1.一般懸賞

「一般懸賞」とは、1つの事業者が、商品・サービスの利用者に対して、くじなどによって景品類を提供することをいいます。

一般懸賞の例を挙げると次のとおりです。

  • 抽選券やじゃんけんなどで提供されるもの
  • 外から見てわからないように一部の商品にのみ付随して提供されるもの
  • クイズの回答の正誤により提供されるもの
  • ゲーム、競技などの勝敗により提供されるもの

一般懸賞にあたる景品類は、応募のための条件となる取引の価額に応じて、その景品の最高額と、懸賞全体の総額が定められています。

3-2.共同懸賞

「共同懸賞」とは、一般懸賞のように懸賞を実施する主体が単体ではなく、複数の事業者が行う懸賞のことです。

例えば、

  • 地域の事業者の多数が共同で行うもの
  • 商店街、ショッピングモールなどが行うもの
  • 地域の同業者の多数が共同で行うもの

などが、共同懸賞となります。

共同懸賞における景品類の限度額は、30万円までと定められています。

3-3.総付景品(ベタ付け景品)

「総付景品(そうづけけいひん)」とは、「懸賞」によらないで提供される景品類のことです。商品・サービスの購入者や来店者に対してもれなく提供する金品などが総付景品となります。「先着〇〇名」といったように、申し込み順や来店の順番で提供される場合も総付景品となります。

総付景品の場合は、取引価額に応じて最高額が定められていますが、総額については限度額の定めはありません。

4.このケースは大丈夫?

ここまで法律の内容について説明してきましたが、実際の判例を通して 販促制作時に、どのように注意すべきなのかを見ていきましょう。

4-1.《今だけ大特価!》だけど、いつもこの値段

よくスーパーなどでみかける表記ですが、 これは景品表示法の【有利誤認表示】にあたります。

情報を操作して他社を貶めたり、本当はお得ではないものを 特価であるかのようにみせるような表示は、すべてNGです。

4-2.《お客様満足度100%》だけど、根拠はない!

これは、景品表示法の【優良誤認表示】にあたります。 事実と違うことや、事実無根の表記はNGです。

果汁100%のジュースと表示してあったにも拘らず、 実際は果汁90%だった!なんてことも、このケースに該当します。 根拠となるデータをしっかり備えておきましょう。

4-3.《ジュース一本お買い上げ方に、もれなくテレビが当たる!》

景品や、福引、おまけ、抽選などに対して、 それぞれ上限金額が定められています。

本ケースでは、取引金額が1,000円未満であるにも拘らず 景品の金額が定められた額面を超えています。(このケースでは200円まで)

5.景品表示法に違反した時の罰則について

  1. 違反の疑いがある企業に事情聴取
  2. 企業に弁明の機会が与えられる※違反が認められた場合
  3. 措置命令※弁明の結果違反が認められると、一般消費者に違反を告知し、再発防止策を実施するよう命じられる
  4. 最大2年の懲役もしくは最大300万円の罰金※措置命令に従わない場合

景品表示法違反が故意でなくとも必ず事情聴取が行われ、場合によっては措置命令が下されます。景品表示法違反を消費者に知らせることは、企業イメージや信頼の低下につながるため、避けたいものです。

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